半導体プロセス

Siのエッチングの原理を化学式を使って解説【半導体の前工程プロセス】

Siのエッチングの原理を 化学式を使って解説

半導体として最も使われている材料がSi(シリコン)です。

半導体の製造プロセスでは、Siをいかに精密に、正確に、速く加工できるか、ということが大事になってきます。

では、どのような原理でシリコンを加工するのか。

今回は、Siのエッチングについて化学式を用いながら説明したいと思います。

Siエッチングは2つのステップで構成されています。

ステップ1: Siを酸化させる

ステップ2: 酸化させたSi(SiO2)をエッチングする

これを詳しく解説していきましょう。

Siエッチングのステップ1:Siを酸化させる

Siエッチングのために、まずはSiを酸化させます。

酸化させるときに使うのが硝酸(呼び方:しょうさん、化学記号:HNO3)です。

Siの酸化反応は以下の化学式で表現できます。

Si_oxidation_fomula

シリコンを少しだけ削りたい場合は、硝酸につけておく時間を短くします。

シリコンをたくさん削りたい場合は、硝酸につけておく時間を長くします。

硝酸との反応時間を調整することで、シリコンの酸化反応を制御できます。

また、硝酸の濃度を濃くしたり、薄くしたりしてもシリコンの酸化反応を制御できます。

こんな具体に硝酸とシリコンを反応させて、SiO2(酸化シリコン、「えすあいおーつー」と呼ばれることもある)を作ります。

Siエッチングのステップ2:SiO2をフッ酸でエッチングする

次に、SiO2をフッ酸(化学記号:HF)薬液につけてエッチングします。

SiO2とフッ酸の化学式はこちら。

SiO2_etching_fomula

これでSiエッチングの原理は解説できました。

Siは結晶面によってエッチングスピードが違う?

次にSiの結晶構造によるエッチング速度の違いについてみていきましょう。

Siという物質は結晶構造を持った物質です。

結晶構造には、結晶の面方位というものがあります。

Si結晶面の(111)面は、(110)面と(100)面に比べて単位面積あたりのSi結合手の数が多いことがわかっています。

この結合手の数が多いので、(111)面はSiのエッチングスピードが、(110)面や(100)面と比べて遅いということが知られています。

 

参考文献

半導体デバイス, S.M.ジィー