半導体用語集

「C」から始まる半導体用語【保存版】

Cから始まる半導体用語をまとめました。

Contents
  1. CAD[キャド, Computer Aided Design]
  2. CCD[シーシーディー, Charge Coupled Device]
  3. CD[クリティカル・ディメンジョン, Critical Dimension]
  4. CdS[Cadmium Sulfide]
  5. CdSe[Cadmium Selenide]
  6. CIM[コンピュータ・インテグレイテッド・マニュファクチャリング, Computer Integrated Manufacturing]
  7. CISC[コンプレックス・インストラクション・セット・コンピューター, Complex Instruction Set Computer]
  8. CML[カレントモードロジック, Current Mode Logic]
  9. CMOS[シーモス, Complementary MOS]
  10. CMP[シーエムピー, Chemical Mechanical Polishing]
  11. Coシリサイド[コバルトシリサイド, Cobalt Silicide]
  12. COB[チップオンボード, Chip On Board]
  13. COD[ケミカル・オキシジェン・デマンド, Chemical Oxygen Demand]
  14. COP[クリスタル・オリジネイテッド・パーティクル, Crystal originated Particle]
  15. CPU [セントラル・プロセッシング・ユニット, Central Processing Unit]
  16. CS [コマーシャルサンプル]
  17. CSP[Chip size Package, Chip Scale Package]
  18. CT法[キャパシタンス-タイム メソッド, Capacitance-Time Method]
  19. Cu[カッパー, Copper, 銅]
  20. CV特性(C-V特性)[キャパシタンス-ボルテージ キャラクタリスティク, Capacitance-Voltage Characteristic]
  21. CV法[キャパシタンス-ボルテージ メソッド, Capacitance-Voltage Method]
  22. CW変調[コンティヌアス・ウェーブ・モデュレーション, Continuous Wave Modulation]
  23. CZ法[チョクラルスキー・メソッド, Czochralski Method]

CAD[キャド, Computer Aided Design]

CAD[キャド]は直訳すると、計算機利用設計という意味だ。

コンピューターを利用した設計のこと。

半導体設計にCADは欠かすことができない。

CADの用途は幅広く、下記の用途があげられる。

・プロセスシュミレーション

・デバイス解析シミュレーション

・論理シミュレーション

・回路解析シミュレーション

・レイアウト設計

・マスク設計

上記のように、あらゆる工程に対応するCADシステムが開発されている。

そのシステムのほとんどがアメリカのソフトウェア会社から提供されている。

CADがなければ、半導体を設計することは不可能といっていいだろう。

CCD[シーシーディー, Charge Coupled Device]

CCDは、半導体表面にMOS構造の電極を多数配列した構造を持っている半導体デバイスの一種だ。

入力部への信号により電荷を注入し、各電極に駆動信号を加えて、注入された電荷を配列電荷に沿って転送する。出力部で電荷を電圧として取り出す。

半導体界面に形成されるポテンシャル井戸に電子を貯え、ポテンシャル井戸を駆動信号電圧により移動させる。

CCDは、イメージセンサとして活用され、ビデオカメラやデジタルカメラ、FAXなどに利用された半導体デバイスだが、最近はCMOSセンサーが台頭している。iPhoneなどのカメラに搭載されているのは、ソニーのCMOSイメージセンサだ。

CD[クリティカル・ディメンジョン, Critical Dimension]

CDは、ICパターンのとくに重要なデバイス箇所で使われている寸法を指す。

CDはICで使用される最小寸法[最も狭い線幅]や

MOSトランジスタで特性上最も重要なゲート寸法の意図で使用されることもあるので、CDの定義を毎度確認しておくのが無難だ。

CDシフトなどという言葉もよく使われる。

CDは、最小寸法を作りこむための写真製版[リソグラフィー]工程で、特に重要な単語となる。

CdS[Cadmium Sulfide]

