半導体用語集

「W」から始まる半導体用語

W-Plug

W-Plug(タングステンプラグ)は、半導体デバイス製造において、配線やコンタクトホール(ビア)を埋めるために使用されるタングステン(W)を指す。

この技術は、特にマルチレベルのメタライゼーションが必要な集積回路(IC)の製造において重要であり、トランジスタ間や異なる配線層間の電気的接続を確立するのに活用されている。

W-Plugの利点

  • 低抵抗: タングステンは低抵抗性を持ち、電気信号の損失を最小限に抑えることができる。これは、高速動作が求められるデバイスにとって特に重要だ。
  • 高信頼性: タングステンは化学的に安定しており、高温でもその特性を維持する。これにより、デバイスの長期的な信頼性が向上する。
  • プロセスの互換性: W-Plugは、既存の半導体製造プロセスと互換性があり、比較的容易に導入することができる。

W-Plugの製造プロセス

  1. ビアの形成: インターレイヤーダイエレクトリック(ILD)またはインターメタルダイエレクトリック(IMD)と呼ばれる絶縁層にコンタクトホールやビアをエッチングする。
  2. バリア層の堆積: タングステンと絶縁層の間の拡散を防ぐために、チタン(Ti)やチタン窒化物(TiN)などのバリア層が堆積される。
  3. タングステンのCVD(化学気相成長): ビアやコンタクトホール内にタングステンを化学気相成長させ、プラグを形成する。このプロセスでは、WF6(六フッ化タングステン)ガスが一般的に使用される。
  4. CMP(化学機械研磨): タングステン層を平坦化し、余分なタングステンを除去するために化学機械研磨が行われる。

W-Plugの応用

W-Plugは、ロジックデバイス、メモリデバイス(DRAM、フラッシュメモリなど)、アナログICなど、幅広い半導体デバイスの製造に応用されている。

特に、微細化が進むにつれて、配線抵抗や信号遅延を低減することが重要になるため、W-Plugの利用が増加している。

WSi2[Tungsten Silicide, タングステンシリサイド]

WSi2(タングステンシリサイド、Tungsten Silicide)は、タングステン(W)とシリコン(Si)から成る化合物で、半導体業界において重要な役割を果たしている。

WSi2優れた電気的特性と熱的安定性を持ち、ゲート電極、配線、ショットキーバリア、抵抗体などの用途で広く利用されている。

WSi2の特徴

  • 低抵抗性: WSi2は非常に低い抵抗値を持ち、これによりデバイスの動作速度を向上させることができる。
  • 高い熱安定性: WSi2は高温でも安定しており、高温プロセスに適している。
  • 優れた接着性: シリコン基板に対して良好な接着性を持ち、半導体デバイスの製造において信頼性の高い接合を実現する。
  • 比抵抗:約33.4μΩcm

WSi2の応用

  • ゲート電極: MOSFET(金属酸化物半導体フィールドエフェクトトランジスタ)などのトランジスタにおいて、ポリシリコンゲートの代わりにWSi2が使用されることがある。これは、WSi2が低抵抗であるため、デバイスのスイッチング速度を向上させることができる。
  • 配線材料: WSi2は、アルミニウムや銅の配線材料と比較して、より高温のプロセスに耐えることができるため、配線材料としても使用される。
  • ショットキーバリア: ショットキーダイオードなどのデバイスにおいて、WSi2はショットキーバリアとして機能し、電子の流れを効率的に制御する。
  • 抵抗体: WSi2は精密な抵抗値を実現できるため、抵抗体としても利用される。

WSi2の製造プロセス

WSi2の製造には主に化学気相成長(CVD)プロセスが用いられる。

このプロセスでは、タングステンヘキサフルオライド(WF6)とシラン(SiH4)などのガスを反応させ、シリコン基板の上にWSi2を堆積する[デポする]。

堆積されたWSi2は、その後のアニールプロセスを通じて、所望の電気的特性を持つ膜に変換される。

WLCSP[Wafer Level Chip Size Package]

WLCSP(Wafer Level Chip Size Package)は、半導体デバイスのパッケージング技術の一種で、ウェハーレベルでのチップサイズパッケージを指す。

この技術では、個々のチップを切り出す前に、ウェハー全体に対してパッケージングプロセスが行われる。

WLCSPは、デバイスの小型化、薄型化、低コスト化を実現するために開発された技術であり、特にモバイルデバイスやウェアラブルデバイス、IoT(Internet of Things)デバイスなど、スペースが限られているアプリケーションで広く利用されている。

WLCSPの特徴

  • 小型化と薄型化: パッケージサイズがチップサイズに近く、またはそれと同等であるため、非常にコンパクトなデザインが可能になる。
  • 高性能: 短い配線長により、信号伝送の遅延が少なく、高速なデータ転送が可能。
  • 低コスト: 従来のパッケージングプロセスに比べて製造工程が少なく、材料コストも低減できるため、全体的な製造コストを削減できる。
  • 良好な熱伝導性と電気的特性: パッケージが小さいため、チップから熱を効率的に放散しやすく、また電気的特性も向上する。

WLCSPの製造プロセス

  1. リダクション: ウェハー上に配線やバンプ(電気的接続点)を形成する。
  2. パッシベーション: チップの表面を保護するために絶縁層を形成する。
  3. バンプ形成: チップの電気的接続点になるバンプ(通常ははんだや銅)を形成する。
  4. ダイシング: パッケージング処理が完了したウェハーを個々のチップに切り分ける。

WLCSPの応用

WLCSPは、そのコンパクトさと高性能により、スマートフォン、タブレット、スマートウォッチなどのモバイルデバイスから、自動車、医療機器、IoTデバイスまで、幅広い分野で利用されている。

WLCSPの課題

  • 信頼性: 小型化による熱管理の問題や、メカニカルストレスによる信頼性の低下が懸念される。
  • 修理と再作業の難しさ: WLCSPは非常に小さいため、修理や再作業が困難な場合がある。