「食品添加物や樹脂添加剤を作っている化学会社」──ADEKAをそう認識している人は多いかもしれません。しかし実態は、ALD(原子層堆積)向けプリカーサー材料で世界No.1シェアを握る半導体材料の有力メーカーです。

そして2026年、この会社の半導体材料事業は明確な転換点を迎えました。2025年度(2026年3月期)は研究開発の増員や生産プラント新設といった先行投資で固定費がふくらみ、営業利益が前年比17.7%減だったのに対し、2026年度第1四半期(2026年4〜6月)は売上108億円(前年同期比+47.2%)・営業利益26億円(同+82.9%)と急反転。AI向け先端DRAMの生産拡大とEUV露光の適用拡大が、数字となって表れています。

さらに2026年6月には120億円を投じた新研究棟「半導体イノベーションセンター」を久喜(埼玉県)で稼働させ、2035年度に半導体材料だけで営業利益325億円(全社の4割超)という目標を掲げています。

本記事では、ADEKAとはどんな企業か・なぜ半導体材料に強いのか・主力製品と技術的背景・最新決算と製品ロードマップを、同社のIR資料と公式発表をもとに体系的に解説します。

ADEKAとはどんな会社か

項目内容
正式名称株式会社ADEKA
旧社名旭電化工業株式会社(2006年に改称)
創業1917年(電解苛性ソーダ製造が起源)
本社東京都荒川区東尾久7丁目
上場市場東証プライム(証券コード:4401)
代表者代表取締役社長兼社長執行役員 城詰 秀尊
連結売上高4,165億円(2026年3月期実績)/4,620億円(2027年3月期会社予想)
主な事業化学品(樹脂添加剤・半導体材料・環境材料)/食品/ライフサイエンス

ADEKAは2006年に「旭電化工業」から社名変更した化学メーカーで、100年以上の歴史を持ちます。

ここで押さえておきたいのが事業セグメントの構造です。ADEKAの報告セグメントは「化学品」「食品」「ライフサイエンス」の3つで、半導体材料は「化学品」の内訳(サブセグメント)として開示されています。

この区分名は最近変わりました。ADEKAは2025年4月1日付で、化学品事業のサブセグメント「電子材料」を「半導体材料」に改称し、あわせて「電子材料」に含めていたエレクトロニクス関連材料を「環境材料」へ移しています(前期実績は変更後の区分に組み替えて比較)。半導体が社内で独立した事業の顔として扱われるようになったことを示す変更ですが、過去の資料に出てくる「電子材料」や「情報・電子化学品」と現在の「半導体材料」は範囲が同じではない点に注意が必要です。

【2026年最新決算】半導体材料は減益から急反転した

ADEKAの半導体材料事業を語るうえで、2025年度と2026年度第1四半期の落差は欠かせません。

2025年度(2026年3月期)は「増収減益」だった

セグメント売上高前年比営業利益前年比利益率
半導体材料360億円+5.8%74億円△17.7%20.6%
樹脂添加剤984億円△6.7%96億円△11.6%9.8%
環境材料803億円+1.8%92億円+14.8%11.5%
食品830億円+0.6%43億円△0.6%5.2%
ライフサイエンス1,117億円+11.8%98億円+26.4%8.8%
連結合計4,165億円+2.3%416億円+1.5%10.0%

半導体材料は売上では増えたものの、営業利益は90億円から74億円へと16億円減りました。ADEKAが挙げた要因は次の通りです。

販売側は悪くありませんでした。EUV露光装置の導入拡大とPFASフリー化の需要拡大で先端フォトレジスト向けの半導体リソグラフィ材料が好調、高誘電材料も最新世代DRAMの生産開始に対応した新製品の出荷により第3四半期から拡大基調に転じ、通期では堅調でした。