硫化カドミウムのこと。

禁制帯幅2.485エレクトロンボルトの直接遷移型半導体材料。

光の照射量により、導電率が変化する。

CdSの粉末を焼成した薄膜型の光導電型素子として用いられることがある。

波長0.5ミクロンあたりに最大感度をもった可視光用センサーとして、カメラの露光計測器、自動ドア、街頭の自動点灯機などに応用されている。

応答速度は遅いが安価で簡単な回路で動作するのが特徴である。

CdSe[Cadmium Selenide]

CdSeは、セレン化カドミウムのこと。

禁制帯幅1.75エレクトロンボルトの直接遷移型半導体材料で、照度計などに使われることもある。

多結晶CdSSe焼成体として、CdSの分光感度を、より長波長の赤色側へシフトさせた光センサーとして利用されることがある。

またGaAs(ガリウムヒ素)基板上に成長したCdSeの混晶ZnCdSeは、青緑色発光の半導体レーザーに利用される。

CIM[コンピュータ・インテグレイテッド・マニュファクチャリング, Computer Integrated Manufacturing]

CIMは、英語で、コンピューターインテグレーテッドマニュファクチャリングといい、コンピューター統合システムと翻訳する。

文字通りコンピューターを活用した生産管理システムのことをいい、半導体工場での製造になくてはならないシステムである。

CIMの主な役割には生産制御、品質管理、生産管理などが含まれている。

CIMは各種データベースとネットワークさらにそれに繋がった半導体製造装置、搬送装置、ストッカーなどが組み込まれたシステムとして機能する。

これがなければ半導体工場は動かない。

CISC[コンプレックス・インストラクション・セット・コンピューター, Complex Instruction Set Computer]

MPU(超小型演算処理装置)は、命令セットの与え方により大きく2種類のタイプに分けられる。

CISCとRISCである。

CISEは複雑命令セットコンピューターと訳され、複雑、多様な命令セットをもった多機能なMPUで、メインストリームのMPUだ。

CML[カレントモードロジック, Current Mode Logic]

CMLは、バイポーラトランジスタによる論理回路の一つ。

ECLのエミッターフォロワーを除いた差動増幅回路の構成で、電流切り替え型のスイッチ回路のことを指す。

ORとNORの出力が同時に得られることが特徴である。

トランジスタを非飽和領域で動作させ、高速動作も特徴として挙げられる

一方で、消費電力は大きい。

大型コンピューターの演算回路やキャッシュメモリなどの高速メモリーに使われる。

CMOS[シーモス, Complementary MOS]

CMOSは最も有名な半導体用語の一つである。

CMOSは、相補型MOSと呼ぶ。

CMOSは、エンハンスメント[enhancement]型のp-MOSFETとn-MOSFETのゲートをつないで入力端子とし、両ドレインをつないで出力端子とした回路のことである。

論理ゲートとしてはCMOSインバーターとも呼ぶ。

CMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)は、半導体技術の一つで、特にデジタルロジック回路、アナログ回路、および画像センサーなどの幅広い電子機器に使用される重要な技術だ。

CMOS技術の特徴は、低消費電力、高効率、そして大規模集積回路(LSI)への適用が可能ということであり、現代の電子機器の中心的な技術となっている。

CMOSの基本概念

CMOS回路は、n型とp型のMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)を補完的に使用することにより構成される。

n-MOSFETやp-MOSFETといったトランジスタは、ゲート、ソース、ドレインという三つの主要な部分から構成され、電圧がゲートに適用されることによって、ソースとドレイン間の電流の流れを制御する。

  • n型MOSFET(NMOS)は、正の電圧をゲートに適用したときに電流が流れるようになるトランジスタ。
  • p型MOSFET(PMOS)は、負の電圧をゲートに適用したときに電流が流れるようになるトランジスタ。

この二つのトランジスタの動作の補完性が、CMOSの名前の由来となっている。

CMOSの利点

  • 低消費電力: CMOS技術の最大の利点の一つは、非常に低い消費電力だ。CMOS回路は、状態の変更時にのみ電力を消費し、静止状態ではほとんどまたは全く電力を消費しないため、バッテリーで駆動するモバイルデバイスに最適だ。だからiPhoneのICにもCMOSが使われているし、カメラにもCMOSイメージセンサが使われている。
  • 高密度: CMOSは、他の技術と比較してトランジスタをより密集して配置できるため、より小型で高性能なチップを製造することができる。
  • 高速動作: CMOSトランジスタは高速でスイッチングすることができるため、高速プロセッサや高速メモリデバイスに適している。

