積層型CMOSイメージセンサーランキング|3層・DRAM内蔵…最新技術を徹底比較

積層型CMOSイメージセンサーランキング|3層・DRAM内蔵…最新技術を徹底比較
2012年にソニーが世界初の積層型CMOSイメージセンサーを量産化して以来、積層技術はスマートフォンカメラの進化を支える核心技術となりました。光を集める「画素層」と信号を処理する「回路層」を分離し、さらに高速バッファメモリ(DRAM)を第3層として加えた3層積層構造は、現在のフラッグシップスマートフォンカメラを根底から変えました。本記事では積層型CMOSの仕組みと最新製品をランキング形式で解説します。
積層型CMOSの構造と仕組み
— 光を受け取り電荷に変換。BSI構造で光入射面が最上部
— 電荷を読み出しデジタル信号に変換。画素より大きい面積で高性能回路を集積
— 1/120秒の超高速連写データを一時蓄積。スロー動画・超高速電子シャッターを実現
積層型CMOSイメージセンサー技術・製品ランキング
2017年以降のソニーフラッグシップ、およびApple iPhone・Xiaomi等に採用される最高性能の積層型CMOSセンサー。画素層・回路層に加えてDRAM層を第3層として積層することで、センサー内部に大容量の超高速一時メモリを内蔵します。
このDRAM層があることで可能になった機能の代表例が「スーパースロービデオ(960fps)」と「歪みのない電子シャッター」です。960fpsの撮影では1/8000秒を32枚撮影する必要がありますが、DRAMなしでは読み出しが間に合わず実現不可能です。また通常のローリングシャッターは全画素を順番に読み出すため高速運動する被写体が歪みますが、DRAM内蔵機ではほぼ全画素同時読み出しに近い速度を実現し歪みが大幅低減します。
960fps動画歪みゼロ電子SS3層積層DRAM内蔵
積層技術をさらに進化させた最新アーキテクチャ。従来の積層型では「画素層に転送トランジスタ(TG)が存在」していたため、フォトダイオードが使える面積が制約されていました。2TGではこの転送トランジスタをも回路層(下層)へ移動することで、フォトダイオードを画素ピッチのほぼ全面積に拡大することが可能になります。
効果は劇的で、飽和信号量(センサーが蓄えられる最大電荷量)が従来比で約3倍に向上。これは「白飛びしにくさ」の大幅改善を意味し、逆光や高コントラストシーンでのダイナミックレンジが著しく向上します。同じ画素ピッチで比較した場合、従来センサーより圧倒的に性能が高いため、「画素の微細化と画質の両立」という永年の課題に対する最先端の回答です。
飽和信号量3倍ダイナミックレンジ最大2023年〜フラッグシップ
Samsungの積層型CMOSセンサーに搭載された「Smart-ISO Pro」技術は、センサーの露出時にISO感度を動的に切り替えることでダイナミックレンジを拡大する独自手法です。低・高ISO感度を同時に使い分け、信号処理回路層でリアルタイムに合成することで、明暗差の激しいシーンでも階調を保ちます。ISOCELL HP2(2億画素)や GN3などのフラッグシップセンサーに採用されています。
Smart-ISO ProStaggered HDR
積層型とグローバルシャッターを組み合わせた最難度の製品カテゴリ。グローバルシャッターは全画素を同時に露光できるため、ローリングシャッター歪みが根本的に発生しません。ただし全画素同時に電荷を蓄積する構造上、各画素に「電荷保持部(記憶ノード)」が必要となりフォトダイオード面積が減少するというトレードオフがあります。積層技術でこの記憶ノードを別層に移すことでこのトレードオフを解消できます。自動運転・産業ロボット・AR/VRヘッドセットの眼球追跡に不可欠な技術として注目されています。
ローリングシャッター歪みゼロAR/VR向け産業ロボット
積層型 vs 非積層型の性能比較
| 項目 | 非積層型(FSI/BSI 2D) | 2層積層型 | 3層積層型(DRAM内蔵) |
|---|---|---|---|
| 読み出し速度 | 低速 | 高速 | 超高速(全画素高速読み出し) |
| スロー動画fps | 最大240fps程度 | 最大480fps | 最大960fps以上 |
| 電子SS歪み | 顕著に発生 | 低減 | ほぼゼロ |
| 画素面積の自由度 | 高い | 中程度 | 2TG採用で高い |
| 製造コスト | 低 | 中 | 高(歩留まり管理困難) |
| 発熱 | 少 | 中 | 多(DRAM層が発熱源) |
積層技術の今後
現在の「3層積層」から、AIプロセッサ・ISP・メモリを全て積層した「完全システム統合型センサー」へと進化が予想されます。センサーそのものがエッジAI推論を行い、クラウドに生データを送る前に必要な情報だけを抽出するアーキテクチャが実現すれば、プライバシー保護・通信帯域削減・リアルタイム応答などで革命的な変化が生まれます。ソニーのSenSationaryビジョンがその方向性を示しています。
まとめ
積層型CMOSイメージセンサーはソニーが2012年に開拓した技術を起点に、業界全体の標準となりました。2TGや3層積層・グローバルシャッターとの組み合わせなど、技術の深化は止まりません。積層プロセスの歩留まり向上とコスト低減が量産の鍵であり、ソニーは引き続きこの分野で技術的なリードを保ち続けています。














