半導体デバイス

半導体パッケージとフィラーの関係【半導体の後工程】

フィラー(Filler)とは、一般的に、ある材料の体積を増やすために、または特定の物理的、化学的、または機械的特性を改善するために、別の材料に混ぜ込まれる物質のことを指します。

英語でかくと、Fillerです。

Fillを日本語訳すると、「塗りつぶし」

体積を「塗りつぶすもの」がフィラー(Filler)だとイメージしておくといいのではないでしょうか。

フィラーは、さまざまな製品や材料、例えばプラスチック、ゴム、ペイント、コンクリート、紙などに広く使用されます。

半導体パッケージングにおけるフィラーは、エポキシモールドコンパウンド(EMC)などのモールド材料に添加されているものを指します。

半導体パッケージにフィラーを使う目的

熱伝導性の改善

フィラーは、モールド材料が半導体デバイスからの熱をより効率的に拡散するのを助けるために使用されます。

一般的には、金属酸化物(例えばアルミニウム酸化物や銅酸化物)や窒化物(例えばアルミニウム窒化物)などの高熱伝導性材料がフィラーとして用いられます。

熱膨張係数の調整

フィラーはまた、モールド材料の熱膨張係数を調整し、半導体チップとモールド材料との間の熱的な不一致を減らすために使用されます。

これは、熱サイクル(温度の上昇と下降)中に生じる可能性のある熱的ストレスと、それによるパッケージの損傷を最小限に抑えるのに重要です。

材料の強度と硬度の改善

特定の種類のフィラーは、モールド材料の機械的強度と硬度を改善することもできます。

フィラーの種類と比率は、特定の半導体パッケージの要件によって異なります。

また、フィラーの粒子サイズと分布は、モールド材料の流動性やフィラーの機能性に大きな影響を与える重要なパラメータでもあります。

ガラスフィラー

ガラスフィラーは、ガラス製の微粒子であり、樹脂などのポリマー材料に添加される一種のフィラーです。

主な目的は、ポリマーの物理的、化学的、または熱的特性を改善することです。

ガラスフィラーの効果:強度と硬度の向上

ガラスフィラーは、材料の強度、硬度、および剛性を改善します。

これにより、製品の耐久性と長寿命化が期待できます。

ガラスフィラーの効果:熱膨張係数の低減

ガラスは熱膨張係数が低いため、ガラスフィラーの添加により、ポリマーの熱膨張係数を低減できます。

これは、熱サイクルに伴う熱応力を軽減し、製品の信頼性を向上させます。

ガラスフィラーの効果:熱伝導性の向上

ガラスフィラーは、ポリマーの熱伝導性を向上させ、半導体デバイスからの熱の拡散を助けます。

前述しましたが、ガラスフィラーは、半導体パッケージングの分野で、エポキシモールドコンパウンド(EMC)のフィラーとして広く使用されています。

半導体チップを保護し、熱管理を改善し、製品の寿命を延ばすために重要な役割を果たします。

ガラスフィラーの種類(例えば、ガラス球、ガラス繊維など)、粒子サイズ、および比率は、特定の製品やアプリケーションの要件によって異なります。

また、ガラスフィラーの適切な分散が、モールド材料の性能に大きな影響を与えます。

フィラーを配合しているエポキシモールドコンパウンド(EMC)とは

エポキシモールドコンパウンド(EMC)は、半導体デバイスのパッケージングに広く使用される樹脂材料のひとつです。

EMCは、エポキシ樹脂、硬化剤、フィラー、その他の添加剤から構成されます。

EMCは、モールディングプロセス中に半導体チップとリードフレームを覆い、保護します。

これにより、チップは物理的、化学的、および環境的なダメージから保護され、また、デバイスの内部と外部との電気的絶縁が確保されます。

この電気的絶縁が確保される、というのが非常に大事なポイントです。

さらに、適切なフィラーを使用すると、EMCは半導体デバイスからの熱の拡散を助け、デバイスの熱的パフォーマンスを改善します。

ちなみにエポキシ樹脂は、化学的に安定で、高い機械的強度と優れた電気絶縁特性を持っています。また、効果前はどろどろに・柔軟に形が変わり、硬化後は形状を保つことができるのも大きな特徴です。

硬化剤は、エポキシ樹脂が硬化(または重合)するのを助ける化学物質です。

硬化剤により、エポキシ樹脂は液体から硬いプラスチックに変わります。

それも短時間で。