半導体の会社分析

CMOSセンサーの世界的企業、活用例、製造方法について

CMOSセンサーの世界的メーカー

CMOSセンサーの世界的メーカーは下記のとおりです。

日本のソニーが世界的な地位を長く堅持しています。

SONY(ソニー) [Japan]

ソニーは世界的に有名なCMOSイメージセンサーのメーカーであり、その技術と品質は非常に高い評価を受けています。

Samsung(サムスン) [Korea]

サムスンは、自社のスマートフォンや他社のデバイスに使用するCMOSセンサーを製造しており、市場で広く認知されています。

オムニビジョン [USA]

アメリカに本社を置くオムニビジョンは、CMOSイメージセンサーの一大メーカーで、広範な用途に対応した製品を提供しています。

CANON(キヤノン) [Japan]

キヤノンは自社のカメラ用に高品質なCMOSセンサーを製造していますが、それらのセンサーは他の製品にも使用されています。

STマイクロエレクトロニクス [USA]

STマイクロエレクトロニクスは、一部のCMOSイメージセンサーを製造しており、自動車や工業用途などで使用されています。

CMOSセンサーのアプリケーション(使用用途)

CMOSセンサーはあらゆる「カメラ」に使用されます。

CMOSセンサーのアプリケーションをみていきましょう。

スマートフォンとタブレット

スマートフォンやタブレットといったモバイルデバイスにCMOSセンサーは使用されています。

スマートフォンやタブレット端末には通常、前面と背面にカメラが装備されており、それぞれにCMOSセンサーが使用されています。

AppleのiPhoneには、ソニー製の高性能CMOSセンサーが搭載されていることでも有名です。

最近はAppleもCPUチップやGPUチップのデザインを手掛けているので、いずれは自社製のCMOSセンサーを使うこともあるかもしれません。

Appleのティムクック CEOは、以前、日本にあるSonyのCMOSセンサー工場ラインを見学したことでも、AppleとSonyの密接な関係をうかがい知ることができます。

デジタルカメラとビデオカメラ

コンパクトデジタルカメラやミラーレス一眼カメラ、ビデオカメラなどにもCMOSセンサーは使用されています。

カメラに搭載されるCMOSセンサーも多種多様で、センサーの大きさによって、画質の良し悪しや、価格も大きく異なってきます。

一部の高度なセンサーは、より広範なダイナミックレンジや高速の撮影を可能にします。

医療技術・医療機器

CMOSセンサーは、X線画像の取得や内視鏡検査・内視鏡手術、病理学的検査など、医療技術における多くのアプリケーションで利用されています。

最先端医療では欠かすことのできない医療機器を根底から支えているのがCMOSセンサーといえます。

CMOSセンサーが進化することで、より高画質な画像を入手することができ、病気の早期発見や治療に貢献することができます。

バーコードスキャナー

実はバーコードスキャナー(バーコードリーダー)にもCMOSセンサーが搭載されているのです。

バーコードスキャナーは商品の識別や在庫管理、レジでの商品精算に使用されています。

バーコードスキャナーがバーコードを認識できる理由は、CMOSセンサーを搭載しているからなのです。

自動車

自動車には、IC回路なども多数搭載されていますが、CMOSセンサーも搭載されています。

用途としては、スバル社のアイサイト技術や日産社のプロパイロット技術といった自動運転技術を支えているのが、自動車の目となるCMOSセンサーです。

ほかにもドライブレコーダーのカメラにもCMOSセンサーが搭載されています。

最近は、自動車が自動で駐車をする自動駐車システムを使う際にも、CMOSセンサーは欠かすことができない半導体デバイスとなっています。

セキュリティと監視

CMOSセンサーはセキュリティカメラやビデオ監視システムで広く利用されています。

これは、自動車のドライブレコーダーと似たようなシステムですね。

スマートフォンやパソコンで使われる顔認証システムとも似ていると思います。

人物の顔の特徴をパターン化・データ化して、この人物がカメラに映ると警報を発報する、というようなセキュリティシステムを構築することができ、そのためには高性能なCMOSセンサーのはやす役割が大きいです。

生物学と科学研究

CMOSセンサーは科学的研究、特に生物学や化学におけるマイクロスコピーで使用されます。

産業用途

産業用ロボットや自動化システム、ドローンなど、様々な産業用途でもCMOSセンサーが利用されています。

これらはCMOSセンサーの一部の用途に過ぎません。その小ささ、省エネ性、そして高性能なため、新しいアプリケーションが日々開発されています。

CMOSセンサーのサイズ

CMOSセンサーのサイズは、カメラの画質、解像度、性能に大きな影響を与えます。CMOSセンサーのサイズはその物理的な寸法を指し、単位は通常ミリメートル(mm)で表されます。センサーのサイズは対角線の長さで表されることが一般的で、これはテレビやコンピュータモニターのサイズと同じように測定されます。

フルフレーム(35mm)CMOSセンサー

フルフレームセンサーは、対角線が約43mm、幅が36mm、高さが24mmのサイズを持ち、伝統的な35mmフィルムと同じサイズです。

フルフレームのCMOSセンサーは高品質のDSLR(デジタル一眼レフカメラ)やミラーレスカメラでよく使用され、高解像度の画像と広いダイナミックレンジを提供します。

価格もCMOSセンサーのなかで、最も高い高級ラインです。

APS-C(Advanced Photo System type-C)