応用分野

CMOS技術は、コンピュータのCPUやGPU、メモリチップ(DRAM、フラッシュメモリなど)、モバイルデバイス、デジタルカメラのイメージセンサーなど、現代のほぼ全ての電子デバイスに広く使用されている。

CMOSの進化

CMOS技術は、トランジスタのサイズを縮小し続けるムーアの法則に従って進化してきた。

近年では、トランジスタのサイズがナノメートル単位に達し、量子効果やリーク電流の増加など、新たな課題に直面している。

これに対応するために、FinFET(フィンフェット)やGAAFET(Gate All Around FET)などの新しいトランジスタ構造が開発されている。

CMOS技術の持続的な進化は、電子デバイスの性能向上、消費電力の削減、および機能の拡大に貢献しており、今後も情報技術の発展に不可欠な役割を果たし続けることが期待されている。

 

CMP[シーエムピー, Chemical Mechanical Polishing]

CMP(Chemical Mechanical Polishing)は半導体製造における重要なプロセスの一つで、半導体ウェーハーの表面を平滑化する技術だ。

CMPは、ウェーハー上に形成された素子間の高さ差をなくし、次の層の正確なパターニングを可能にする。

なぜなら、高さのそろっていない半導体基板に対して、きわめて精度の高い露光技術を使って、数nmレベルのリソグラフィをすることはできないからだ。

だからCMPが最先端の半導体には欠かすことができない。

CMPは、特に多層構造を持つ集積回路(IC)の製造において不可欠な工程だ。

CMPの基本プロセス

  1. 化学的処理: CMPは、化学薬品を使用してウェーハー表面の材料を軟化させることから始まる。化学薬品は、主にウェーハー表面の特定の材料に反応し、特定の材料を軟化させたり、溶解させたりする。
  2. 機械的研磨: 軟化した材料は、研磨パッドと研磨スラリー(微細な研磨粒子を含む液体)を用いて機械的に研磨され、除去されることになる。このステップでは、ウェーハーを回転させながら、研磨パッドをウェーハー表面に圧力をかけながら動かす。これにより、ウェーハー表面の不均一な部分が削り取られ、平滑化される。
  3. 洗浄: 研磨プロセスの後、ウェーハーは洗浄され、残留する研磨スラリーや他の汚染物質が除去される。

CMPの重要性

  • 平面性の向上: CMPによって、ウェーハー表面の平面性が向上する。これは、高精度のデバイス特性を実現するために必要不可欠だ。
  • 多層構造の実現: 高度な半導体デバイスでは、多数の層を重ねて構造を形成する。CMPは、各層間での平滑な接合面を提供し、デバイスの性能と信頼性を高める技術だ。
  • デバイスの小型化: 半導体デバイスの小型化には、層間の正確なパターニングが必須となる。CMPは、微細なパターンを正確に形成するための基盤を提供する。

応用分野

CMPは、メモリチップ、ロジックデバイス、CMOSイメージセンサなど、さまざまな種類の半導体デバイスの製造に応用されている。

また、新しい材料やプロセス技術の発展に伴い、CMP技術自体も進化し続けている。

この技術の向上は、半導体業界におけるデバイス性能の向上と製造コストの削減に貢献する。

特に高性能GPUなどに使用される特別なHBMというメモリにもCMPはなくてはならない技術だ。

Coシリサイド[コバルトシリサイド, Cobalt Silicide]

コバルトシーサイドコバルトとシリコンの化合物のこと

化学式はCoSi2

比抵抗は18ホームCM

通常Coサリサイドとして利用される

COB[チップオンボード, Chip On Board]

