半導体プロセス

半導体ウエハの加工フローを解説

半導体ウエハは、半導体チップのもとになる重要な材料です。

ウエハは、薄い円盤形状になって、ウエハメーカー(信越化学工業株式会社やSUMCOなど)から半導体デバイスメーカーへ納品されます。

ウエハが薄い円盤形状になっているかというと、インゴットという長い円柱状の半導体素材から、ウエハの薄さに切り出しているからです。

ここでは、どのように半導体インゴットから薄い円盤形状の半導体ウエハを作り上げるのか、そのフローを見ていきたいと思います。

ブロック切断

まずは、半導体インゴットをいくつかのブロックに分けて切断します。

いきなり薄く切ることは難しいので、まずは大まかなブロックにわけて切断するわけです。

半導体インゴットは非常に硬いので、ブロックに切断するのも非常に大変です。

ここで、半導体ウエハの直径を顧客要求のサイズに整えてます。

さらに、X線方位測定器を使って、顧客から要求された特定の結晶面にオリエンテーションフラット(オリフラ, OF)やノッチという欠けがつけられます。

なぜ、オリフラやノッチが必要かというと、半導体デバイス製造工程で行うフォトリソグラフィ(写真製版)工程の位置合わせに使うためです。

スライシング(切断)

半導体インゴットのブロックを、半導体ウエハの厚みで一枚一枚切り出していく作業が、スライシング(切断)です。

べべリング(面取り作業)

切り出した半導体ウエハの「フチ」に着目します。

半導体ウエハの「フチ」は切り出した直後なので、いびつな形状をしていますし、一枚一枚ばらばらでばらつきがあります。

それをべべリング(面取り)で均一化していくのがこの工程です。

べべリングは、ウエハのフチ(端面)をダイヤモンド層のついた砥石で丸ーく形状加工(研磨)します。

切り出された直後のウエハは一枚一枚ごとに形状にばらつきがあるので、べべリングも一枚一枚行われます。

一枚一枚行うことを、枚葉処理、と呼ぶことがあります。

ラッピング(研磨)

次にラッピングという研磨工程に入ります。

ラッピングは上限のラッピング盤の間にウエハをセットし、特別な液体を半導体ウエハに流し込みながら、ごりごりと回転させながら上下から半導体ウエハを研磨していきます。

ラッピング工程で半導体ウエハは上下に加圧されることで、一定の平坦度を保つことができます。

全体エッチング

ラッピング工程では機械的にウエハを研磨するため、ウエハに機械的ダメージが入ってしまいます。

このままの状態で出荷してしまうと、機械的ダメージを受けた部分が半導体デバイスとして機能しないことがあり、半導体デバイスの不良につながってしまうため、機械的ダメージを化学的なエッチングで取り除く必要があります。

アニール(ウエハの抵抗率を安定化させるため)

次に半導体ウエハに熱をかけるアニール工程に入ります。

アニール工程の目的は、半導体ウエハの抵抗率を安定化させるためです。

ではなにが半導体ウエハの抵抗率の安定化を邪魔しているのでしょうか?

たとえば、酸素元素があげられます。

半導体の単結晶インゴットをチョクラルスキー(CZ)法で作るとき、最初は非常に高温の炉で半導体の原材料を溶かしますが、インゴットを引き上げるときに冷却され、その過程でインゴットの中に酸素原子が紛れ込むことがあります。

複数の酸素原子が集まって電子を放出し、酸素ドナーが形成されると、半導体ウエハの抵抗率が変化してしまうのです。

この酸素ドナーを除去するために、熱をかける(アニールする)必要があります。

窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気中でアニールすることで、酸素ドナーをキャンセルすることが可能です。

ポリッシング

次にポリッシング工程に入っていきます。

ここでは、科学的にエッチングされた片方の面をワックスるを使いプレートに接着させて、その一方の露出面を片面研磨していきます。

ここでもラッピング工程と同じように、特別な液体を流し込みながら、慎重に機械的研磨をしていきます。

ポリッシング工程の目的は、とにかくウエハを平坦にすることです。

半導体ウエハが平坦であることは、半導体デバイスを作るうえで、非常に重要なポイントです。

なぜなら、ウエハが平坦でなければ、フォトリソグラフィ工程で焦点が合わず、それによって狙い通りの寸法パターンが形成されず、半導体デバイスとして機能しなくなる、という問題が考えられるためです。

平坦さだけではなく、微細な凹凸もポリッシング工程でなくしていきます。

クリーニング

ポリッシング工程がおわると、クリーニング工程に入ります。

クリーニングでは、有機異物を除去するためのアルカリ系クリーニングと、金属イオンなどを除去する酸系クリーニングで徹底的に洗浄されます。

ウエハ出荷前検査

半導体ウエハの出荷前検査も重要です。

結晶特性に関する検査や外観検査などがあります。

結晶方位や半導体ウエハの導電型、抵抗率、結晶欠陥、酸素濃度、ウエハそり測定などたくさんの検査項目があります。

これを満足した半導体ウエハのみが顧客へ出荷されます。

ウエハ出荷

半導体ウエハが出荷される際は、専用の容器に半導体ウエハをいれ、適切な湿度や異物対策を施した梱包がなされ、出荷されます。

ウエハに関するQ&A

ウエハのオリフラとは何のこと?

オリフラは、オリエンテーションフラット(Orientaion Flat)の略称。

フラットということは平坦ということです。