車載カメラ向けCMOSイメージセンサーランキング2024|ADAS・自動運転を支える技術


車載カメラ向けCMOSイメージセンサーランキング2024|ADAS・自動運転を支える技術

自動車の電子化・自動化が急速に進む中、車載カメラとそのコアであるCMOSイメージセンサーの重要性が急拡大しています。自動ブレーキ・車線維持・駐車支援といったADAS(先進運転支援システム)から完全自動運転まで、クルマの「目」となるカメラに搭載されるセンサーには民生品とは全く異なる高い信頼性・耐環境性・機能安全が求められます。本記事では車載向けCMOSイメージセンサー市場のトップ企業と主要製品を解説します。

車載カメラに求められる要件

機能安全(ISO 26262)
ASIL-B〜ASIL-Dレベルの機能安全規格への対応。誤動作が人命に関わるため、故障率・自己診断機能が厳格に規定される。
耐環境性・動作温度範囲
-40℃〜+125℃の動作保証。振動・衝撃・粉塵・水への耐性。車内結露・エンジン熱に対する長期信頼性。
高ダイナミックレンジ(HDR)
トンネル出口・逆光・夜間街灯下など、極端な明暗差のある場面でも白飛び・黒つぶれなく認識できるHDR性能(120dB以上)。
グローバルシャッター(GS)
高速移動物体(他車・歩行者・信号)を歪みなく撮影するためのGS。ローリングシャッター歪みは物体認識AIの精度低下につながる。
EMC(電磁両立性)
自動車内の複雑な電磁環境下でも正常動作し、他機器への干渉も抑制する電磁適合性対応。
長期供給保証
自動車の生産・補修部品期間(10〜15年以上)にわたる長期供給保証。民生品とは比較にならない長いライフサイクル管理。

車載CMOSイメージセンサーメーカーランキング2024

順位企業名主力製品シリーズ強み
1位ON Semiconductor(onsemi)米国AR0820AT、AR0233AT 等ADAS向けシェアNo.1、グローバルシャッター
2位Sony Semiconductor Solutions日本IMX490、IMX728 等高ダイナミックレンジ、高画質
3位OmniVision(OVTeknik)中国(米資本)OX08BC、OV9782 等コスト競争力、多用途展開
4位STMicroelectronics仏・伊VD56G3 等TOF・近赤外対応、欧州系統合
5位Brillnics(ブリルニクス)日本(ソニー発)BN1120、BN0730 等グローバルシャッター特化
6位Teledyne FLIR米国Blackfly S、BFLY-U3等産業・車両向け高品質センサー
7位Infineon Technologiesドイツ—(買収検討)制御IC・センサー統合
8位TI(Texas Instruments)米国D3RCM シリーズ等カメラモジュール・SoC統合
9位PIXELPLUS韓国PC2083M 等バックモニター・ミラー代替
10位Galaxycore(格科微)中国GC5035A 等(車載品)中国市場向けコストダウン

各社製品詳細解説

1
ON Semiconductor(onsemi)
主力製品:AR0820AT(800万画素)、AR0233AT(230万画素)
車載CMOSセンサー市場シェアNo.1

Tesla・GM・Ford・BMW・Toyota等、主要自動車メーカーのADASシステムに幅広く採用される車載CMOSセンサーのリーダー企業。特にグローバルシャッター対応の「AR Series」は自動運転用カメラのデファクトスタンダードとなっています。AR0820ATは800万画素・グローバルシャッター・120dB超のHDRを実現し、前方認識カメラのフラッグシップ製品として各社に採用されています。

代表製品AR0820AT
画素数800万画素
シャッターグローバルシャッター
HDR120dB+
機能安全ASIL-B対応
動作温度-40℃〜+125℃

グローバルシャッターASIL-BADAS/自動運転

2
Sony IMX490 / IMX728
Sony Semiconductor Solutions
車載向け最高クラスのHDR性能

ソニーが車載市場向けに投入する高性能CMOSセンサーシリーズ。IMX490は独自の「LEF/SEF(長露光/短露光)」同時取得技術により、業界最高水準の140dBを超えるHDR性能を実現。トンネル出口の逆光や夜間の街灯など、極端な明暗差のある道路環境でも確実に物体を認識できます。スマートフォン向けで培った積層型CMOSの技術を車載向けに転用し、高品質・高信頼性の両立を実現。カメラ付きドアミラー代替システム(e-Mirror)などの高付加価値用途にも採用が広がっています。

140dB HDR積層型車載AEC-Q100準拠

3〜5
OmniVision OX08BC / STMicro VD56G3 / Brillnics BN1120

OmniVision OX08BC:800万画素・2×HDRを備えたコストパフォーマンスに優れた車載センサー。中国国内のNEV(新エネルギー車)向けに急速に採用が広がっています。

STMicro VD56G3:ToF(飛行時間)センサーとCMOSを組み合わせた欧州系センサー。近距離障害物検知・駐車支援に特化した設計で、欧州自動車メーカーへのコネクションが強みです。

Brillnics BN1120:ソニー出身エンジニアが設立した日本のスタートアップ。グローバルシャッター専業の技術特化型企業として、高速物体・産業ロボット向けに独自ポジションを確立しています。

車載カメラの搭載数増加トレンド

1台の車に搭載されるカメラ数の推移:
2015年頃:バックカメラ1個(後退支援のみ)
2020年頃:前方・サイド・バック計4〜6個(自動駐車・車線逸脱警告等)
2024年現在:フラッグシップEVで8〜20個(360度認識・自動運転補助)
完全自動運転(レベル4〜5)実現時:カメラだけで20個超+LiDAR・レーダー等との融合

台数増加に加え、センサーの高機能化(高画素・HDR・グローバルシャッター)による単価上昇も重なり、車載カメラ市場は急速に拡大しています。

まとめ

車載CMOSイメージセンサー市場はonsemiの圧倒的シェアとソニーの高品質戦略が主軸となっており、安全・信頼性への要求が民生品とは根本的に異なります。自動車のEV化・自動化が加速する中、センサー1台あたりの単価上昇と搭載数増加が複合的に市場を拡大させており、半導体全体の中でも有望な成長領域となっています。