ICチップをパッケージに収納してからプリント基板の実装するのではなく、直接チップの形で実装する形態のことをCOBという。

チップオンボードと略称を使わないほうがわかりやすい。

基板との電気的接続の仕方により、

・ボンディング

・TAB

・フリップチップ

に分けることができる

またチップ保護のため、実装の後にICを樹脂などでくるむポッティングという工程が行われる

COD[ケミカル・オキシジェン・デマンド, Chemical Oxygen Demand]

化学的酸素要求量のことをCODという。

1mlの水に含まれる有機物を完全に酸化するために必要なppm内の酸素換算量のことを指す。

水に含まれる腐食性汚染物に対する指標としてCodは利用される。

COP[クリスタル・オリジネイテッド・パーティクル, Crystal originated Particle]

COPは、シリコン結晶欠陥の1種。

COPはシリコン単結晶において、格子点のシリコン原子がない部分、すなわち空孔が集まった微小な欠陥のことで、特に近年の微細化が極限まで進んだ半導体製造で問題視されている。

COPを減らすため、半導体基板メーカーは、単結晶インゴットの引き上げ速度を研究し、品質の高い半導体基板を市場に提供できるよう尽力している。

また、COPをなくすために、インゴットにしたあと、あるいはインゴットからウエハーに切り出したあとに、熱処理をすることも検討されている

COPを含まない完全結晶はCOPフリーとも呼ばれる。

エピ基板(エピタキシャル成長で作った半導体基板)は基本的にCOPフリーの品質が高い基板となる。

CPU [セントラル・プロセッシング・ユニット, Central Processing Unit]

CPU(Central Processing Unit、中央処理装置)は、コンピューターの主要な部分であり、ソフトウェアの命令を実行して、コンピューターの全てのタスクとプロセスを制御する役割を担っているパーツだ。

CPUはコンピューターの「脳」と見なされ、計算、データ処理、制御命令の実行など、コンピューターの基本的な演算と処理を行います。

パソコンやスマートフォンに、CPUは欠かすことができない半導体デバイスだ。

CPUの主要な機能

  • 命令の実行: CPUは、ソフトウェアからの命令を受け取り、それらを実行する。これには算術演算、データの移動、論理演算などが含まれる。
  • データ処理: 入力されたデータを加工・変換し、結果を出力する。
  • システムの制御: ハードウェアの各コンポーネント間のデータの流れを制御し、システム全体の調和を保つのもCPUの役割だ。

CPUの主要なコンポーネント

  • 演算処理ユニット(ALU,Arithmetic Logic Unit): 算術計算と論理計算を実行する。
  • 制御ユニット(CU, Control Unit): メモリから取得した命令を解読し、その命令に従ってハードウェアの各部分を制御する。
  • レジスタ: CPU内の一時的なデータ保持用の小容量の高速メモリ。
  • キャッシュメモリ: 頻繁に使用されるデータや命令を一時的に保存し、CPUが直接アクセスできるようにする小容量の高速メモリ。

CPUの性能指標

  • クロック速度: CPUの動作速度を示し、通常はギガヘルツ(GHz)で測定される。クロック速度が高いほど、一定時間内により多くの命令を処理できる。
  • コア数: 現代のCPUは複数の処理コアを持ち、マルチタスキング性能を向上させる。コア数が多いほど、同時に実行できるタスクの数が増える。
  • キャッシュサイズ: キャッシュメモリの容量が大きいほど、より多くのデータを高速にアクセス可能になり、性能が向上する。

