半導体業界への参入・スキルアップ・研究開発を目指すエンジニアにとって、体系的な知識を積み上げられる参考書・教科書は欠かせません。AI・HPC需要の急拡大に伴い、2024〜2025年にはチップレット・先端パッケージング・AI半導体に特化した新刊も相次いで出版されました。

本記事では、入門書から上級専門書まで、レベル別におすすめの一冊を厳選して紹介します。さらにSEMI University・Courseraなど最新のオンライン学習リソースも合わせて解説します。

レベル別・目的別の選び方

レベル対象者学習目標
入門〜基礎学生・文系出身・業界未経験者半導体の仕組みと製造の流れを大掴みにする
中級入社1〜5年目のプロセス・デバイスエンジニア実務に直結するプロセス・デバイス・回路の専門知識を体系化する
2025〜2026年新刊後工程・パッケージング担当・AI半導体を学ぶ方チップレット・先端パッケージング・3D積層を最新情報で学ぶ
上級(英語含む)研究者・先端プロセス担当・設計エンジニアデバイス物理・EUV・FinFET/GAAの深い理解を得る

【入門〜基礎】半導体を初めて学ぶ方へ

図解即戦力 半導体プロセスのしくみとビジネスがこれ1冊でしっかりわかる教科書(技術評論社・2025年1月)

2025年1月に技術評論社から発売された最新の入門教科書。リソグラフィ・エッチング・成膜・イオン注入・パッケージングなど主要プロセスを図解中心で解説し、チップレット・3D積層などの先端技術も収録しています。業界に入ったばかりの新人エンジニアや学生に最適な240ページの一冊です。

図解即戦力 半導体プロセスのしくみとビジネスがこれ1冊でしっかりわかる教科書
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先端テクノロジー業界研究同好会 / 技術評論社(2025年)

図解 半導体製造装置(オーム社)

各製造装置の役割と動作原理を豊富な図解で解説した定番入門書。CVD・PVD・エッチング装置・CMP装置など、製造現場で使う設備の全体像を把握するのに最適です。製造エンジニアとして就職・転職する方が最初に読む一冊として長く読まれています。

図解でわかる 半導体製造装置
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菊地 正典 著 / 日本実業出版社

半導体デバイス入門

PN接合・MOSトランジスタの電気的動作原理を基礎から丁寧に解説。デバイスエンジニアとしてキャリアをスタートする際の必読書です。数式の展開が丁寧で、物理的な直感と数学的理解を同時に養えます。

半導体デバイス入門
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大豆生田 利章 著 / 電気書院

【中級】プロセス・デバイス・回路エンジニア向け

ULSI技術(超LSI技術)

前工程プロセスの全体像を網羅した業界の定番テキスト。成膜・エッチング・リソグラフィ・不純物導入・CMPなど各工程を詳細に解説しており、プロセスエンジニアにとって手元に置いておきたい参考書です。技術の「なぜ」が丁寧に説明されており、現場での問題解決にも役立ちます。

ULSI Technology(Chang & Sze 著・英語)
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C.Y. Chang, S.M. Sze 著 / McGraw-Hill

CMOSアナログ回路設計(Razavi著)

アナログ・混載信号回路設計エンジニアのバイブル。差動増幅器・オペアンプ・フィルタ・PLLの設計理論を体系的に学べます。英語原著が最もよく読まれていますが、日本語訳版もあり、LSI設計・アナログIPの担当者には必須の一冊です。

アナログCMOS集積回路の設計 第2版 基礎編
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Behzad Razavi(著)黒田忠広(訳)/ 丸善出版

Physics of Semiconductor Devices(Sze著・英語)

半導体デバイス物理の世界標準教科書。ダイオード・BJT・MOSFET・太陽電池まで各デバイスの動作原理を数式と物理モデルで詳しく解説しています。英語が必要ですが、研究者や先端デバイス開発に携わるエンジニアには欠かせない一冊です。

Physics of Semiconductor Devices(4th Edition)
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Simon M. Sze, Yiming Li, Kwok K. Ng / Wiley(英語)

【2025〜2026年新刊】先端パッケージング・チップレット専門書

AI時代の半導体でもっとも注目されているのが後工程・先端パッケージング技術です。2025年には専門書の出版が相次ぎました。

半導体パッケージングと実装技術のすべて ─ 基礎から最先端まで学ぶ半導体後工程とチップレット技術

半導体後工程とチップレット技術に特化した専門書。ダイシング・ダイボンディング・ワイヤボンディング・封止などの基本工程から、CoWoS・InFO・ハイブリッドボンディングなど最新の2.5D/3Dパッケージング技術まで体系的にカバー。後工程エンジニアやOSAT関連の業務に就く方に最適です。

次世代半導体パッケージング技術(2025年11月発刊)

2025年11月に発刊された最新の専門書。2.5D/3Dパッケージ・チップレットの現状から、インターポーザ・TSV・ハイブリッドボンディング・ガラス基板など次世代パッケージングの最新動向を網羅。HBM4・CoWoSロードマップへの対応も含む2026年時点で最も新鮮な内容です。後工程の課題とトラブル対策まで実務寄りに解説されています。

