半導体プロセス

【光/EUV/X線/電子線/イオンビーム】リソグラフィ(写真製版)技術の全体像を解説!

リソグラフィ(写真製版)技術の全体像

光リソグラフィ

g線光源の光リソグラフィ

高圧水銀アーク灯から発せられる波長436nmの光(電磁波)をg線(じーせん)といいます。

i線光源の光リソグラフィ

高圧水銀アーク灯から発せられる波長365nmの光(電磁波)をi線(あいせん)といいます。

i線は高圧水銀アーク灯から発せられる光の中で最も光強度が高いことで知られており、理論的には0.3μmの解像度が得られるとされています。

KrFエキシマレーザー光源の光リソグラフィ

波長248nmの光をKrFエキシマレーザーと呼びます。

KrFエキシマレーザーでは、最高解像度180nmが得られるとされており、i線よりも高い解像度が得られ、より微細なパターニングが可能となります。

ArFエキシマレーザー光源の光リソグラフィ

波長193nmの光をArFエキシマレーザーと呼びます。

ArFエキシマレーザーによる光リソグラフィでは、解像度100nmを実現できるとされており、光リソグラフィでは最も微細な加工ができる光源になります。

EUVリソグラフィ(Extreme Ultraviolet; EUV)

EUVリソグラフィとは、極めて低波長の光(電磁波)を使い、光リソグラフィよりもさらなる微細加工を目指す技術です。

レーザー励起プラズマ(EUV光源)から発せられる光の波長は、10nmから14nmとArFエキシマレーザー(波長193nm)の10分の1以下です。

とんでもなく短い波長です。

これによって、30nmレベルの加工が可能とされています。

X線リソグラフィ

X線リソグラフィは、X線を光源に露光を行うリソグラフィ技術です。

光リソグラフィ技術の後継技術の一つに考えられています。

X線の波長は1pmから10nmですが1nmあたりの波長を使ってリソグラフィを行います。

X線は、非常に便利な一方で扱いに注意しなければ人体に被害をもたらす光源です。

なのでX線リソグラフィには、X線に対応した設備の導入(投資)や工場を動かす人たちの安全を第一に考えた教育が必要で、ハードルは高いと言えます。

電子線リソグラフィ

光ではなく、電子線で露光するのが電子線リソグラフィ技術です。

電子線リソグラフィの利点は以下の3つです。

・マスクがなくても、ウエハに直接パターンを描画できること

・深い焦点深度が得られること

・1μm以下のパターンの発生が高度に自動化され、精密に制御されること

一方、電子線リソグラフィのデメリットは

・スループットが光リソグラフィと比べて低いこと(処理にたくさん時間がかかること)

にあります。

なので、シリコンに微細な回路パターンを書き込む用途ではなく、フォトマスクそのものの形成に使用されることがあります。

シリコンに微細な回路パターンを書き込むこともできるのですが、非常に高い処理速度(スループット)が要求されるので、電子線リソグラフィには不向きです。

少量のマスクを正確に描画するのは、電子線リソグラフィに向いているといえます。

イオンビームリソグラフィ

電子線リソグラフィとは違い、電子よりも思いイオンを使ってリソグラフィをやるのがイオンビームリソグラフィです。

イオンは電子よりも重いので、散乱されにくいため高い解像度が見込めます。

イオンビームリソグラフィのマスクビーム方式

マスクビーム方式は、光リソグラフィの5分の1縮小投影ステッパー方式のように、軽量のイオンを使います。

イオンの加速電圧は100keVと言われています

イオンビームリソグラフィの掃引収束イオンビーム方式

掃引収束イオンビーム方式は、水素イオン(H+)やガリウムイオン(Ga+)を使うものです。