CPUの技術進化

CPUの技術は、ムーアの法則に従い、絶えず進化している。

ムーアの法則とは、トランジスタの数が約2年ごとに倍増し、それに伴って処理能力も向上するという法則だ。

しかし、物理的な限界に近づくにつれて、単純なスケーリングだけでは性能向上が難しくなってきている。

そのため、マルチコア設計、エネルギー効率の改善、新しいアーキテクチャの採用など、さまざまなCPUの技術革新が進められている。

CPUは、パーソナルコンピューター、サーバー、モバイルデバイス、組み込みシステムなど、あらゆる種類のコンピューターにおいて中心的な役割を果たし続けている。

これらのデバイスの性能や効率は、CPUの技術的進歩に大きく依存しているのが現状だ。

また、クラウドコンピューティング、ビッグデータ、人工知能(AI)、機械学習などの分野での需要増加は、より高性能なCPUの開発を推進している。

新しい技術とトレンド

  • 量子コンピューティング: 従来のCPUの演算原理とは根本的に異なり、量子ビット(qubit)を使用して情報を処理する。量子コンピューティングは、特定の種類の計算において現在のコンピューターよりも桁違いに高速となる見込みだ。
  • ニューラルプロセッサユニット(NPU): AIと機械学習アルゴリズムの高速処理に特化したプロセッサだ。これらは、特に画像認識や自然言語処理などのタスクで、効率的な処理を実現する。
  • エッジコンピューティング: データをクラウドではなく、デバイスの近くで処理することで、レイテンシを削減し、プライバシーを向上させる。これには、効率的なCPU設計が求められている。

チャレンジと将来の方向性

  • 熱管理: CPUの性能向上に伴い、発熱量も増加する。効果的な冷却ソリューションの開発は、高性能CPU設計の重要な課題だ。
  • エネルギー効率: モバイルデバイスやデータセンターでは、消費電力を抑えつつ高性能を実現することが求められている。エネルギー効率の良いCPU設計は、環境への影響を考慮したサステナブルなテクノロジーの開発に寄与する。
  • アーキテクチャの革新: 従来のCPUアーキテクチャの限界を超えるために、異種コアの統合や専用アクセラレータの組み込みなど、新しい設計が探求されている。

CPU技術の進化は、コンピューターサイエンスの最前線で続いており、将来的には更に革新的なコンピューティングパラダイムが出現することが期待されている。

これらの技術革新は、社会のデジタル化を加速し、新たな応用分野を開拓する可能性を秘めている。

CS [コマーシャルサンプル]

「コマーシャルサンプル(CS)」とは、製品の開発段階や市場導入前に、半導体メーカーが顧客に提供する試作品やサンプルのことを指す。

新しい半導体デバイスや集積回路(IC)が開発された際に、その性能や仕様を実際の応用環境や顧客の設計に適合するかを評価するために使用される製品サンプルだ。

コマーシャルサンプルは、最終的な製品仕様に非常に近い形で提供されることが一般的だが、量産前の最終テストや顧客フィードバックを受けて、若干の変更が加えられる場合がある。

コマーシャルサンプルの目的と利点

  • 性能評価: 開発中の半導体製品の性能や仕様を実際の使用環境で試すことが可能だ。これにより、設計段階での仮定やシミュレーション結果が実際のアプリケーションでどのように機能するかを評価できる。
  • 設計の検証: 顧客はコマーシャルサンプルを使用して自身のシステムや製品設計を検証し、新しい半導体デバイスとの互換性や統合性を確認できる。
  • 市場導入の加速: コマーシャルサンプルを通じて得られたフィードバックは、製品の最終化に役立ち、市場導入の過程を加速させることが可能となる。顧客からの早期のフィードバックにより、製品の改善点が明確になり、成功する製品の確率が高まるメリットがある。
  • 顧客関係の強化: メーカーはコマーシャルサンプルを提供することで、顧客との関係を強化し、技術的なサポートや協力関係を築く機会となる。これは、長期的なビジネス関係の構築に有利だ。

コマーシャルサンプルの提供プロセス

  1. 要求と評価: 顧客は特定の製品に対してサンプルを要求し、メーカーは顧客のニーズやプロジェクトの適合性を評価する。
  2. 提供: 適合と判断された場合、メーカーはコマーシャルサンプルを顧客に提供する。この段階で、技術的な資料や支援も提供されることがある。
  3. フィードバックと改善: 顧客はサンプルをテストし、その結果や改善点についてメーカーにフィードバックを提供する。メーカーはこのフィードバックをもとに、必要に応じて製品の改善を行う。

