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マイクロン・テクノロジー(Micron Technology, Inc.)は、アメリカ唯一の大手メモリ半導体メーカーとして、DRAM・NAND型フラッシュ・HBMなど幅広いメモリ製品を世界に供給しています。AI・データセンター需要の急拡大を背景に、FY2026(2026年9月3日期末)の通期売上高は1,331.9億ドルと前年の3.57倍、純利益は約10倍という記録的な決算を記録しました。本記事では、マイクロンの企業概要・歴史・製品構成・最新業績を解説します。なお、日本法人マイクロンメモリジャパンの広島工場(1.5兆円投資・HBM4量産)についてはマイクロン広島工場の全貌──1.5兆円投資・HBM4量産で詳しく解説しています。

企業基本情報

項目内容
正式社名Micron Technology, Inc.
設立年1978年(米国アイダホ州ボイジー)
本社所在地アイダホ州ボイジー(Boise, Idaho, USA)
上場市場NASDAQ(ティッカー:MU)
CEOSanjay Mehrotra(サンジャイ・メロトラ、2017年就任)
従業員数約48,000人
主要製品DRAM、NAND型フラッシュ、HBM、SSD、組み込みメモリ
主要生産拠点米国(バージニア州・ユタ州)、台湾、日本(広島)、シンガポール
会計年度9月初旬締め(FY2026は2026年9月3日に終了)
$1,331.9億
FY2026 通期売上高(前年の3.57倍)
80.7%
FY2026 GAAP粗利率
$849.7億
FY2026 通期純利益

【2026年9月30日発表】FY2026通期決算:売上が1年で3.5倍に

マイクロンが2026年9月30日に発表したFY2026(2025年9月〜2026年9月3日)の通期決算は、メモリ産業の歴史の中でも例を見ない内容となりました。

指標FY2026FY2025変化
売上高$1,331.9億$373.8億3.57倍
GAAP粗利率80.7%39.8%+41.0ポイント
GAAP純利益$849.7億$85.4億9.95倍
希薄化後EPS$74.33$7.599.79倍
設備投資$273.7億――

注目すべきは粗利率が39.8%から80.7%へ倍増している点です。売上が3.57倍になる一方で利益が約10倍に膨らんだのは、メモリ価格の上昇がそのまま利益に乗ったためです。装置産業であるメモリは固定費の比率が高く、価格が上がると利益が加速度的に増えます。逆に言えば、価格が下がれば同じ速度で縮む構造でもあります。

第4四半期(2026年6月〜9月3日)だけを見ると、さらに極端です。

指標FY2026 Q4前年同期
売上高$542.3億$113.2億(+379%)
GAAP粗利率86.8%44.7%
GAAP営業利益$437.5億$36.5億
GAAP純利益$377.0億―
希薄化後EPS$32.87―
FY2027 Q1ガイダンス:売上高 $615億 ± $15億、GAAP粗利率 約86%、EPS $37.84 ± $1.00。四半期だけでFY2025通期($373.8億)の1.6倍を超える見通しです。

同時期にSKハイニックスも営業利益率76%を記録しており、メモリ業界全体が歴史的な好況にあります。詳細はSK hynix(SKハイニックス)とは?、価格高騰の背景はDRAM価格高騰2026の原因と見通しで扱っています。

マイクロンの歴史:創業から世界トップへ

1978年 アイダホ州ボイジーで4人のエンジニアが設立。当初は半導体設計コンサルタント会社としてスタート。

1981年 初のDRAM製品(64K DRAM)を量産開始。米国製DRAMメーカーとして存在感を確立。

1984年 NASDAQに上場。初期の資本調達を経て、製造能力を大幅に拡大。

1994年 ワードパーフェクトの創業者らから投資を受け、財務基盤を強化。競合の撤退が相次ぐ中でも生産を継続。

2006年 インテルとのジョイントベンチャー「IM Flash Technologies」を設立し、NAND型フラッシュ事業に本格参入。

2013年 日本のエルピーダメモリ(ELPIDA)を約2,500億円で買収。広島工場を取得し、アジアにおける製造基盤を大幅に強化。

2016年 中国・紫光集団によるTOB(約230億ドル)を拒否。国家安全保障上の懸念から米国政府も阻止に動いた。

2017年 Sanjay Mehrotra(サンジャイ・メロトラ)がCEO就任。SanDisk共同創業者として知られ、NAND事業強化を推進。

2019年 米中貿易摩擦の影響でファーウェイへの輸出が制限される。中国市場へのリスクが顕在化。

2022〜2023年 半導体市況の急落によりメモリ価格が暴落。大幅な赤字に転落し、設備投資の削減と人員削減を実施。

2024〜2025年 AI・データセンター向けHBM(高帯域幅メモリ)需要が拡大。業績が回復に転じる。

2026年 FY2026通期で売上1,331.9億ドル・純利益849.7億ドルという記録的決算。広島工場に1.5兆円を投じるHBM4量産計画も起工。

主要製品ラインナップ

DRAM(Dynamic Random Access Memory)

マイクロンの主力製品であり、売上の大半を占めます。サーバー向け・PC向け・スマートフォン向けに幅広く供給しています。DDR5(第5世代DDR)を量産しており、AIサーバー向けの高性能品が特に需要を集めています。

