半導体の前工程において、ウェーハ上の特定の膜を選択的に削り取る「エッチング」工程は、回路パターンを形成するための重要プロセスです。

ラムリサーチはこのエッチング装置の分野で世界トップクラスのシェアを持ち、特に微細化・高アスペクト比エッチングの技術で業界をリードしています。

エッチング装置とは

エッチングとは、ウェーハ上に形成した薄膜をパターン状に選択的に除去する工程です。

半導体の前工程では、リソグラフィで転写したレジストパターンをマスクとして、その下の膜を削るためにエッチングを使います。

ウェットエッチングとドライエッチング

エッチングには「ウェットエッチング(薬液使用)」と「ドライエッチング(ガス・プラズマ使用)」があります。

ラムリサーチが専門とするのはドライエッチング(プラズマエッチング)です。

ドライエッチングは以下の理由で先端半導体製造の主流になっています。

  • 異方性エッチング:垂直方向にのみ削ることができ、微細なパターンを忠実に再現できる
  • 高精度制御:プラズマのパラメーター(圧力・電力・ガス流量など)で精密に制御できる
  • 微細化対応:ウェットエッチングでは対応できない微細なパターンに対応可能

ラムリサーチの主要エッチング製品

Kiyoシリーズ(コンダクターエッチ)

Kiyo(清)シリーズは、シリコンや金属などの導電体(コンダクター)をエッチングする装置です。

DRAMのキャパシタ(電荷蓄積部)の深い穴(ハイアスペクト比孔)を高精度に加工する用途で、特に高い市場シェアを持っています。

DRAMが微細化・高集積化するほどキャパシタの深掘りが必要になり、Kiyoシリーズの重要性が増しています。

Syndionシリーズ(ダイエレクトリックエッチ)

Syndion(シンジオン)シリーズは、絶縁膜(ダイエレクトリック)をエッチングする装置です。

3D NANDフラッシュメモリのスタック積層工程で、数百層にわたる絶縁膜と導電膜の積層体に高アスペクト比の穴を開ける(チャネルホール・スリットエッチング)用途で世界トップシェアを持ちます。

2300シリーズ(汎用エッチ)

300mmウェーハ対応の汎用プラズマエッチング装置で、ロジック・メモリ・アナログなど幅広い製品の製造に使われます。

高アスペクト比エッチング(HARE)とは

ラムリサーチが特に強みを発揮するのが「高アスペクト比エッチング(High Aspect Ratio Etch:HARE)」です。

アスペクト比とは、穴の深さ÷幅の比率です。例えば深さ10μm・幅0.1μmの穴のアスペクト比は100:1になります。

なぜ高アスペクト比エッチングが難しいのか

  • プロファイルの垂直性:深い穴を掘るほど、穴の形状が途中でテーパー(傾き)したりボーイング(膨らみ)したりしやすい
  • マイクロローディング:パターン密度によってエッチング速度が変わる現象
  • エッチング停止:深くなるほどエッチャントが底に届きにくくなる

ラムリサーチはこれらの課題を、プラズマ制御技術・ガスケミストリー・装置設計の独自技術で克服しています。

3D NANDとHARE

3D NANDの積層数は年々増加しており、現在200層以上の製品が量産されています。

積層数が増えるほど、チャネルホールのアスペクト比が大きくなります(50層で50:1程度→200層で100:1以上)。

ラムリサーチはこの超高アスペクト比エッチングに対応した装置を最初に量産レベルで実現したメーカーの一つです。

エッチング市場でのラムリサーチの位置づけ

ドライエッチング装置の世界市場は、ラムリサーチとApplied Materialsが大きなシェアを持っています。

特に記憶用半導体(NAND・DRAM)向けエッチング装置では、ラムリサーチが最大シェアを持つとされています。

一方、ロジック半導体(CPU・GPU向け)向けエッチング装置ではApplied MaterialsやTELとの競争も激しく、顧客別・プロセス別に棲み分けが存在します。

まとめ

ラムリサーチのエッチング装置は、3D NAND・DRAMの製造に不可欠な高アスペクト比エッチング技術で世界トップクラスの地位を確立しています。

メモリ半導体の微細化・積層化が進むほど、ラムリサーチのエッチング装置の重要性は高まります。

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semi-connect編集室
半導体業界の技術・企業・市場動向を発信するブログ「semi-connect.net」の管理人。半導体プロセス・前工程・後工程からエレクトロニクス企業の財務分析まで、業界の基礎から最新情報をわかりやすく解説します。