コマーシャルサンプルの提供条件

コマーシャルサンプルの提供条件は、メーカーによって異なる場合がある。

一般的に、サンプルは低コストで提供されることが多いが、量産に移行する際には正式な契約や発注が必要となる。

また、サンプル提供に際しては、非開示契約(NDA)の締結が求められることもある。

これは、新技術や未発表の製品情報が関わるため、情報の秘密保持を保証するためだ。

コマーシャルサンプルの利用上の注意

コマーシャルサンプルを利用する際には、以下の点に注意が必要だ。

  • 評価目的限定: CSは、あくまでサンプルであり評価やテスト目的でのみで使用する。量産前のサンプルであるため、最終製品としての使用や販売は避けるべきだ。
  • フィードバックの提供: サンプルを評価した後は、メーカーへのフィードバックが非常に重要だ。これにより、製品の最終的な改善が行われることになる。
  • 技術的サポート: サンプルの評価中に技術的な問題や疑問が生じた場合は、メーカーの技術サポートチームに相談することが重要だ。

CSP[Chip size Package, Chip Scale Package]

Chip Size Package(CSP)は、半導体パッケージング技術の一種で、チップ(半導体デバイス)のサイズに近い小型のパッケージを実現する技術だ。

CSPは、デバイスの小型化と性能向上を目指す電子機器業界において非常に重要な技術で、スマートフォン、ウェアラブルデバイス、ポータブル電子機器など、スペースが限られているアプリケーションで特に有用とされている。

CSPの特徴

  • 小型化: CSPはデバイスの外形をチップサイズに近づけることで、最終的な製品の小型化を可能にする。
  • 高性能: 小型化により、チップ間の距離が短くなり、信号の伝達遅延が減少する。これにより、デバイスの性能が向上する。
  • 熱管理の改善: CSPは熱の放散が効率的であるため、デバイスの熱管理が向上する。
  • コスト効率: パッケージのサイズが小さいため、材料コストの削減につながる。また、製造プロセスが簡略化される場合もあり、全体的な製造コストの削減に貢献することがある。

CSPの種類

CSP技術には、さまざまな形式が存在する。これらは、パッケージの構造や製造プロセス、用途によって異なるので整理したい。

  • FBGA(Fine Ball Grid Array): FBGAは、ボールグリッドアレイ(BGA)の一種で、チップの下面に細かいボールが配置され、これを基板にはんだ付けすることで電気的接続を行う。
  • WLCSP(Wafer Level Chip Scale Package): ウェハーレベルでのパッケージングを行う技術で、チップを個別にパッケージする前に、ウェハー全体をプロセスすることで高い生産効率を実現する。
  • Flip Chip CSP: チップのアクティブ面を下向きにして基板に直接接続する技術だ。この方式では、熱管理と電気的性能がさらに向上する。

CSPの応用

CSPは、その小型化と高性能化の特性から、多くの最先端電子機器に採用されている。

特に、スマートフォンやタブレット、ウェアラブルデバイスなどのポータブル電子機器において重要だ。

また、自動車電子機器、医療機器、通信機器など、さまざまな分野での応用が拡大している。

CT法[キャパシタンス-タイム メソッド, Capacitance-Time Method]

CT法(Capacitance-Time Method)は、半導体デバイス内のトラップ(電荷キャリアが一時的に捕捉される欠陥)の特性を調べるのに使用される測定法だ。

この方法は、デバイスのキャパシタンス(電荷を蓄える能力)を時間経過に伴って測定し、その結果からトラップレベルのエネルギー状態や密度などを解析することができる。

CT法の基本原理

CT法では、半導体デバイス(例えば、MOSキャパシタやPN接合など)に一定の電圧を印加し、その後電圧を変化させてデバイスのキャパシタンスの変化を時間に対して測定する。

電圧の変化によってトラップされたキャリアが放出され、この過程でキャパシタンスが変化する。

キャパシタンスの時間依存性から、トラップされたキャリアの放出速度やトラップの特性を解析することが可能だ。

CT法の測定手順

  1. 初期化: デバイスを特定の状態に設定し、トラップを一定の状態にする。これは、通常、高い電圧を印加してデバイスを飽和させることによって行われる。
  2. 電圧変化: 初期化後、電圧を急速に変化させてトラップ状態を変更する。この電圧変化は、トラップされたキャリアを放出させることを目的としている。
  3. キャパシタンス測定: 時間の経過と共にキャパシタンスを測定する。キャパシタンスの変化は、トラップからキャリアが放出される過程を反映している。
  4. データ解析: 測定されたキャパシタンスの時間依存性から、トラップレベルの特性や密度などを解析する。

