半導体のことを勉強していて、絶対に出てくるのが「バンド理論」です。
バンド理論が理解できれば、半導体デバイスの理解がかなり進みます。
しかし、バンド理論を誰が、いつごろ作ったのか、といった情報は教科書にはのっていないこともあります。
そこで、今回はバンド理論についての記事を書いていきたいと思います。
バンド理論の提唱者は、イギリス人のウィルソン氏
半導体工学の基礎ともいえるバンド理論を最初に提唱したのは、イギリス人のウィルソン氏です。
1931年の出来事でした。
1931年当時は、そもそも半導体という物質がはじめて出てきて、なんだこの物質は?という状態でした。
普段は電気を通さないのに、ある場所に、ある条件で電圧をかけると、電流が流れる、なんだこれは、という状態だったはずです。
それまでは、電気をよく通す導体と、電気を通しにくい絶縁体しかなかった時代ですからね。
そんなみんなの疑問に、イギリス人のウィルソン氏がエネルギーバンド理論を持ち込んで、導体と半導体と絶縁体の違いを説明しました。
非常に画期的な理論だといえるでしょう。
ショットキーコンタクト(金属-半導体接合)も1931年に提唱
半導体を使うときは、電気を使うので、かならず金属と半導体とくっつける(接合させる)必要があります。
全く違う物質がくっつくので、電気が通るときの接合と電気が通らないときの接合があって、昔はなんでこんな事が起こるんや!!原因はなんや!!という問題が起こっていました。
そんな1931年のある日、ドイツ人のショットキー氏とワグナー氏によって金属と半導体の接合理論というものが提唱されました。
これによって半導体の整流性(ある方向だけに電気を流す作用のこと)の説明できるようになりました。
これもバンド理論に負けず劣らずの偉大な発見だったので、いまでは金属-半導体接合のことを「ショットキーコンタクト」と呼ぶこともあります。
半導体の世界では、ショットキーコンタクトといえば意味が通ります。
そのくらい知名度が高いです。
おまけ:1920年代に登場した著名学者とその理論
バンド理論が出てきたのが1931年でしが、その少し前にいまの最先端技術に影響を及ぼす偉大な理論がいろいろと出てきました。
たとえば、フランス人のド・ブロイ氏は、1924年に「物質波」という概念を提唱します。
ド・ブロイ波という名前でいまもバリバリ活用されています。
1926年には、シュレディンガー氏が、波動力学を提唱します。量子力学で欠かせないシュレディンガー方程式を生み出したのがこの人です。
がっつり名前が方程式として残っているので、知っている人も多いと思います。
1928年には、ブロッホ氏(スイス)が「結晶」のエネルギーバンド理論を提唱しました。
この結晶のエネルギーバンド理論というのが重要で、半導体は結晶構造を形成している物質なので、この理論が半導体の理解に直結するわけです。
このブロッホ氏の理論をブラッシュアップしたのが、ウィルソン氏です。