「デジタルツイン」という言葉、たまに耳にすることありませんか?
デジタルツインとは、現実のモノに取り付けたセンサデバイスから数値データを入手し、そのデータをもとに、現実のモノのツイン(分身)をデジタル上に作って、そこで様々なシミュレーションを行っていく、という技術です。
・工場での装置レイアウトの最適化・人員レイアウトの最適化
・製造現場での測量プロセスの大幅短縮
・建設業界での建築リスクの低減
などですでに活用が進んでいるのが、デジタルツインという技術です。
今回はデジタルツインを使うと何が嬉しいのか(メリットはなにか)についてさらっと記事にしたいと思います。
デジタルツインはコストを大幅に削減できる
デジタルツインを使うことで、企業での開発や改善活動にかけるコストを大幅に削減することができます。
なぜなら、現実の失敗の挽回には大きなコストと時間がかかるけれども、デジタル空間上での失敗の挽回には、コストと時間がほとんどかからないからです。
たとえば、工場を想像してみてください。
工場にはたくさんの装置が並んでいます。
材料を加工して付加価値をつけて、製品にして出荷するために装置があります。
装置の技術も日々進化しているので、新しい装置を入れることになりました。
既存の装置を邪魔せずに、新しい装置をどのように配置するのが一番効率がいいのかを工場の人間は考えるでしょう。
デジタルツインのない世界では、こうしたほうがいいだろうか、ああしたほうがいいだろうか、と工場に詳しい人間が会議室に集まり、議論を行います。
真剣な議論を複数回重ねて、ようやく新しい装置の配置場所が決まりました。
そしていざ新しい装置を決まった場所に入れてみると、きれいに収まりました。
工場に詳しい人間が真剣に議論したのですから、当然です。
しかし、ひとつだけ見落としがありました。
それは現場の作業効率が悪化してしまったのです。
新しい装置が入った場所には、もともと大きな棚と作業場があり、そこでモノの一時保管やちょっとした作業が行われていました。
そのスペースが新しい装置に取られてしまったので、モノを置く場所がないし、ちょっとした作業ができる作業机がなくなってしまい、結果として全体の工場生産パフォーマンスが低下していまったのです。
現実の世界ではこういったことが普通に起こります。
一方、デジタルツインを使うとどうなるでしょうか。
工場のありとあらゆるところにセンサを付け、情報を入手します。
IoT(Internet of Things)です。
モノだけでなく、人にもセンサを付けます。
この作業員はこういう動きを一日何回している。
この作業員は一日にこの経路を何回通っている
この作業員はこの場所にとまって数分作業しているから大事な場所だ
こういった細かい情報まで集めた上で、デジタル空間でシミュレーションを行います。
複数会議をする必要もなく、ここにこの装置をおけば、何%パフォーマンスが上がります、逆にここに装置を配置してしまうと、ガス管を延長する工事をしなければなりませんが、工場全体のパフォーマンスが10%あがります、といった予想がより早くだせるわけです。
デジタルツインのいいところは、何回でも失敗できるところ。
デジタル空間上では失敗し放題です。
この場所がだめなら、ここはどうだ。
ここならいいはずだ。
こういったことを何回も繰り返し、もっとも最適な場所に新しい装置を導入することができるようになります。
現実の世界では、一度入れた装置を移動するのは大変なことです。
基本的に製造現場で使われる装置は数トン単位なので、大人数の人手が必要ですし、移動のためにライン作業を止める必要があり、ラインを止めることで出荷できるモノの数は減り、売上が下がって、会社は儲からず、従業員の給料も上がりません。
こういった損をあらかじめふせぐことができるのが、デジタルツインのよいところといえます。
デジタルツインでリスクを最小化できる
デジタルツインを使うと、現実に起こるリスクを最小化することができます。
現実世界で建物を建築したり、工事を行う場合は、リスクがつきもの。
そのリスクをいかに小さくできるか、ということに、これまでも多大な時間と労力がかけられてきました。
・この資材をどういう順番で配置するべきか
・この機械を、このタイミングで使用しているときは、過去にこのあたりで事故の発生率が10%だったので、そこに人員を配置しない
といったのシミュレーションができるようになります(あくまで一例です)。
デジタルツインで生産効率をアップできる
まとめ
デジタルツインについて少しでも理解が進みましたでしょうか。
デジタルツインは、いま話題の「メタバース」技術にも近いものがあると思います。
デジタル空間で現実のモノを再現してリスクを減らす。
こういった