熱酸化SiO2は半導体に欠かせない重要な膜
SiO2(シリコン酸化膜)の中には、熱酸化SiO2やTEOSなどいろいろな種類があります。
その中で熱酸化SiO2はもっとも品質の高いSiO2です。
このため、MOSFETのゲート酸化膜などに使用されます。
ゲート酸化膜がいまいちだと、MOSFET(半導体デバイス)の動作が不安定になります。
そのため、品質の良いゲート酸化膜をつけるために、熱酸化SiO2が採用されます。
熱酸化SiO2を作るには、非常に高温かつ酸素ガス雰囲気の中で、Siに熱を加える必要があります。
そのなかで、Siと酸素が反応し、熱酸化SiO2になります。
熱酸化SiO2ができると、最表面のSiからちょっとだけSiが消費されて、熱酸化SiO2の材料になります。
それでは、どのくらいのSiが消費されるのかを計算してみましょう。
SiとSiO2の分子量と密度
Siの分子量:28.09[g/mol]
Siの密度:2.33[g/cm3]
SiO2(シリコン酸化膜)の分子量:60.08[g/mol]
SiO2(シリコン酸化膜)の密度:2.21[g/cm3]
熱酸化SiO2を作る際に、Siがどれだけ消費されるのかを計算してみます。
まずはSiの分子量と密度から、Si 1molあたりの体積を計算します。
次にSiO2の分子量と密度から、SiO2 1molあたりの体積を計算します。
Si 1molあたりの体積とSiO2 1molあたりの体積がわかりました。
Si 1molあたりの体積は、下記のとおり、1molあたりのSiの厚さ×Siの面積になります。
SiO2も同様に、1molあたりの体積は、下記のとおり、1molあたりのSiO2の厚さ×SiO2の面積になります。
1molのSiは、1molのSiO2になりますので、SiとSiO2の厚みの関係を下記のように表現することができます。
これはつまり、
Siの厚さ=0.44×SiO2の厚さ
ということになります。
たとえば、熱酸化SiO2の厚さが10nm(100Å)のときは、Siが消費される厚みは、4.4nm(44Å)となります。
熱酸化SiO2の厚さが100nm(1000Å)のときは、Siが消費される厚みは、44nm(440Å)となります。
熱酸化SiO2の厚さが1000nm(10000Å)のときは、Siが消費される厚みは、440nm(4400Å)となります。