半導体プロセス

【目的別に整理】半導体プロセスのいろいろな熱処理の種類

半導体プロセス 熱処理の種類あれこれ

半導体デバイスの製造での熱処理は、シリコンウエーハを窒素(N2)やアルゴン(Ar)などの不活性ガス雰囲気中で熱を与えることを意味します。

ただし、純粋な不活性ガスだけでなく、微量な酸素(O)を添加して薄い酸化膜を成長させながら行なう処理もありますし、または水素(H)を添加して熱酸化膜とシリコン界面の電気的特性を安定化させる処理などを行うこともあります。

「ドライブイン(Drive-in)」の熱処理

「ドライブイン」の熱処理では、シリコン表面近くに添加した導電型不純物(ボロンやリンなど)を熱拡散現象によってシリコンの内部へ押し込むように拡散させます。これによって、狙い通りの不純物領域(PN接合など)をつくります。

熱処理炉でたくさんのシリコンウエハをならべて、まとめて処理する(まとめて処理することをバッチ処理といいます)ことが多いです。

「ドライブイン(Drive-in)」の熱処理は、真性半導体へ不純物を押し込むので「押し込み」の熱処理と読んだりすることもあります。

「リフロー(Reflow)」の熱処理

「リフロー」では、ボロンやリンあるいは両方を含んだ融点の低いBPSG膜(ボロン・リン・シリケートガラス)を高温でダラダラに流動化して、ウエーハ表面をなだらかにするための熱処理です。

BPSGに含まれるボロンとリンの濃度、熱処理温度、処理時間でどれだけの熱を加えると、BPSG膜がダラダラになるかを制御します。

「シリサイド化」の熱処理

「シリサイド化」の熱処理は、金属とシリコンを直接接触させた状態で行う熱処理です。

ある一定の熱処理温度をかけると、金属とシリコンが反応して、合金化します。

これをシリサイド化といいます。

たとえば、ニッケル(Ni)とシリコン(Si)を熱処理で反応させると、ニッケルシリサイド(NiSi)になります。

ニッケルシリサイドは、MOSトランジスタのゲート電極やシース・ドレイン拡散層の表面に積層し、層抵抗を下げる目的でよく利用される便利なものです。

「活性化」の熱処理

「活性化」の熱処理では、ウエーハに熱を加えてシリコン結晶格子を振動させることにより、イオン注入された導電型不純物を正しく格子点に入れることで、電気的に活性化させます。

「界面安定化」の熱処理

「界面安定化」では、熱酸化膜(SiO2)とシリコン(Si)の界面にある未結合手(ダングリング・ボンド)を水素(H)で終端(ターミネーション)することで電気的特性を安定化します。

このために窒素で希釈した水素ガス(フォーミングガス)が利用されます。

ただし、水素での熱処理は危険を伴うので、ガス流量比に最大限の配慮を行いながら実施する必要があります。

「シンター」の熱処理

「シンター」の熱処理は、シンタリングとも呼ばれますし、「アロイ」とも言われます。

「シンター」の熱処理は、金属配線とシリコンとのオーミック接触(コンタクト)を確保するために行います。

「シンター」の熱処理によって、金属とシリコンが共晶反応してオーミック接触を形成することを狙います。

熱処理装置の種類

熱処理を行なう装置には、「熱処理炉」と「RTA(ランプアニーラーともいいます)」の2種類があります。

RTAでは赤外線ランプによる急速な昇降が可能で、特に短時間の高温熱処理に適しています。

RTAの説明は詳しい説明はこちらをどうぞ↓

RTA
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