APS-Cセンサーはフルフレームセンサーより小さく、対角線が約28mm(ニコン)から30mm(キヤノン)の範囲で、幅が約23.5mm(ニコン)から22.2mm(キヤノン)、高さが約15.6mm(ニコン)から14.8mm(キヤノン)です。

これらのセンサーはミラーレスカメラなどに使用され、高品質の画像を提供します。

Micro Four Thirds CMOSセンサー

マイクロフォーサーズセンサーは、対角線が約21.6mm、幅が17.3mm、高さが13mmのサイズです。

パナソニックやオリンパスのミラーレスカメラで使われているCMOSセンサーで、軽量でコンパクトなデザインを提供します。

1インチ CMOSセンサー

1インチセンサーは、対角線が約16mm、幅が13.2mm、高さが8.8mmのサイズを持ちます。これらは高性能なコンパクトカメラやビデオカメラで使われます。

スマートフォン用センサー

スマートフォンのカメラセンサーはさらに小さいサイズで、対角線が1/2.5インチ(約11mm)から1/3インチ(約8.5mm)の範囲となります。

スマートフォンのカメラセンサーは、デバイスの小さなフォームファクターに適合するよう設計されています。

それにもかかわらず、技術的な進歩により、これらの小さなセンサーでも高品質な画像とビデオを撮影することが可能になっています。

CMOSセンサーのトレードオフ(二律背反)

センサーサイズが大きいほど、各ピクセルが光をより多く捉え、より広いダイナミックレンジと高い解像度を提供できます。

しかし、大きなセンサーはコストが高く、カメラ本体も大きく重くなる傾向があります。

これらのトレードオフを理解し、ある特定の用途に最適なセンサーサイズを選択することが重要です。

また、センサーサイズに加えて、センサー上の各ピクセルのサイズやピクセル数(メガピクセル)も画像品質に影響します。

ピクセルが大きいほど、そのピクセルが捉えられる光の量が多くなり、結果的に低照度下でも良好な画像品質を維持することが可能になります。

しかし、ピクセルが大きいと、同じセンサーサイズで表現できるピクセル数(すなわち解像度)は少なくなります。

このようなトレードオフもカメラの性能と用途を決定する重要な要素となります。

CMOSセンサーの製造プロセス

CMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)センサーはデジタルイメージングデバイスの一部で、デジタルカメラ、携帯電話、医療装置などに広く使用されていることは先述のとおりです。

まさしく世の中に無くてはならない半導体デバイスのひとつが、CMOSセンサーといえます。

CMOSセンサーは光を電子に変換し、それをデジタル信号に変換する機能があります。

CMOSセンサーの製造は非常に複雑なプロセスで、細部に渡って精密に制御する必要がありますが、ざっくりとCMOSイメージセンサーの一般的な製造工程を説明します。

ウエハ製造

CMOSセンサーの製造はシリコンウエハという半導体基板から始まります。

シリコンは非常に純度の高い結晶として結晶成長法により作られ、その後、薄い円盤のような形にに切断されます。

この薄い円盤のような形のシリコン基板のことを、シリコンウエハと呼んだりします。

シリコンウエハの製造メーカーは世界に各社ありますが、そのなかでもトップクラスなのが、日本の信越化学工業株式会社とSUMCOです。

どちらも日本の会社で、非常に高品質なシリコンウエハを製造し、世界中に供給しています。

高品質なシリコンウエハが安定的に供給されなければ、スマートフォンやパソコン、産業機器や自動車は作ることができません。

それほど、現代の情報化社会を根底から重要な材料がシリコンウエハなのです。

光学マスク作成

CMOSセンサーの各層のデザインは、光学マスクと呼ばれるものにエッチングされます。これは、フォトリソグラフィと呼ばれるプロセスで使用されます。

フォトリソグラフィ

光学マスクを使用して、ウェハにパターンを形成します。ウェハは光に感応する化学物質(フォトレジスト)でコーティングされ、その後、マスクを使用して特定のパターンに照射されます。光が照射されるとフォトレジストは硬化し、未硬化部分は後のエッチング工程で除去されます。

エッチング

フォトリソグラフィの後、ウェハはエッチングプロセスに進みます。これは硬化していないフォトレジストを除去し、ウェハ上に所望のパターンを形成します。

イオン注入(ドーピング)

特定の領域に不純物を添加し、シリコンの導電性を変更するプロセスです。

これにより、N型とP型のシリコン領域が形成されます。

絶縁層と金属配線の形成

センサーチップ上に絶縁層を形成し、その上に金属配線を追加します。これにより、各ピクセルからの信号が適切に処理され、センサーからの出力が生成されます。

パッケージング

最後に、センサーチップは適切なパッケージに配置されます。このパッケージングは、チップを物理的、化学的損傷から保護するとともに、チップと外部のデバイスとの電気的接続を可能にします。

検査とテスト

パッケージングの後、各CMOSセンサーは機能と品質の両方をテストするために厳密に検査されます。これには、電気的特性のテスト、画像品質のテスト、およびその他のパフォーマンス指標のテストが含まれます。

出荷

最終的な製品が承認されたら、それらは出荷準備が整うまでストレージに保管されます。出荷前に、製品は再度検査され、パッケージング、ラベリング、出荷のための準備が行われます。

この全体的なプロセスは、極めて精密で時間を要し、数多くの検査段階を経ることで、最終製品が高品質で信頼性の高いものであることを確保します。