GPUの種類と用途まとめ【NVIDIA・AMD・Intel・モバイル・AI半導体】最新版

GPU(Graphics Processing Unit)は、かつてはゲームのグラフィックス処理専用チップでしたが、現在ではAI・機械学習・科学計算・動画編集など幅広い用途に活用される汎用並列演算プロセッサへと進化しています。
本記事では、GPUの用途別の種類と主要メーカーの製品ラインアップを最新情報に基づいて整理します。
GPUとCPUの違い
GPUを理解するには、まずCPUとの違いを把握することが重要です。
- CPU:少数の高性能コア(4〜64コア程度)で複雑な処理を順番にこなすことが得意。汎用的な処理に向く
- GPU:数千〜数万個の小さなコアで、単純な計算を大量並列処理することが得意。グラフィックス・AI・科学計算に向く
GPUの「大量並列処理」の特性が、ディープラーニングの行列演算と相性が良く、AI時代の主役プロセッサとなっています。
用途別のGPUの種類
① ゲーミングGPU(コンシューマー向け)
一般消費者がパソコンゲームのグラフィックス描画のために使うGPUです。
NVIDIA GeForce シリーズ
NVIDIAのコンシューマー向け主力ブランドです。
- GeForce RTX 40シリーズ(最新世代):RTX 4090・4080・4070・4060など。Ada Lovelaceアーキテクチャ採用。レイトレーシング・DLSS 3(AIフレーム生成)対応
- GeForce RTX 30シリーズ(前世代):RTX 3090・3080・3070・3060など。Ampereアーキテクチャ
AMD Radeon RX シリーズ
AMDのコンシューマー向け主力ブランドです。
- Radeon RX 7000シリーズ(最新世代):RX 7900 XTX・7800 XT・7600など。RDNA 3アーキテクチャ採用。高いラスタライズ性能とコストパフォーマンス
② プロフェッショナル・ワークステーション向けGPU
3DCGレンダリング・CAD・映像制作などの専門業務向けGPUです。コンシューマー向けより高精度な浮動小数点演算・ECC(エラー訂正)メモリに対応しています。
- NVIDIA RTX Aシリーズ(旧Quadro):RTX A6000・A4000など。プロフェッショナル向け認証ドライバ対応
- AMD Radeon Pro シリーズ:Radeon Pro W7800・W7700など。Apple Mac Proへの搭載でも知られる
③ データセンター・AI向けGPU(最重要分野)
現在最も注目されているGPU市場です。ディープラーニングの学習・推論、HPC(高性能計算)に使われます。
NVIDIA データセンター向け
- H100(Hopper):現在の最主力AI学習GPU。Transformer Engine搭載でLLM学習に最適。NVLink接続で複数GPU連携
- H200:H100の後継。HBM3eメモリ採用でメモリ帯域が大幅向上
- B100・B200(Blackwell):2024年発表の次世代GPU。さらに大規模なAIモデル対応
- A100(Ampere):H100の前世代。現在も広く使われている
AMD データセンター向け
- Instinct MI300X:HBM3メモリ192GBを搭載した大容量AIアクセラレータ。大規模LLM推論に強い
- Instinct MI250・MI300Aシリーズ:HPC・AI向けGPU
NVIDIAがAI GPU市場で圧倒的なシェアを持ちますが、AMDが追い上げています。
④ モバイル向けGPU
スマートフォン・タブレット向けのGPUです。SoC(System on a Chip)内に統合されています。
- Qualcomm Adreno シリーズ:SnapdragonシリーズのSoCに統合。Android高性能スマートフォンで主流
- Apple GPU(Apple Silicon内蔵):M1・M2・M3・M4シリーズに統合。高い電力効率とグラフィックス性能。Metal APIで最適化
- ARM Mali シリーズ:多くのAndroidデバイスのSoCに採用
- Imagination Technologies PowerVR:AppleがA15以前のiPhoneに採用していたGPU IPの供給元
⑤ 統合GPU(iGPU)
CPUと同一チップ上に統合されたGPUです。専用グラフィックスカードが不要で、省電力です。
- Intel Iris Xe Graphics:第11世代以降のIntel Core・Ultraシリーズに統合
- AMD Radeon Graphics(RDNA統合):Ryzenシリーズに統合。Ryzen AI 300シリーズでは特に高性能
⑥ 組み込み・エッジ向けGPU
IoTデバイス・自動運転・ロボット・産業機器などに使われる省電力GPUです。
- NVIDIA Jetson シリーズ:Jetson Nano・Orin・AGXなど。エッジAI推論向けのコンパクトな開発モジュール
- NVIDIA DRIVE シリーズ:自動運転向けに特化したSoC
GPU市場のトレンド
- AI需要がGPU市場を牽引:ChatGPT登場以降、LLM学習・推論向けにデータセンターGPUの需要が急拡大。NVIDIAのH100・H200は供給不足が続いた
- HBM(広帯域メモリ)の重要性が増大:AI GPU には大容量・高帯域のHBMメモリが不可欠。SK Hynix・Micronなどが供給
- 自社AIチップへの移行:Google(TPU)・Amazon(Trainium/Inferentia)・Microsoft(Maia)など、クラウド大手が独自AIチップ開発を強化
まとめ
GPUを用途別に整理すると以下のようになります。
- ゲーミング:NVIDIA GeForce RTX / AMD Radeon RX
- プロ・ワークステーション:NVIDIA RTX A / AMD Radeon Pro
- AI・データセンター:NVIDIA H100/H200/B100 / AMD Instinct MI300
- モバイル:Qualcomm Adreno / Apple GPU / ARM Mali
- 統合GPU:Intel Iris Xe / AMD Radeon(Ryzen統合)
- 組み込み・エッジ:NVIDIA Jetson / NVIDIA DRIVE
AI革命を機にGPUの重要性はかつてなく高まっています。特にデータセンター向けAI GPUは半導体業界の最大の成長ドライバーとなっており、今後もその動向が注目されます。













