スマートフォンの中に入っている半導体チップを見ると、とても小さいことに気づきます。

パッケージがチップとほぼ同じ大きさの「チップスケールパッケージ」を実現しているのが、ウェーハレベルパッケージング(WLP)という技術です。

ウェーハレベルパッケージング(WLP)とは

従来の半導体後工程では、ウェーハをダイシングして個々のチップに切り出してから、リードフレームや基板にマウント・ボンディングしてパッケージ化していました。

WLP(Wafer-Level Packaging)は、この順番を逆にした技術です。

ウェーハを切り出す前に、ウェーハ上でまとめてパッケージング処理(再配線層形成・バンプ形成など)を行い、最後にダイシングして個別のパッケージとして出荷するという方法です。

WLPのメリット

  • 超小型:パッケージサイズをチップとほぼ同じにできる(チップスケール)
  • 低コスト:ウェーハ単位でまとめて処理するため量産効率が高い
  • 低プロファイル:薄型パッケージが実現できる
  • 電気特性が良い:チップから基板への距離が短く、信号損失が小さい

WLPの主な種類

①WLCSP(Wafer-Level Chip Scale Package)

最もシンプルなWLPです。チップ上に再配線層(RDL:Redistribution Layer)を形成し、はんだボール(バンプ)を並べて、そのままパッケージとします。

WLCSPはスマートフォン向けの電源IC・センサー・Bluetooth/Wi-Fiチップなど、小型・低電力のチップに広く使われています。

ただし、パッケージ面積=チップ面積なので、入出力端子(I/O)の数が多いチップには向きません。

②Fan-Out WLP(FO-WLP)

WLCSPの弱点(I/O数の制約)を克服したのがFan-Out WLP(ファンアウト WLP)です。

チップを一度モールド樹脂で再封止し(人工ウェーハを作る)、チップの外側(Fan-Out領域)まで再配線層を延伸することで、より多くのI/O端子を確保できます。

代表例が**TSMCのInFO(Integrated Fan-Out)**で、AppleのiPhone向けA10プロセッサから採用されています。

③Fan-In WLP

チップの面内(Fan-In領域)でのみ再配線する従来のWLCSP方式をFan-In WLPと呼ぶこともあります。

FO-WLPの最新動向(2025年)

AI半導体への応用

FO-WLPの技術は、AI半導体の先端パッケージングにも応用されています。

TSMCのInFO_oS(InFO on Substrate)は、CoWoSと組み合わせてAIアクセラレーター向けパッケージに使われています。

パネルレベルパッケージング(PLP)

WLPの次の進化形として、ウェーハ(円形)ではなく四角いパネル(液晶パネルのような大判基板)を使った「パネルレベルパッケージング(PLP)」の開発が進んでいます。

パネルは円形ウェーハより面積が大きく、取り数が多くなるためコスト削減効果が大きいとされています。Samsungなどが積極的に研究開発を進めています。

WLPを手がける主要企業

  • TSMC:InFO(Fan-Out)でスマートフォンSoC向けに世界最大シェア
  • ASEグループ:OSATとしてFO-WLPを提供(FOCoS、FOSiP)
  • Amkor:SWIFT(FO-WLP)を展開
  • JCET(長電科技):中国最大のOSATでFO-WLP強化中
  • ローム・村田製作所等:国内企業も独自WLPで差別化

まとめ

ウェーハレベルパッケージング(WLP)は、スマートフォンの小型・薄型化を支えてきた後工程技術です。

WLCSPから始まり、FO-WLPへと進化し、今やAI半導体の先端パッケージングにまで応用されています。半導体後工程の中でも特に注目度の高い技術の一つです。

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semi-connect編集室
半導体業界の技術・企業・市場動向を発信するブログ「semi-connect.net」の管理人。半導体プロセス・前工程・後工程からエレクトロニクス企業の財務分析まで、業界の基礎から最新情報をわかりやすく解説します。