ドライエッチングは、半導体チップの微細化(高性能化、低消費電力化)を求めて開発された「膜削りの技術」です。
ウェットエッチングは薬液を使用しますが、ドライエッチングはガスとプラズマを使って、ウェットエッチングよりも精度の高いエッチングを実現できます。
今回はドライエッチング技術に関する情報を総合的にまとめます。
ドライエッチングで使用するプラズマ(Plasma)とは?
ドライエッチングで使用するプラズマ(Plasma)の正体とは一体何なのでしょうか?
プラズマ(Plasma)は、完全あるいは部分的にイオン化したガス(気体)のことです。
プラズマ(Plasma)は、「電離状気体」と呼ぶこともあります。
英語表記だとPlasmaと書きますが、「プラズマ」と読みます。
プラズマ中には同じ数の正の電荷(プラスイオン)と負の電荷(マイナスイオン)、さらに中性分子が存在します。
ガスに十分高い電界を印加すると放電し、イオン化がおきて、プラズマが発生するのです。
プラズマの発生には、「電子」が関係しています。
「電子」は電界から運動エネルギーをもらって、ガスの中を動くのですが、ガス分子とバンバン衝突しながら動きます。
電子の運動エネルギーは、ガス分子に移り、さらにイオン化してさらに自由電子を作ります。
さらに電子は電界で加速され、ガス分子に当たりまた新しい電子ができます。
この現象が繰り返して起きることで、プラズマが発生するのです。
プラズマ中には、自由に運動できる自由電子とイオンがほぼ同じ数だけ存在しています。
そのため、大雑把にみると、プラズマは電気的に中性であるということもできるでしょう。
電子密度とイオン密度はほぼ等しく、電子密度とイオン密度を「プラズマ密度」と呼ぶこともあります。
プラズマはどこで発生するのか?
プラズマは基本的にチャンバーという筐体で発生させます。
チャンバーのなかは真空にしておくことが大事です。
チャンバーという箱の中を、質の高いガスで充満させるために、あらかじめチャンバーの中を真空(からっぽ)にしておくんですね。
そして、純度の高いガスを充満させて電圧を印加すると、プラズマが発生します。
プラズマが発生したのはどうやってわかるの?
チャンバーに小さな窓がついていると、そこからプラズマを確認することが出来ます。
プラズマには色がついているので、見ればすぐに分かります。
紫色のようなピンク色のような見た目をしています。
ドライエッチングのプラズマの密度
ドライエッチング時のプラズマの電子密度は比較的に低いと言われています。
数値で電子密度を表すと109-1012cm-3と言われています。
1Torrの圧力下で、ガスの分子密度は、電子密度の10000倍から10000000倍くらい存在します。
ガスの平均温度は電子の衝突によってあがっていますが、だいたい50-100℃くらいと言われていて、このくらいの温度帯で処理するプラズマエッチングは、低温プロセスと言われています。