それでも減益になったのは、研究開発の増員や生産プラント新設といった先行投資で固定費負担が増えたためです。営業利益の増減要因としてADEKAは「(-)価格、固定費、為替 (+)数量」を挙げています。つまりこの減益は需要の失速ではなく、次の成長に向けた投資の先出しによるものでした。なお後述する120億円の新研究棟は2026年4月の竣工なので、その費用負担が本格的に乗ってくるのは2026年度以降です。

2026年度第1四半期で急反転

項目2026年度1Q2025年度1Q増減率
半導体材料 売上高108億円73億円+47.2%
半導体材料 営業利益26億円14億円+82.9%
半導体材料 利益率24.1%19.2%+4.9pt
連結売上高1,170億円1,016億円+15.2%
連結営業利益156億円109億円+42.7%
連結純利益107億円72億円+47.8%

注目すべきは利益率24.1%という水準です。樹脂添加剤13.2%・環境材料15.1%・食品3.7%・ライフサイエンス14.2%と並べると、半導体材料はADEKAの全セグメントで最も収益性が高い事業であることがわかります。売上構成比では全社の9%程度にすぎませんが、利益への貢献度は格段に大きいのです。

好調の理由について、ADEKAは決算短信で次の2点を挙げています。

  • 高誘電材料:AI関連需要を背景とした先端DRAMの生産拡大により、主力製品・新製品ともに販売が好調
  • 半導体リソグラフィ材料:EUV露光装置の製造プロセスへの適用が拡大したことにより、先端フォトレジスト向けの販売が好調

つまりADEKAの業績は、DRAM価格の高騰とEUV露光の普及という2つの潮流に直結しているということです。材料メーカーの決算は、半導体市場のどこが伸びているかを映す鏡でもあります。

通期予想は上方修正、ただし中期計画には距離がある

ADEKAは2026年8月7日、第1四半期の実績と足元の動向を踏まえ、2026年5月14日に公表していた業績予想を上方修正しました。修正の幅は次の通りです。

指標当初予想(5月14日)修正後(8月7日)修正幅前期比
連結売上高4,530億円4,620億円+90億円+10.9%
連結営業利益468億円500億円+32億円+20.1%
連結純利益288億円320億円+32億円+14.8%
年間配当—132円上方修正前期112円

一方で、中期経営計画『ADX 2026』の目標には届かない見込みです。ADX 2026は2024年5月に公表された3年計画で、最終年度である2026年度に全社で売上5,000億円・営業利益530億円(利益率10.6%)を掲げていました。上方修正後の会社予想は売上4,620億円・営業利益500億円ですから、売上で約380億円、営業利益で30億円の未達という計算になります。AI需要による半導体材料の急回復があってなお、全社では計画に一歩届かないという構図です。

なお、ADX 2026では半導体材料に相当する区分(当時の名称は「情報・電子化学品」)に売上626億円・営業利益153億円という目標も置かれていました。ただし前述のとおり、その後にエレクトロニクス関連材料が「環境材料」へ移管されるなど区分の範囲自体が変わっているため、現在の「半導体材料」の数字と直接比較することはできません。本記事では全社ベースでの比較にとどめています。

なぜADEKAが半導体材料に強いのか──金属錯体の合成技術

ADEKAが半導体材料で世界的な地位を確立した理由は、創業以来培ってきた有機金属錯体の合成技術にあります。

半導体製造のALD(原子層堆積)プロセスで使うプリカーサーとは、薄膜を形成するための「原料ガス」の前段階にあたる有機金属化合物です。ADEKAの資料では、金属出発原料に配位子を結合させることで「液体化」と「揮発性」を実現し、均一な原子層膜を形成できるようにする点が強みとして示されています。この化合物の設計には精密な有機合成と金属配位の知識、そして成膜評価技術が必要であり、ADEKAはそこに蓄積を持っています。

ALD(原子層堆積)とは何か

ALDは、ウェーハ表面に原子1〜2層ずつ正確に膜を積み重ねていく薄膜形成技術です。

  1. プリカーサーA(金属化合物)を吹きつけ → 表面1原子層に吸着
  2. 余剰ガスをパージ(排気)
  3. プリカーサーB(酸化剤・還元剤など)を吹きつけ → 反応して薄膜1層形成
  4. 余剰ガスをパージ
  5. 1〜4を必要な膜厚になるまで繰り返す

