半導体材料メーカーランキング2024|世界トップ10社と日本の圧倒的存在感


半導体材料メーカーランキング2024|世界トップ10社と日本の圧倒的存在感

半導体を製造するには、シリコンウェーハ・フォトレジスト・特殊ガス・研磨材料・スパッタリングターゲットなど数百種類の「材料」が必要です。そしてこれらの材料市場では、日本企業が世界市場の50〜90%ものシェアを占めている品目が多数存在します。本記事では2024年の半導体材料市場をリードするメーカートップ10社をランキングし、日本の「隠れた強さ」をご紹介します。

半導体材料の種類と市場規模

世界の半導体材料市場は2024年に約680億ドル(約10兆円)規模に達したと推計されます。シリコンウェーハ・フォトマスク・フォトレジスト・プロセスケミカル・スパッタリングターゲット・CMP(研磨)スラリー・電子特殊ガスなどに分類されます。

シリコンウェーハ

市場規模最大。Shin-EtsuとSUMCOが世界の約60%を供給

フォトレジスト

JSR・信越化学・東京応化工業・住友化学が世界シェアの大半を占める

高純度化学品

Stella Chemifa・関東化学・ステラファーマ等が特殊品を供給

スパッタリングターゲット

JX金属・住友金属鉱山・東ソーが主要供給企業

CMPスラリー

Cabot Microelectronics・富士フイルムが世界市場をリード

電子特殊ガス

日本酸素HD・大陽日酸・Air Products等が供給

半導体材料メーカーランキング2024(売上高ベース)

順位企業名半導体材料売上高主力材料
1位信越化学工業(Shin-Etsu Chemical)日本約1.8兆円シリコンウェーハ、フォトレジスト
2位JSR Corporation日本約5,000億円フォトレジスト、CMPスラリー
3位Merck KGaA(半導体材料)ドイツ約5,500億円プロセス材料、液晶材料
4位SUMCO Corporation(住友電工系)日本約4,500億円シリコンウェーハ
5位DuPont(デュポン、Electronics部門)米国約3,500億円フォトレジスト、CMPパッド、材料
6位東京応化工業(TOK)日本約2,500億円フォトレジスト、現像液
7位Entegris(エンテグリス)米国約4,000億円プロセスケミカル、フィルタリング
8位住友化学(電子材料部門)日本約2,000億円フォトレジスト、偏光板
9位Cabot Microelectronics(CMC Materials)米国約1,800億円CMPスラリー・パッド
10位Air Liquide(エア・リキード)フランス約2,000億円電子特殊ガス

各社詳細解説

1
信越化学工業(Shin-Etsu Chemical)
半導体材料売上高:約1.8兆円

日本企業

半導体材料分野における日本最大・世界最大級の企業。シリコンウェーハでは世界シェア約30%でトップを誇り、300mmウェーハの品質と安定供給力は他社の追随を許しません。さらにEUV対応フォトレジスト開発でも世界をリードしており、先端半導体の微細化を材料面から支えています。収益性の高さでも業界随一で、営業利益率は一貫して30%超を維持しています。

2
JSR Corporation(JSR株式会社)
半導体材料売上高:約5,000億円

日本企業

ArFフォトレジスト(液浸露光用)で世界最大のシェアを持つ半導体材料の専業メーカー。2023年に日本政府の意向を受け産業革新投資機構(JIC)による非公開化を実施し、経済安全保障上の重要企業として位置づけられています。EUV対応の次世代フォトレジスト開発にも多大な投資をしており、2nm以降の先端製造を支える材料として期待されています。

3
Merck KGaA(電子材料部門)
半導体材料売上高:約5,500億円

独メルクの電子材料部門は、半導体製造に必要なプロセス材料(高純度ガス・洗浄剤・フォトマスク材料等)を幅広く提供。特にIGBT・パワーデバイスのプロセスで使われる特殊材料や、先端パッケージング用材料に強みを持ちます。欧州拠点を持つ安定した供給源として欧米のファウンドリから信頼を集めています。

4
SUMCO Corporation
半導体材料売上高:約4,500億円

日本企業

シリコンウェーハ専業の日本企業。信越化学と合わせて世界のシリコンウェーハの約60%を供給する二強の一角。300mmウェーハでは特に高い品質を誇り、TSMC・Samsung・Intel等主要ファウンドリへ安定供給。ウェーハの品質(欠陥密度・結晶純度)が最終製品の歩留まりに直結するため、半導体製造の最も根本的な材料を供給する企業として揺るぎない地位を持ちます。

日本が圧倒的強みを持つ材料品目

日本の世界シェアが突出して高い材料品目(2024年推計):
• シリコンウェーハ:約57%(信越化学・SUMCO)
• ArFフォトレジスト:約90%(JSR・信越化学・TOK・住友化学)
• フォトマスク用ブランク:約50%(信越化学・AGC)
• スパッタリングターゲット:約55%(JX金属・住友金属鉱山)
• CMP研磨材:約40%(フジミインコーポレーテッド等)
これらの品目で日本から輸出規制が発動されれば、世界の半導体製造は即座に影響を受けます。2019年の日韓の輸出管理問題でも、フッ化水素等の材料規制が半導体産業に与える影響の大きさが改めて注目されました。

次世代材料の注目トレンド

半導体材料の世界でも次世代への移行が進んでいます。最先端露光(EUV)向けのフォトレジスト、三次元積層チップ向けのアンダーフィル材料、SiC・GaN基板材料、そして2nm以降の超微細プロセスに対応した新世代の薄膜材料・エッチングガスなど、新たな材料ニーズが続々と生まれています。これらの分野でも日本の化学・材料企業は積極的に研究開発を進めており、「材料でも日本」という競争優位性の維持に力を注いでいます。

まとめ

半導体材料市場は日本企業が世界の供給網の要を担う珍しい分野です。チップの完成品競争からは退いた日本ですが、「材料・装置」という川上領域での圧倒的な競争力は揺るぎなく、これが日本の半導体産業の真の強みと言えます。経済安全保障の観点からも、これら材料企業の技術力維持・発展は日本の国家的重要課題として認識されています。