半導体デバイス

CMOSイメージセンサとCCDイメージセンサの違いとは【メリット・デメリットを整理】

CMOSイメージセンサーvsCCDイメージセンサー

半導体デバイス「イメージセンサ」ってどこにあるの?

スマートフォンやデジタルカメラには、イメージセンサ(撮像用半導体素子)という半導体デバイスが搭載されています。

イメージセンサの基本的な原理は、目の網膜と同じです。

被写体をレンズを通して結像させ、光をたくさんのフォトダイオードで電気信号に変換し、画像として取り扱います。

イメージセンサは、光を電気信号出力に変換するまでの検出方式の違いで、CCDイメージセンサとCMOSイメージセンサの2種類に分類できます。

CCDイメージセンサもCMOSイメージセンサも両方とも半導体からできています。

イメージセンサというものは、フォトダイオードという受光素子をマトリクス(横列×縦列)のアレイ状(碁盤の目状)に配置したセンサーに、レンズを通して光(イメージ)を結像させ、それを電気信号として読み込みます。

イメージセンサというのはチップの形状をしています。

大まかな構成を話しますと、以下の部品でイメージセンサのチップが構成されています。

・集光のためのマイクロレンズ(樹脂でできた凸レンズ)、

・光をカラー化するための光3原色(赤R、緑G、青B)のカラーフィルタ、

・受光素子のフォトダイオードなどが敷き詰められている受光素子

・そこで受光した光を「電圧や電流」へ変換して電気信号出力するための電子回路(IC;Integrated Circuit)

 

イメージセンサ・チップの表面には、1画素(ピクセル)が1.4~4m四方の小さな受光素子(フォトダイオード)が、アレイ状に数十〜数百万個以上配置されています。

カメラなどの性能で、700万とか1100万画素などといっているのは、この画素数のことです。

画素数が多いほど精緻な画像を取得することができます。

CCDイメージセンサの概要

CCDイメージセンサについてカンタンに説明します。

CCDイメージセンサのCCDは「Charge Coupled Devices」の略で、光を電気に変換するフォトダイオードと光から変換された電気(正確には電荷)をアウトプット(ここではデジタル写真)に転送するためのCCD電極が1画素として扱われます。

画素数の数だけCCDイメージセンサがたくさん配置されているイメージです。

画像を構成しているフォトダイオード(受光素子)の電気(電荷)は、各列同時に垂直転送CCDへ移動します。

その後、バケツリレー方式で水平方向に転送されて、増幅器(アンプ)を通って、信号を増大させて、順番に最終出力回路まで移動し、デジタル写真を出力します。

CCDイメージセンサのメリット

CCDイメージセンサのメリットは、画素数が数百万画素以上になろうとも、たったひとつの増幅器(アンプ)を使って電荷の取り出しができることです。

これにより、半導体プロセスに起因する素子のバラつきによるアンプ増幅特性の影響を除去することができます。

つまり、雑音が少ない均一な画質を得ることができるのです。

さらに、フォトダイオードのリーク電流のバラつきが少ないので、暗い画面のときの電圧ノイズ(雑音)が安定して少ない、フォトダイオードとCCDイメージセンサの2個のみで構成されるので光受光領域(フォトダイオード)を大きく確保できて、光が弱いところで写真を取ったときでも、画像の明るさを確保できる、といったことも大きなメリットです。

CCDイメージセンサのデメリット

CCDイメージセンサのメリットをご紹介しましたが、その一方で、

・CCD転送回路に高駆動電圧回路と複数の電源(例えば、+15V、-7.5V、+5V)が必要だったり、

・製造プロセスが複雑で製造時のコストが高い、

・CCDプロセスが特殊なためCMOS論理回路と同じチップに搭載できない、

などのデメリットもあります。

なお、CCDイメージセンサは本来、半導体基板表面に多数の転送電極を配列したMOS構造の電荷結合素子です。

CMOSイメージセンサの概要

CMOS(シーモス, Complementary Metal Oxide Semiconductor; )イメージセンサの1画素(ピクセル)は、フォトダイオードとフォトダイオードの微弱信号(光出力)を増幅するためのアンプ(複数のトランジスタを組み合わせたもの)から構成されています。

CCDが受光した電荷を転送し、最終的に1個のアンプで電気信号化するのに対して、CMOS型はピクセル単位で電気信号化しているのが大きな違いです。

CMOSイメージセンサのメリット

CCDイメージセンサは、周囲より極端に明るい被写体を写したときに画像が白飛びする現象(これをスミアといいます)がありますが、CMOSイメージセンサには白飛びは起こりません。

ノー白飛びです。

またCCDイメージセンサと比較して、CMOSイメージセンサは電子回路がシンプルで、単一電源/低電圧駆動でできるので消費電力が少ないというメリットもあります。

さらにさらに、CMOS走査回路によって高速画像読み出しができることもメリットです。

そして何と言っても最大のメリットは、CMOS電子回路と同一製造プロセスで製造できることです。

これにより、イメージセンサを含めたすべてのデジタルカメラ機構をワンチップ化でき、全体のコストを劇的に削減できるのです。

CMOSイメージセンサは、半導体の技術革新に伴いセンサ自身の性能がアップしてきました。

それと相まって、ガラケーやスマートフォンへのカメラ機能が普及したこともあり、2004年以降は出荷個数でCCDイメージセンサを凌駕しています。

ガラケーやスマートフォンは小型なので、低消費電力が求められます。

そしてさらにCMOSイメージセンサは安価なので、低消費電力&安価で市場で受け入れられたのです。

最近では、デジタル一眼レフカメラの大型サイズの高精細センサとしてもCMOSイメージセンサが使用されています。

CMOSイメージセンサのデメリット

CMOSイメージセンサは、小さなピクセルの中でアンプ部分が大きな面積を占めてしまい、CCDに比較して十分な受光量を確保できなくなり暗い画像になってしまうというデメリットがあります。

さらに、フォトダイオードのリーク電流のバラつきが多いため、暗いときの電圧ノイズ(雑音)が大きくなるなどのデメリットもあります。