1サイクルあたり0.1nm程度の膜厚制御ができ、3nm・2nm世代の先端半導体で必須の技術です。CVD(化学気相堆積)と比べて段差被覆性が高く、細いコンタクトホールにも均一に成膜できます。

なぜHigh-k膜(高誘電率膜)にプリカーサーが必要か

DRAM(Dynamic RAM)のキャパシタは、誘電率の高い絶縁膜(High-k膜)を薄く形成することで容量を稼ぎます。かつては二酸化ケイ素(SiO₂)が使われていましたが、微細化が進むにつれて厚みが限界に達し、現在はHfO₂(酸化ハフニウム)やZrO₂(酸化ジルコニウム)などのHigh-k材料が主流です。

このHfO₂(ハフニウムオキサイド)・ZrO₂(ジルコニウムオキサイド)をALDで成膜するためのプリカーサー(Hf・Zr有機金属化合物)でADEKAは世界シェアNo.1を取っています。DRAMの構造そのものについてはDRAM完全解説で、AI需要を牽引するHBMについてはHBM完全解説2026でそれぞれ詳しく扱っています。

ADEKAの主力製品群

① ALD/CVD向けプリカーサー(前工程・成膜材料)

膜の種類用途主な採用先
HfO₂・ZrO₂(High-k膜)DRAMキャパシタ絶縁膜SK hynix・Samsung・Micron
TiN・TaN(メタルゲート)FinFETのゲート電極ロジック先端ノード全般
Ru(ルテニウム)先端ロジックのコンタクトホール埋め込み2nm以降の先端ロジック
Al₂O₃(酸化アルミ)パッシベーション膜・バリア膜DRAMセル構造全般

特に注目なのがルテニウム(Ru)プリカーサーです。2nm以降のロジック半導体では、タングステン(W)に代わりRuがコンタクトホールの埋め込み材料として採用される流れがあり、ADEKAはここでも先手を打っています。主要顧客であるメモリ3社の動向はSK hynix・マイクロン・HBM4最新動向2026で追っています。

② 半導体リソグラフィ材料──EUVレジスト向け

EUV(極端紫外線)露光に使われるフォトレジストは、光が当たると酸を発生させる光酸発生剤(PAG)を含む化学増幅型レジスト(CAR)が主流です。ADEKAはこのPAGの設計・合成で有力メーカーとなっており、2026年度第1四半期の好調要因のひとつにもなりました。

さらにADEKAは、CARの次に来るMOR(金属酸化物レジスト)用の金属化合物も手がけています。MORはCARより高解像度を狙える方式として、High-NA EUV世代で注目されている材料系です。ADEKAはこのMOR用材料について、2028年に新プラントを稼働させてさらなる量産へ進む計画を公表しています。

③ 後工程向け材料(2026年〜本格展開)

従来は前工程材料(プリカーサー・レジスト材料)が中心でしたが、AIチップ需要を背景にチップレットや3D積層といったAdvanced Packagingが急拡大しており、ADEKAは後工程材料を強化しています。

  • 低温焼結銅ペースト:接合・電極形成向け。2026年度内に製品化予定とされ、TIM(熱インターフェース材料)・ダイボンディング・パッケージ基板などへ広く展開する方針
  • 光・熱硬化樹脂/ポリマー樹脂:接合・構造接着向け。応力緩和・高熱伝導・リフロー耐性を狙う
  • 光電用接着剤:CPO(コパッケージドオプティクス)の技術進化を市場機会と位置づけ、展開を加速

前工程・後工程の製品ロードマップ(2026→2030)

ADEKAは2026年2月の半導体材料事業説明資料で、前工程・後工程それぞれのロードマップを公表しています。「どの製品が、いつ、どのフェーズにあるか」が整理されており、ADEKAの半導体戦略を理解する最良の材料です。

