半導体デバイス

メモリ【DRAM(ディーラム)】の特徴と基本動作

DRAMの特徴と基本動作

メモリ:DRAMの概要

パソコンの高機能化・高速処理化とともに、データを記憶しておくメモリ「DRAM」の記憶容量は急速に増大していきました。

デジタルカメラや音楽プレイヤーなどに搭載されるフラッシュメモリと業界を二分していますが、パソコンに大量使用される「DRAM」が長い間、世界の半導体市場を牽引してきました。

DRAMのメモリセル(記憶素子を構成する基本単位)は、MOS型トランジスタ(MOSFET)とコンデンサの組み合わせでできています。

MOSFETの呼び方は、「モスフェット」や「モスエフイーティー」といろいろあります。

MOSFETのゲートにはワード線が、ソースにはビット線(データ線)が接続されていてメモリに蓄積されている電荷の入力・出力を制御しています。

メモリセルのコンデンサに電荷があるとき:デジタル回路でのデータ 「1」

メモリセルのコンデンサに電荷が無いとき: デジタル回路でのデータ「0」

に相当していて、電荷の書き込み/読み出しの動作制御はMOSFETのスイッチング動作で行っています。

また、DRAMのメモリセルブロック構成は、必要なビット数をワード線(ヨコ線)×ビット(タテ線)の格子状(マトリクス状)に配列してDRAMメモリが形成されています。 

ワード線とビット線の交点を選択することによって、任意の場所(アドレス)のメモリセルに情報を書き込んだり、データを保持したり、データを読み出したりすることができます。

DRAMメモリセルのコンデンサに蓄積された電荷は、MOSFETがスイッチOFFの状態であっても、リーク電流によって徐々に減少していきます。

電荷が減少していくと、メモリに蓄えられていたデータは、「1」 から「0」に変化してしまいます。

データそのものが変わってしまう可能性があるのですね。

その対策としてDRAMは、一定時間毎にデータを再書込み(コンデンサの電荷を再充電)して、メモリの中身が消えないようにしています。

これをDRAMのリフレッシュ動作と呼びます。

DRAMの動作説明

ここでは、メモリセルの「データの書き込み」「記憶保持」「データ読み出し」3つの状態について解説します。

コンデンサという素子は電荷を蓄えることができる電子素子です。

わかりやすくいうとバッテリーですね。

コンデンサを水を貯める貯水タンクにたとえてみましょう。

水を電荷に見立てて、メモリセル動作を説明します。

繰り返しになってしまいますが、DRAMはワード線(ワード行の1本を選択するための制御信号線)とビット線(ビット列の1本を選択するための制御信号線)の交点を選択し、各メモリセルのコンデンサに電荷を書き込み/読み出して、メモリ動作を実現しています。

データの書き込み

メモリデータ「1」 を書き込むには、ワード線に高めの電圧をかけてMOSFETをONにし、ビット線にも同様に高めの電圧をかけてコンデンサに電荷を溜めます。

これは蛇口をあけて貯水タンクに水を入れる動作に相当します。

MOSFETをONにした状態で、ビット線に低めの電圧をかけると、コンデンサに溜まっていた電荷はビット線に流れ出し、メモリに「0」となります。

これは、貯水タンク内の水が、自らの水圧で水が貯水タンクから流れ出ることに相当します。

データの記憶保持

ゲート電圧をオフにしてMOSFETをOFFにすれば、コンデンサ(貯水タンク)の電荷(水)はそのまま変化せず「1」(タンクがいっぱい)か「0」(空っぽ)の状態を記憶しつづけます。 

データの読み出し

メモリセルからのデータ読み出しはゲート電圧をオンにしてMOSFETをONにして、そのときのコンデンサ(タンク)の状態を検出します。

MOSFETに高めの電圧をかけてONにし、コンデンサ(貯水タンク)から電荷(水)が流れ出せばメモリデータが「1」、コンデンサ(貯水タンク)から電荷(水)が流れ出さなければ、メモリデータが「0」であると認識することができます。