半導体プロセス

超純水とは? – 産業を支える“究極にきれいな水”の正体

1. 超純水とは

超純水とは、通常の水道水や純水よりもさらに不純物を極限まで取り除いた水のことです。
イオン、微粒子、有機物、微生物、溶存ガスなどをほぼ完全に除去し、純度が理論的限界に近いレベルに達しています。

一般的な水の純度比較(導電率ベース):

種類導電率(25℃)不純物の量
水道水約100〜500 μS/cm多い
純水約0.5〜5 μS/cm少ない
超純水約0.055 μS/cmほぼゼロ

2. どこで使われるのか?

2-1. 半導体製造

  • 用途:シリコンウエハーの洗浄

  • 半導体の配線は数ナノメートル単位で作られるため、1粒のホコリでも回路が壊れる

  • 超純水での洗浄は、薬品の残留や金属イオン汚染を防ぐ

2-2. 医療・製薬

  • 注射薬や点滴液の製造、医療器具の洗浄に使用

  • 微生物や有機物を極限まで除去することで安全性を確保

2-3. 宇宙・精密機器

  • 光学レンズ、人工衛星部品、航空機部品の洗浄にも利用


3. どうやって作るの?

超純水の製造は、水道水や井戸水から段階的に不純物を除去します。

  1. ろ過(砂ろ過、活性炭)
    大きなゴミや塩素を除去

  2. RO(逆浸透膜)
    微細な膜でイオン・有機物をカット

  3. イオン交換樹脂
    水中の陽イオン・陰イオンを除去

  4. UV酸化
    有機物を分解

  5. 超精密フィルター
    ナノメートルレベルの微粒子を除去

  6. 脱気装置
    溶存酸素や二酸化炭素を取り除く

最終的に、理論上の純水(H₂O)に限りなく近い水になります。


4. 特徴と性質

  • 導電性がほぼゼロ(不純物がないため電気を通しにくい)

  • 化学的に非常に活性(わずかな金属や有機物を溶かしやすい)

  • 長期間保存できない(空気中のCO₂や微生物で汚染されやすい)


5. 注意点

  • 飲用には不向き:ミネラルが全く含まれず、体内の電解質バランスを崩す恐れ

  • 配管や容器の材質選定が重要:超純水は腐食性が強く、金属配管を劣化させる可能性がある


6. まとめ

超純水は、半導体・医療・精密産業を支える重要なインフラです。
わずかな汚れや不純物が致命的な影響を与える分野で、その「究極にきれいな水」の力が発揮されます。
目に見えないレベルの清浄度を維持するためには、製造から使用まで徹底した管理が欠かせません。