領域製品現在のフェーズと計画
先端メモリ高誘電材料最先端メモリ向けで量産中。主力製品に加え新製品も立ち上がり
先端ロジック新規Low-k材料・配線材料ベーシックな材料で参入済み。2〜3世代先に必要となる製品の開発と供給体制の確立を進める
先端フォトレジストCAR用 光酸発生剤次世代EUV向け先端材料でメモリ・ロジック双方の市場をリード
先端フォトレジストMOR用 金属化合物評価から採用・拡大フェーズへ。2028年に新プラント稼働
先端パッケージ低温焼結銅ペースト2026年度内に製品化予定。TIM・ダイボンディング・パッケージ基板へ展開
先端パッケージポリマー樹脂ハイブリッドボンディング向けに開発中。横浜国立大学と共同研究(NEDO)
光電融合光電用接着剤CPO技術の進化を捉えて展開を加速(2028年以降が本格化)

ロードマップのなかで技術的に重要なのがハイブリッドボンディング向けのポリマー樹脂です。従来の2D〜2.5D実装はマイクロバンプをはんだで接合し隙間をアンダーフィルで埋める方式ですが、次世代の3D実装では銅配線同士を直接接続します。ADEKAはここで「樹脂同士の接合×低温硬化(200℃)」により部材への熱負荷を下げ、ボイドを抑制する材料を狙っています。同社は従来方式比で10分の1以上の省スペース化に貢献できるとしています。

また、先端ロジック側では裏面電源供給(BSPDN)やNanosheet構造といった素子・多層配線の構造変化が材料ニーズを生み、露光側では高NA-EUVによる微細加工が新しいレジスト材料を要求します。ADEKAの資料は、こうした構造変化そのものを需要の源泉として位置づけています。

2026年のトピック:半導体イノベーションセンター稼働

ADEKAは埼玉県久喜市の「ADEKAテクノロジーセンター久喜」に新研究棟「半導体イノベーションセンター」を建設し、2026年4月に竣工、6月に稼働を開始しました(公式発表は7月2日)。

項目仕様
投資額約120億円
構造・規模地上7階建て・鉄骨造/建築面積1,990m²・延床面積1万1,545m²
実験室従来比1.5倍
クリーンルーム従来比2.5倍(ワンフロア850m²超)
研究員数約150名(2026年7月1日時点)
グローバル連携海外グループ拠点と連携

クリーンルームをワンフロアで850m²超確保したことで、顧客(メモリ・ロジックメーカー)の製造プロセスを再現した評価実験が社内で完結できる体制が整いました。材料メーカーにとって「顧客の工場に持ち込む前に自社で評価しきれるか」は開発スピードを決める要素であり、ここへの120億円投資は中期計画で「半導体材料に最注力」と掲げた方針を具体化したものです。

業績推移と2035年ビジョン

時点全社営業利益半導体材料
2015年度193億円(開示区分前)
2024年度410億円90億円
2025年度416億円(2015年比2.2倍)74億円
2026年度(会社予想)500億円第1四半期は26億円
2026年度(ADX 2026目標)530億円153億円
2035年度目標—325億円(全社の4割超)

2035年度の「半導体材料で営業利益325億円」は、2025年度実績74億円の約4.4倍にあたる野心的な数字です。しかも「全社営業利益の4割超」という位置づけなので、仮に325億円が4割強だとすれば全社では800億円前後を想定していることになります。

これを達成するには、現在の収益柱であるDRAM向け高誘電材料への依存から脱することが前提になります。ロードマップが示すように、①先端ロジック向けの新規Low-k材料・配線材料、②MOR用金属化合物、③後工程材料(銅ペースト・ポリマー樹脂・光電用接着剤)という3つの新領域で収益柱を複数立てられるかが鍵です。ADX 2026でも「ロジック半導体ビジネスの構築」と「国内半導体製造への対応」が戦略に明記されており、Rapidusを中心とした国内エコシステムも視野に入っています。