注目:マイクロンはDRAMの微細化で1βnmノードを量産しており、サムスン・SKハイニックスと並ぶ最先端世代に位置しています。DRAMの仕組みそのものはDRAMとは何か──完全解説をご覧ください。

HBM(High Bandwidth Memory)

AIアクセラレーター(GPU・NPU)に搭載される超高速・大容量のメモリです。NVIDIAのデータセンター向けGPUに必須の部品であり、マイクロンはHBM3Eの量産を2024年に開始しました。

2026年にはHBM市場でサムスンを上回り、SKハイニックスに次ぐ2位のシェアを獲得しています。長く「出遅れ組」とされていた立場からの逆転で、HBM4世代でも主要顧客への供給が進んでいます。

HBMの詳細:世代ごとの違いと3社のシェア争いはHBM完全解説2026とHBM4最新動向2026で詳しく扱っています。マイクロン単独のHBM戦略はマイクロンのHBM戦略へ。

NAND型フラッシュ・SSD

スマートフォン・PC・データセンターのストレージに使われるNAND型フラッシュも主要事業です。「Crucial」ブランドでコンシューマー向けSSDを展開するほか、エンタープライズ向けSSDも供給しています。積層数では世界最高水準を争っており、NANDの構造はNAND型フラッシュメモリ完全ガイドで解説しています。

組み込みメモリ(Automotive / Industrial)

車載向けメモリ(LPDDR・eMMC・UFS)や産業機器向けの組み込みメモリも重要な事業領域です。自動車の電動化・自動化に伴いメモリ搭載量が増加しており、高信頼性・長寿命が求められる車載グレードの製品を展開しています。車載半導体に求められる品質規格はIATF 16949とは?で扱いました。

競合他社との比較

メモリ市場は実質的にマイクロン・サムスン・SKハイニックスの3社による寡占です。

指標マイクロンSamsung(半導体部門)SK hynix
DRAMシェア(2026年Q1)約22%約44%約29%
NANDシェア約11%約30%約19%
HBMシェア(2026年Q2)21%(2位)17%62%(首位)
国籍アメリカ韓国韓国
強み米国唯一の大手・HBMでサムスン超え垂直統合・規模HBMシェア首位

HBMでマイクロンがサムスンを上回った点は、2026年のメモリ市場で最も大きな順位変動です。DRAM・NAND全体では3位にとどまる一方、最も利益率の高いHBMで2位を確保したことが、FY2026の粗利率80.7%という数字につながっています。

なお中国のCXMTが汎用DRAMで台頭しており、その影響はCXMTはSamsungを脅かすかで分析しています。

企業戦略と今後の展望

米国国内への生産回帰(CHIPSおよび科学法)

2022年に成立した米国「CHIPS法」により、マイクロンはニューヨーク州シラキュースとアイダホ州ボイジーへの大規模工場建設計画を発表しました。総額約500億ドルの投資計画で、米国政府から最大61億6,500万ドルの補助金を受け取ることが確定しています。

日本・広島への1.5兆円投資

一方で、HBM4の量産拠点として選ばれたのは日本の広島工場でした。総投資額1兆5,000億円、経済産業省が最大5,360億円を補助するこのプロジェクトは、エルピーダから引き継いだ拠点をAI時代の中核へ転換するものです。詳細はマイクロン広島工場の全貌にまとめました。

FY2026の設備投資は$273.7億に達しており、米国・日本の両方で同時に能力を増やしている状況です。

中国リスクへの対応

2023年、中国政府はマイクロン製品に対して「サイバーセキュリティ上の問題がある」として中国の重要インフラへの調達を禁止しました。マイクロンにとって中国市場は一定の比率を占めており、この規制は影響を及ぼしています。一方、AI・データセンター向けの好調な需要がこれを補っています。

リスク要因:FY2026の粗利率80.7%はメモリ価格の歴史的高騰を前提とした数字です。AI投資の鈍化やメモリ市況の反転が起きれば、固定費の重い構造ゆえに利益は急速に縮みます。2022〜2023年に大幅赤字へ転落した実績があることは、この産業の振れ幅を示しています。米中半導体摩擦の激化も引き続き変数です。

まとめ

マイクロン・テクノロジーは、創業から約50年にわたりアメリカ唯一の大手メモリメーカーとして世界市場に存在感を示してきました。

  • FY2026通期は売上$1,331.9億(前年の3.57倍)・純利益$849.7億(約10倍)
  • GAAP粗利率は39.8%→80.7%へ倍増
  • FY2027 Q1は単四半期で$615億を見込む
  • HBMでサムスンを抜いて2位、SKハイニックスに次ぐ位置へ
  • 日本・広島に1.5兆円を投じHBM4量産拠点を建設中

AI時代のキーコンポーネントであるHBMとDDR5の需要拡大を追い風に、業績は過去に例を見ない水準へ到達しました。米国政府の半導体政策と連動した国内製造能力の強化を進める一方で、最先端HBMの量産拠点を日本に置くという選択をした点も、この会社を理解するうえで重要です。

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※業績数値はマイクロン・テクノロジーがSECに提出したFY2026 Q4決算プレスリリース(2026年9月30日発表)に基づきます。市場シェアは各種調査会社の推計値を含みます。

 

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