次世代に向けた半導体パッケージング技術 ~最先端半導体への対応からトラブル対策まで~
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西田秀行・蛭牟田要介・福島誉史 著 / 情報機構(2025年11月)

Chiplet Fundamentals For Engineers(semiengineering.com・2026年・英語・無料PDF)

semiengineering.comが公開している65ページの無料レポート。チップレットアーキテクチャの基礎・UCIeなどのインターコネクト規格・AIチップ設計への応用を英語でコンパクトにまとめています。チップレットを短時間でキャッチアップしたいエンジニアに最適な一次情報です。

【上級・英語】研究者・先端エンジニア向け

FinFET Technology for Advanced Logic and Memory Applications(英語)

FinFET技術の全体を詳解した英語専門書。GAA(Gate-All-Around)FETへの移行を視野に入れた内容も含まれており、先端プロセス開発に携わる研究者・エンジニア向けです。TSMC・Samsung・Intelの最先端ロジックプロセスを理解するための基礎知識が体系的に得られます。

EUVリソグラフィ関連書籍・論文

EUV(極端紫外線)リソグラフィはASMLが世界で唯一製造する最先端露光装置技術です。ASMLの公式技術資料やIEEEのEDM(国際電子デバイス会議)論文が最も信頼できる情報源です。2025年のIEEE IDEMでもEUV・High-NA EUVの最新成果が多数発表されており、IEEE Xploreから論文を検索して読むことが先端リソグラフィを学ぶ最短ルートです。

三次元LSI技術・TSV関連教科書

TSV・HBM・CoWoSなど3D積層技術の原理と応用を体系的に学べる専門書は複数出版されています。JSTAGEで公開されている無料論文や、電子情報通信学会・応用物理学会の学会誌も先端パッケージングを学ぶ実践的な情報源です。

オンライン学習リソース(2026年最新版)

SEMI University(業界最大の専門オンライン学習)

SEMI(国際半導体製造装置材料協会)が提供するオンライン学習プラットフォーム。800以上の専門コースを多言語で提供しており、半導体製造の基礎から先端パッケージングまで体系的に学べます。2025年5月にはパデュー大学と連携し、AI・データ分析の半導体業界向けオンラインコースを新たに開始。実務に直結する最新の業界標準コンテンツが充実しています。

Coursera(大学の本格的なコース)

コロラド大学ボルダー校の「Semiconductor Devices Specialization」など、大学水準の本格的な半導体コースが受講可能です。Arizona State Universityは「Advanced Semiconductor Packaging」というコースを提供しており、7nm以下のパッケージング技術を体系的に学べます。多くのコースは無料で聴講でき、証明書取得時のみ有料です。

Udemy(コストパフォーマンス重視)

半導体・VLSI設計の英語講座が充実しており、セール時には1,500〜2,000円前後で購入できます。「VLSI Design」「CMOS Circuit Design」「Semiconductor Fabrication」などのコースが揃っており、コスト重視の独学者に向いています。

IEEE Xplore(最新論文・一次情報)

半導体の最先端情報は必ずIEEEの学術論文に現れます。IEEE Xploreでは2nm・EUV・HBM4・チップレットなどの最新研究論文を検索でき、無料で閲覧できるオープンアクセス論文も多数あります。論文を読む習慣がつくと、業界の最新動向を書籍より1〜2年早く把握できます。

ChatGPTを活用した書籍・論文の読解

英語の専門書や論文を読む際、ChatGPTを補助ツールとして活用する方法が2025年以降に定着しています。難しい段落をコピーして「この文を日本語で解説して」と依頼したり、専門用語を「例文とともに説明して」と尋ねたりすることで、独学の効率が大幅に向上します。書籍購入前に「この本の主なトピックを教えて」と質問して選書の参考にすることもできます。

まとめ:自分のレベルと目的に合った1冊から始めよう

  • 業界入門・全体把握:「図解即戦力 半導体プロセスのしくみとビジネスがこれ1冊でしっかりわかる教科書」(2025年新刊)が今いちばんのおすすめ
  • プロセス・デバイスを深く学ぶ:「ULSI技術」「Physics of Semiconductor Devices(Sze)」が業界スタンダード
  • 後工程・チップレット・先端パッケージングを学ぶ:「次世代半導体パッケージング技術」(2025年11月)・Chiplet Fundamentals PDF(無料)が最新で最適
  • 体系的なオンライン学習:SEMI University(800コース)またはCourseraのArizona State大学コースが充実
  • 最先端を一次情報で把握:IEEE Xplore + ChatGPTで英語論文を効率的に読む習慣をつける

参考書は購入するだけでなく、読破して理解することが大切です。まずは自分のレベルと目的に合った1冊を選んで読み切ることを目標にしましょう。書籍で基礎を固めた上でsemi-connect.netの記事と組み合わせると、最新の業界動向まで効率よくキャッチアップできます。

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semi-connect編集室
半導体業界の技術・企業・市場動向を発信するブログ「semi-connect.net」の管理人。半導体プロセス・前工程・後工程からエレクトロニクス企業の財務分析まで、業界の基礎から最新情報をわかりやすく解説します。