CT法の応用

CT法は、半導体デバイスの信頼性評価や欠陥解析に広く使用されている。特に、以下のような応用がある。

  • トラップ密度の測定: デバイス内のトラップの密度や分布を測定し、デバイスの品質や信頼性を評価する。
  • エネルギー状態の解析: トラップのエネルギー状態を解析する。これは、デバイスの動作特性に影響を与える可能性がある。
  • 信頼性の評価: デバイスの経時変化やストレス下での挙動を評価し、長期的な信頼性を予測・評価する。

CT法による測定は、デバイス内の微細な物理的過程を解明するために用いられ、特に新しい材料や構造を持つデバイスの開発において、その性能と信頼性を評価する上で不可欠な手段となっている。

CT法のメリット

  • 非破壊的測定: CT法は、デバイスに永続的な損傷を与えることなく、トラップの特性を測定できる非破壊的な手法だ。これは大きなメリットで、同一のサンプルに対して複数回、測定を行うことができる。
  • 高感度: 微小なキャパシタンス変化も検出できるため、少量のトラップでもその特性を解析することができる。これは、高品質なデバイス製造において重要だ。
  • 広範囲の適用性: さまざまな種類の半導体デバイス、例えばMOSトランジスタ、ダイオード、太陽電池などに適用可能であり、材料やデバイスの種類を問わず広範囲に渡って使用されている。

CT法の制限と課題

  • 複雑なデータ解析: CT法によって得られるデータの解析は複雑であり、トラップの特性を正確に把握するためには、半導体物理に関する深い知識が必要となる。
  • 測定条件の影響: 測定結果は、使用する測定装置や条件(温度、電圧の印加方法など)に敏感なので、これらの条件を適切にコントロールすることが、信頼性の高いデータを得るためには重要となる。
  • 限定された情報: CT法はトラップの特性に関する重要な情報を得ることができるが、デバイスの全体的な性能や他の欠陥に関する情報は少ない。そのため、デバイスの総合的な評価には、他の測定技術との組み合わせが必要となる。

Cu[カッパー, Copper, 銅]

銅(Cu)は半導体デバイスの製造において、その優れた電気伝導性と熱伝導性のために非常に重要な材料だ。

1990年代後半以降、アルミニウム(Al)に代わって、銅が集積回路(IC)の配線材料として広く採用されるようになった。

銅を使用することで、デバイスの性能向上と消費電力の削減が実現できるためだ。

また、アルミニウムのようにマイグレーションという現象で断線したりするリスクも少ないのがCuの良いところだ。

Cuの重要性

  1. 高い電気伝導性: 銅はアルミニウムよりも電気伝導性が高く、同じサイズの配線でより多くの電流を効率的に伝えることができる。これにより、チップの動作速度が向上し、高速なデータ処理が可能となる。
  2. 優れた熱伝導性: 銅は熱を効率的に伝導するため、発熱によるデバイスの性能低下や信頼性の問題を軽減できる。
  3. 電気抵抗の低減: デバイスの小型化に伴い、配線の断面積が減少し、電気抵抗が増大する傾向にある。銅の使用により、この抵抗の増加を抑え、デバイスの消費電力を低減することができる。
  4. 信頼性の向上: 銅配線はアルミニウム配線に比べて電気マイグレーション(電流による金属原子の移動現象)に強いため、長期間にわたる使用においても配線の断線や接続不良が起こりにくくなる。これにより、デバイスの信頼性が向上する。

Cuの使用における課題

銅は多くの利点を持つ一方で、半導体デバイスの製造プロセスにおいていくつかの課題があるのも事実だ。

銅はシリコンやシリコンダイオキシドなどの伝統的な半導体材料と容易に反応し、デバイスの性能を損なう可能性がある。

このため、銅配線の導入に際しては、銅が周囲の材料に拡散しないようにするための拡散阻止層(バリア層)が必要となる。

CV特性(C-V特性)[キャパシタンス-ボルテージ キャラクタリスティク, Capacitance-Voltage Characteristic]

