半導体デバイス

【GPUを深堀り】メーカーからプログラミング環境、メモリ転送速度まで

GPUとは

GPU(Graphics Processing Unit)は、グラフィックス処理ユニットの略語です。

GPUは、コンピューターグラフィックスの描画や処理を高速かつ効率的に行うために設計された専用のハードウェアコンポーネントです。

世の中に初めて登場したGPUは、まだまだ性能の低いパソコンのゲームや3Dグラフィックスの処理にメインで使用され、高性能なグラフィックスを表示するために重要な役割を果たしてきました。

しかし、GPUはその後、計算用途にも使用されるようになりました。

特に、GPUは並列処理能力に優れており、科学計算、機械学習、ディープラーニング、仮想通貨マイニングなど、さまざまな高性能かつ大規模な計算タスクに活用されています。

GPUは、CPU(Central Processing Unit)と協力して、計算処理の高速化を実現します。

GPUは、多数のコアを持ち、同時に多くの計算を並行して実行できるため、特にデータ並列性の高いタスクに適しています。

このため、機械学習モデルのトレーニングや科学的シミュレーションなど、大規模な計算作業を効率的に処理できます。

近年、GPUメーカーは、ディープラーニングのトレーニングに特化したGPUを開発し、AIの研究や開発においても大きな役割を果たしています。

有名なGPUメーカーにはNVIDIA、AMD、Intelなどがあります。

GPUは、コンピューターの性能向上とさまざまな科学技術分野での革新的な応用に寄与しています。

GPUのデメリット

多大な電力消費

高性能なGPUは、多くの電力を消費します。

GPUが一つだけならそれほど大きな電力消費はありません。

しかし、GPUをたくさん使用する大規模なGPUクラスターやサーバーファームを運用する際に、多大な電力消費が問題となることがあります。

多くの電力を消費するということは、火力発電や太陽光発電、風力発電など電気エネルギーを必要とし、環境にとってはあまりよろしくありません。

もちろん、多くの電気代もかかってしまうので、長く運営する場合には多大なコストがかかってしまいます。

高価

高性能なGPUは高価であることが一般的です。

特にゲームや専門的な計算目的で使用する場合、高いコストがかかることがあります。

価格の上昇や在庫不足も、一部のユーザーにとって問題となっています。

プログラミングの難しさ

GPUを効果的に活用するには、特定のプログラムやアプリケーションをGPUに最適化する必要があります。

GPUプログラムの作成や最適化は、通常のCPUプログラミングとは異なるアプローチを必要とし、難易度が高いといわれています。

一般用途向けの制約

GPUは主に数値計算やグラフィックス処理に特化しており、一般用途の計算には適していないことがあります。

一部のタスクではGPUよりも、CPUがより適しており、GPUを使用することで性能向上が得られないことがあります。

複雑な冷却とメンテナンス

高性能なGPUを搭載したシステムは、適切な冷却が必要であり、これによりシステムの設計やメンテナンスが複雑化します。

また、GPUの故障や不具合を修理するために専門知識が必要です。

GPUのプログラミング

GPU(Graphics Processing Unit)のプログラミングは、主に並列処理の利点を活用して、高速な計算処理を行うための技術です。GPUはもともとグラフィックス処理用に設計されましたが、その強力な計算能力が科学計算やデータ分析、機械学習など、さまざまな分野で活用されています。

GPUプログラミングの特徴1:並列処理能力

GPUは数千の小さなコアを持ち、同時に多くの計算を行うことができます。

GPUプログラミングの特徴2:専用のプログラミング言語やフレームワーク

世界トップのGPUメーカーであるNVIDIAが提要する「CUDA」や、

NVIDIAやほかのintelのGPUにも対応できるオープンソースの「OpenCL」などがあります。

GPUプログラミングの特徴3:メモリ管理

GPUは独自のメモリを持っているため、効果的なメモリ管理が必要です。

GPUプログラミングの特徴3:アーキテクチャの理解

GPUのアーキテクチャを理解することで、より効率的なプログラムを作成できます。

「CUDA」とはNVIDIAが提供するGPUプログラミング環境

CUDA(Compute Unified Device Architecture)は、NVIDIAが開発したGPUプログラミングのためのプラットフォームおよびAPIです。

CUDAは特にNVIDIAのGPUに最適化されており、科学計算、工学的問題、ディープラーニングなど、高度な計算を必要とするアプリケーションに広く使用されています。

