半導体プロセス

半導体工場で使用するガスや薬品

半導体工場で使用するガス

窒素ガス(N2):

酸化プロセスやアニールプロセスで酸素を除去するために使用されます。また、窒素はクリーンルーム内でクリーンな環境を維持するためにも使用されます。

アルゴンガス(Ar):

フォトリソグラフィやプラズマエッチングなどのプロセスでプラズマを生成するために使用されます。

酸素ガス(O2):

人間の呼吸になくてはならない酸素も、半導体プロセスには欠かせないガスです。

酸素ガスは、酸化プロセスやエッチングプロセスで酸素供給源として使用されます。

Siの熱酸化膜を作る場合には、一定量の酸素ガスを入れた雰囲気で、高温の熱処理を長時間かける必要があります。

こういった場面で酸素ガスが欠かせないのです。

フッ酸:フッ化水素酸(HF; Hydrofluoric acid):

シリコンウェハーの酸化膜をエッチングするために使用される強力なエッチングガス。

クロロトリフルオロメタン(CFC-11):

CFCガスは以前、半導体プロセスで冷却や浸漬エッチングに使用されていましたが、環境への影響のために使用が制限されています。

アンモニアガス(NH3):

化学気相成長(CVD)プロセスで窒化ガリウム(GaN)や窒化珪素(Si3N4)などの材料を成長させるための「前処理」としてアンモニアガスが使用されることがあります。

たとえば、

低圧化学気相成長(LPCVD)によるケイ素窒化物(SiN)パッセーションの堆積前にアンモニア(NH3)前処理の影響が、GaN高電子移動度トランジスタ(HEMTs)のパフォーマンスに対して調べた論文があります。

3つの異なるNH3前処理時間(0分、3分、および10分)に振り分けてGaN-HEMTを作製し、界面特性とデバイスのパフォーマンスの観点から比較したものです。

結果、NH3前処理を10分間行った場合、周波数3GHz動作時での高出力パワーが3.4[W mm−1]となり、NH3未処理サンプルの2.6[W mm−1]と比較してパフォーマンスが向上することが示唆されました。

つまり、GaNのLPCVD前にアンモニアガスNH3前処理を行うことが重要であり、GaN HEMTの大信号マイクロ波パフォーマンスを効果的に向上させることが示されたといえるのです。

参考文献のリンク

 

そもそもHEMTとは?

HEMT(High Electron Mobility Transistor、高電子移動度トランジスタ)は、主に高周波および高速の電子デバイスとして使用される半導体デバイスです。以下は、HEMTの主要な使用用途です:

  • 高周波アプリケーション: HEMTは高周波信号を効率的に増幅できるため、無線通信、衛星通信、携帯電話、無線LAN、レーダーシステムなど、高周波アプリケーションで広く使用されています。高速データ伝送や通信の要件を満たすために、HEMTは高周波帯域での優れた性能を提供します。
  • マイクロ波増幅器: HEMTはマイクロ波増幅器としても利用され、信号の増幅や処理に使用されます。マイクロ波増幅器は、通信、航空宇宙、防衛、天文学などの分野で重要です。
  • ローノイズ増幅器: HEMTは低ノイズ増幅器としても利用され、弱い信号の増幅を行います。この特性は、受信機やセンサーシステムなど、ノイズが問題となるアプリケーションで重要です。
  • ミリ波およびサブミリ波デバイス: HEMTはミリ波およびサブミリ波帯域でのデバイスとしても使用され、高周波帯域での性能を提供します。これは、高解像度レーダー、無線通信、安全検査、および科学研究に関連するアプリケーションで利用されます。
  • 高速デジタル回路: HEMTは高速デジタル回路の一部としても使用され、高速スイッチングと低消費電力の要件を満たすために採用されます。これにより、高速デジタル通信、高速データ処理、および計算機科学における性能向上が可能となります。

HEMTはその高い電子移動度と高周波性能により、多くのアプリケーションで重要な役割を果たしており、高性能な半導体デバイスとして広く採用されています。

シランガス(SiH4):

化学気相成長(CVD)プロセスでシリコンの薄膜を成長させるために使用されます。

ホスフィンガス(PH3):

化学気相成長(CVD)プロセスでリンをドープ(不純物として導入)するために使用されます。

ブタジエンガス(C4H6):

化学気相成長(CVD)プロセスで有機薄膜を成長させるために使用されます。

ニトロゲントリフルオライド(NF3):

プラズマエッチングプロセスでエッチングガスとして使用され、ケミカルウェハークリーニングにも使用されます。

二酸化炭素ガス(CO2):

レーザー加工プロセスや一部の洗浄プロセスで使用されます。

水素ガス(H2):

フォトリソグラフィやエピタキシャル成長などのプロセスで還元ガスとして使用されます。

半導体工場で使用する薬品

リソグラフィ(フォトリソグラフィ)で使用する薬品

フォトレジスト:

パターンを転写するためにフォトマスクに露光され、後でエッチングや薄膜形成に使用される。

フォトレジストは半導体製造に欠かすことのできない極めて重要な物質です。

フォトレジストそのものを製造しているメーカーには、東京応化工業やJSRなどがあります。

フォトレジスト現像液:

露光後のフォトレジストを現像するために使用します。

パターン(模様)がついたマスクを通して、半導体基板を露光したあと、現像液につけることで、フォトレジストがパターン通りに固まったり、剥がれたりします。

露光した箇所が固まるレジストを、ネガレジスト(ネガフォトレジスト)

露光した箇所が剥がれるレジストを、ポジレジスト(ポジフォトレジスト)

といいます。

エッチングガス:

シリコンウェハー上の不要な材料を削除するために使用。

例:クロロフルオロカーボン (C4F8)、硫化水素 (H2S)。

シリコンウェハー洗浄で使用する薬品

ビルク溶剤:

ウェハーの汚れや残留物を除去するために使用される。

酸性洗浄溶液:

ウェハー表面の酸化物を取り除くために使用。

化学気相成長(CVD)で使用する薬品

シリコン源ガス:

シリコンの薄膜成長に使用される。例:シリコンテトラクロライド (SiCl4)。

ドーパントガス:

半導体材料にドープ(不純物を導入)を行うために使用。例:ホスフィン (PH3)、ジブラン (B2H6)。

物理気相成長(PVD)で使用する薬品

ターゲット材料:

ウェハー上に薄膜を形成するための材料。例:アルミニウム (Al)、銅 (Cu)。

イオン注入で使用する薬品

イオン源:

半導体デバイスにイオンを導入するためのイオン源ガス。例:ホウ素 (B)、ホスホルス (P)。

メタル形成:

銅(Cu)めっき液:

インターコネクトの導体として使用される。

エッチングガス:

不要な導体を削除するために使用。