MOS構造(Metal-Oxide-Semiconductor構造)、PN接合、ショットキー接合などが持つ接合容量のバイアス電圧依存特性をCV特性という。

PN接合、ショットキー接合は空乏層がバイアス印加により変化する。

MOSの容量は、シリコン酸化膜の容量Coxと、シリコン酸化膜との半導体界面にできる空乏層容量、反転層の誘起電荷の容量の和となる。

界面半導体の容量が、バイアス電圧により変化する。

反転層に誘起された電荷は、高周波では応答しない。

そのため容量効果はなく、容量特性は低周波と高周波で異なるのを覚えておいていただきたい。

CV法[キャパシタンス-ボルテージ メソッド, Capacitance-Voltage Method]

表面に形成した接合容量の電圧依存性を測定することにより、半導体層の不純物密度分布を求める方法をCV法という。

半導体層にどれだけ不純物イオンを打ち込み、どのくらいの濃度の拡散層が形成されているかを知ることができるのがCV法だ。

半導体表面から、拡散により表面濃度の高いPN接合あるいは金属膜を形成して、ショットキー電極を作る。

そして、接合に逆方向バイアス電圧をくわえて、接合の容量を測定する。

CW変調[コンティヌアス・ウェーブ・モデュレーション, Continuous Wave Modulation]

CW変調とは、正弦波搬送波変調のことである。

正弦波の搬送波による変調方式で、パルス列の搬送波を用いる。

正弦波の振幅、周波数、位相をベースバンド信号により変調する方式をそれぞれ

・振幅変調AM

・周波数変調FM

・位相変調PM

と呼ぶ

CZ法[チョクラルスキー・メソッド, Czochralski Method]

CZ法(チョクラルスキー法、Czochralski Method)は、シリコンなどの半導体基板を製造するための方法の一つだ。

1916年にポーランドの科学者、ヤン・チョクラルスキーによって発明されたので、その名前がついている。

この方法は、特に集積回路(IC)や太陽電池の製造に用いられる高純度のシリコン単結晶インゴットを作成するのに広く使用されている。

CZ法の基本プロセス

  1. 溶融: 純度が非常に高いポリシリコンを高温(約1420℃)で溶融し、シリコンの溶融液を作る。この溶融液は、通常、石英製のるつぼに入れられる。
  2. 結晶の種(シード)の挿入: 高純度のシリコン単結晶から作られた小さな結晶(シード)を溶融シリコンの表面に接触させる。
  3. 回転と引き上げ: シードをゆっくりと回転させながら、徐々に引き上げる。この過程で、溶融シリコンがシードに結晶化してくっつき、単結晶のインゴットが成長する。
  4. 冷却: インゴットをゆっくりと冷却し、内部に応力が生じないようにする。

CZ法の特徴

  • 高純度: CZ法では、非常に高い純度のシリコン結晶を製造することができる。これは、半導体デバイスの性能に直接関わる重要な特性だ。
  • 大型インゴットの製造が可能: 現在、直径300mm以上の大型シリコンウェーハーを製造するのに用いられるインゴットも、CZ法で作ることができる。
  • 結晶方向の制御: シード結晶の選択により、成長する単結晶の結晶方向を制御できる。これも、デバイスの性能を最適化するために重要な点だ。

CZ法の課題と制限

  • 高いエネルギー消費: CZ法は大量のエネルギーを消費する。溶融シリコンを維持し、インゴットを成長させる過程で高温を維持する必要があるためだ。
  • 酸素や炭素の不純物: 溶融シリコンが石英るつぼと反応することで、微量の酸素や炭素がシリコン結晶に取り込まれることがある。これらの不純物は、特定のアプリケーションでは性能に影響を与えるので細心の注意が必要だ。
  • コスト: 高純度の材料と高エネルギー消費により、CZ法で製造されたシリコンウェーハーのコストは比較的高価だ。