CUDAの特徴は下記の通りです。

CUDAの特徴1:直感的なプログラミングモデル

CUDAはC、C++のような慣れ親しんだ言語に基づいており、特殊な関数(カーネル)を通じてGPU上で実行されるコードを記述します。

CUDAの特徴2:大規模な並列処理

CUDAはGPUの数千のコアを活用して、大量のデータに対する並列処理を容易に行うことができます。

CUDAの特徴3:メモリ階層

CUDAでは、グローバルメモリ、共有メモリ、レジスタなど、異なる種類のメモリを効率的に使用できます。

CUDAの特徴4:スケーラブルなアプリケーション開発

異なるGPUアーキテクチャに対しても、一貫したプログラミングモデルを提供します。

CUDAでのプログラミングの概念

カーネル

GPUで実行される関数。多くのスレッドによって並行して実行されます。

スレッドとブロック

CUDAプログラムは、スレッドと呼ばれる小さな実行単位で構成され、これらはブロックというグループにまとめられます。

グリッド

複数のブロックから構成され、GPU上での全体的な作業の構造を形成します。

CUDAの具体的な開発キット

CUDA Toolkit

CUDA Toolkitは、NVIDIAが提供する開発キットです。

CUDA対応のGPUで動作するアプリケーションの開発に必要なコンパイラ、ライブラリ、デバッガーなどを含まれています。

以下のNVIDIA公式ホームページから、トレーニングやウェビナーを受けることも可能です。

非常に充実した内容になっています。

https://developer.nvidia.com/cuda-toolkit

CUDAと対をなす「OpenCL」とは

OpenCL(Open Computing Language)は、異なるタイプのプロセッサ(CPU、GPU、DSP、FPGAなど)を用いた並列プログラミングのためのフレームワークです。

OpenCLはハードウェアに依存しないオープンスタンダードとして設計されており、多様なプラットフォームでの実行が可能です。

これにより、プログラマーは一つのソースコードを書くだけで、異なる種類のデバイス上で動作するプログラムを作成できます。

OpenCLの特徴1:ハードウェアの独立性

OpenCLはNVIDIA、AMD、Intelなどの様々なメーカーのGPU、さらにはCPUやその他のタイプのプロセッサに対応しています。

OpenCLの特徴2:並列プログラミングモデル

OpenCLはデータ並列およびタスク並列の処理に対応しており、大規模な計算処理を効率的に行うことができます。

OpenCLの特徴3:標準化されたAPI

異なるプラットフォーム間での互換性を確保するため、標準化されたAPIを提供します。

OpenCLのプログラミングの概念

カーネル

OpenCLでのカーネルは、GPUやその他のプロセッサで実行される関数です。

このカーネルは、多数の並列実行スレッドによって実行されます。

プログラムとコンテキスト

OpenCLのプログラムは、カーネルを含むソースコードです。

コンテキストは、プログラムが実行される環境を定義します。

コマンドキューとメモリオブジェクト

コマンドキューは、デバイスへのカーネル実行やメモリ操作などのコマンドを管理します。メモリオブジェクトは、データを格納し、CPUとGPU間でデータを転送します。

GPUのプログラミング言語

GPUをプログラミングするために使用される言語やフレームワークは、主に以下のようなものがあります:

C++

たとえば、Intel社はC++に基づくプログラミングを支持しており、特にIntelのoneAPIとData Parallel C++(DPC++)はIntel GPUのために最適化されています。

DPC++はSYCL標準に基づいており、異なる種類のプロセッサ(CPU、GPU、FPGA)に対して一貫したプログラミングモデルを提供します。

OpenCL

OpenCLは、IntelのGPUを含む多種多様なハードウェアで並列計算を行うためのオープンスタンダードです。

Intelは自社のGPUでOpenCLをサポートしており、プラットフォーム間の移植性を提供します。

CUDA

前述したとおり、CUDAはNVIDIA社が提供しているGPUの開発環境です。

なので、Intel GPUは直接CUDAをサポートしていませんが、oneAPIにはCUDAコードをIntelのGPUで動作するDPC++コードに変換するツールが含まれています。

これにより、既存のCUDAコードをIntel GPUに移植することが可能になります。

GPUのメモリ転送帯域

GPUのメモリ転送帯域(memory transfer bandwidth)は、GPUのメモリと他のコンポーネント(通常はCPUや他のGPU)との間でデータを転送する際のデータの移動速度を指します。この帯域幅は、GPUが1秒間にメモリからどれだけ多くのデータを読み書きできるかを表す重要な性能指標です。

メモリ転送帯域の重要性

パフォーマンス

高いメモリ転送帯域は、特に大量のデータを扱うアプリケーション(例えば、大規模な科学計算やディープラーニング)で重要です。データ転送がボトルネックになることを防ぎます。

効率

効率的なデータ転送は、全体的な計算パフォーマンスを向上させます。GPUの計算能力が高くても、データ転送が遅ければ全体的な性能は低下します。

転送帯域の計算

メモリ転送帯域は通常、ギガバイト毎秒(GB/s)で測定されます。この数値は、メモリインターフェースの幅(ビット単位)、メモリクロック速度、およびメモリタイプ(例:GDDR5、HBMなど)に基づいて計算されます。

注意点

CPU-GPU間の転送

CPUとGPU間のデータ転送は、特にPCI Express(PCIe)バスを介して行われる場合、性能のボトルネックになり得ます。

GPU内部のメモリ転送

GPU内部でのメモリ転送(例えば、GPUのグローバルメモリとレジスタ間)は非常に高速ですが、効率的なメモリアクセスパターンを設計することが重要です。

GPUのメモリ転送帯域は、特定のGPUの性能を理解し、アプリケーションを最適化するための鍵となる要素の一つです。