半導体製造装置

半導体装置に欠かせない様々な真空ポンプ

スパッタイオンポンプ(sputter ion pump)

スパッタイオンポンプは、オイル(油)を使わないドライ真空系ポンプだ。

スパッタイオンポンプの原理はペニング放電と同じだ。

放電を起こし、電子がガス分子と衝突してイオン化する。

イオンは陰極へ衝突して、チタンを叩き出す。

チタンは、用局面などに付着してきれいで純粋なチタン膜を形成する。

この純粋なチタン膜がゲッター膜として作用し、活性ガス分子(水素など)をつかまえて(吸着して)排気することができる。

不活性ガス (窒素、二酸化炭素、ヘリウム,ネオン,アルゴン,クリプトン,キセノン,ラドンなど科学的に安定していて、他の化合物と反応しにくいガスのこと)はイオンとして陰極につかまえられ、真空度が上がる。

スパッタイオンポンプは、10-4~10-9Paという高い真空度を作り出せるのが特徴だ。

また機械的な振動や騒音が出にくいため、振動などを好まない分析装置の真空ポンプとしてよく利用されている。

例えば、走査型電子顕微鏡や透過電子顕微鏡(TEM)の電子銃室や鏡筒の高真空の排気に用いられることが多い。

イオン電流を監視(モニター)することも可能で、このイオン電流をモニタリングすることで、真空度の情報も一緒に監視できる。

一方で、大流量のガスの排気には向いていないので注意しチア。

また動作開始時にはまあまあ高い真空度であることが求められるので、事前の真空の荒引きは必須だ。

(スパッタイオンポンプは、大気圧から使うことはできないということ)

ターボ分子ポンプ(Turbo Molecular Pump, TMP)

ターボ分子ポンプ(Turbo Molecular Pump, TMP)は、非常によく使われる真空ポンプの一つだ。

ターボ分子ポンプの構造は、ターボジェットエンジンと同じ圧縮式だ。

ターボ分子という名前のとおり、分子流の領域をカバーするポンプで、高速で回転する翼がついており、ガス分子をつかまえて廃棄する、という原理で真空度を高める。

ガス分子は熱エネルギーを受けて、高速で空間を飛び回っており、どこかの壁にあたると圧力が生じるが、それがチャンバーの圧力として観測されている。

ターボ分子ポンプの回転翼は、ガス分子の飛び回るスピードよりも早くなければいけない。

なぜなら、ガス分子が翼の間をうまいことすり抜けてしまい、排気ができず、真空度が上がらないからだ。

回転翼でガス分子を叩いて、運動エネルギーを与えて、排気する。

ターボ分子ポンプの回転翼はロータとも呼ばれる。

回転翼と対になるのが固定翼だ。

固定翼は、ステータとも呼ばれる。

ターボ分子ポンプ内では、ロータとステータをペアとして、何段もペアを形成し、サンドイッチのように配置される。

なぜこういった構造にしているかというと、ガス分子はすべてポンプへ向かうのではなく、バックストリームという逆流が存在するため、それらを捕まえる必要があるので、ロータとステータのペアが必要になってくる。

バックストリームは排気能力の低下を招き、チャンバー汚染を引き起こす可能性がある非常に厄介な要素だ。

そこで、ロータとステータの対構造を形成し、バックストリームを再び打ち返して、そのまた次のロータとステータの対構造でガス分子をつかまえていき、真空度を高めていく。

ターボ分子ポンプのなかには、翼の角度にも工夫が施されているものもある。

吸気側と排気側で翼の角度を変えるという工夫だ。

こういった工夫でバックストリーム対策を行い、真空度を高める。

ターボ分子ポンプは小型なものほど、高い性能が要求される。

なぜなら、小型で翼が小さいので回転速度を上げないと、高い排気能力が見込めないからだ。

回転速度をあげるということは、モーターの高性能なものが要求されるし、筐体も頑丈なものが求められる。

高速回転の大きな遠心力に耐える必要があるからだ。

一方で、大型のターボ分子ポンプは、大きな翼があるので、低速でも高い真空度を得ることができる。

ターボ分子ポンプにもデメリットがある。

それは、水素など非常に軽い気体をつかえることが難しいという点だ。

水素などは軽いので空間をすばやく飛び回り、翼で捕まえることが難しい。

また、ターボ分子ポンプの翼は、金属(アルミなど)で作られている。