競合との比較──ADEKAはどこが違うか

企業国主力領域ADEKAとの差異
ADEKA日本High-k ALDプリカーサー(世界No.1)メモリ起点の先行優位
Air Products米国特殊ガス・ALDプリカーサーガス供給インフラが強み
Entegris米国プロセス材料全般(フィルター・スラリー)後工程材料も幅広い
UP Chemical韓国薄膜材料・ALDプリカーサー顧客との地理的近接性
SK Trichem韓国ALD材料(DRAM向け)SK hynix系列の垂直統合

ADEKAの優位性は「メモリ起点で培った金属錯体合成技術の深さ」にあります。High-k絶縁膜プリカーサーで蓄積したHf・Zr・Ruなどの有機金属合成ノウハウが、新領域材料の開発に横展開できる点が競合との差別化要因です。

ADEKAのリスク要因

強い事業にも弱点はあります。ADEKAの半導体材料事業が抱えるリスクは、2025年度の決算にすでに表れています。

  • DRAM市況への連動性:最大の収益源が先端DRAM向け高誘電材料であるため、メモリの生産調整や世代交代の谷が業績に直結します
  • 先行投資による固定費の重さ:2025年度の減益はまさにこれが原因でした。研究開発の増員と生産プラント新設、そして120億円の新研究棟という固定費を、売上の伸びで吸収し続けられるかが問われます
  • 顧客集中:主要顧客はSK hynix・Samsung・Micronといったメモリ大手。顧客側の設備投資判断に業績が左右され、価格交渉力も必ずしも強くありません(2025年度の営業利益減少要因にも「価格」が挙げられています)
  • 中国勢の台頭:CXMT(長鑫存儲)のような中国DRAMメーカーの拡大は、顧客構成と材料の調達方針を変える可能性があります
  • 為替感応度:2027年3月期の為替前提は1米ドル=153円。ADEKAの試算では1円の円高で営業利益が米ドルで約1.1億円、ユーロで約0.6億円減少します。利益の伸びには円安の寄与も含まれている点は割り引いて見る必要があります
  • 原材料とサプライチェーン:一部製品にナフサ由来の原材料を用いているため、中東情勢の緊迫化による原材料・包装材料価格の上昇やサプライチェーン混乱の影響を受ける可能性があると同社自身が開示しています
  • 計画未達リスク:ADX 2026の全社目標(売上5,000億円・営業利益530億円)に対し、会社予想は4,620億円・500億円。次期中期計画でどの水準を置くかが注目点です

このうち上位4つはすべて「DRAM一本足からの脱却」で緩和できるリスクであり、ADEKAがロジック向け材料と後工程材料に投資している理由そのものです。

日本の半導体材料サプライチェーンにおけるADEKAの位置づけ

日本の半導体材料メーカーは世界市場で存在感を持っており、ADEKAの公式発表でも日本勢が世界シェア50%超を占めるとされています。ADEKAはその中でもALD材料という特定ニッチで圧倒的地位にある企業です。

材料カテゴリ日本の代表企業
ALD/CVDプリカーサーADEKA(世界No.1)
フォトレジストJSR・信越化学・東京応化
CMP研磨剤(スラリー)フジミインコーポレーテッド・レゾナック
特殊ガスレゾナック・大陽日酸
フォトマスクブランクスHOYA・信越化学

材料メーカー全体の勢力図は半導体材料メーカーランキングと半導体材料メーカーの一覧リストで、日本メーカー全体の位置づけは日本の半導体メーカーランキング2025-2026で整理しています。

まとめ

  • ADEKAは1917年創業の化学メーカー。ALD向けプリカーサー(先端DRAM向けHigh-k材料)で世界No.1シェアを長年維持
  • 強みの源泉は有機金属錯体の合成技術。配位子設計で液体化と揮発性を実現し、均一な原子層膜を可能にする
  • 2025年度は増収減益(売上360億円・営業利益74億円/△17.7%)。販売は堅調だったが、研究開発増員・生産プラント新設という先行投資による固定費増が要因
  • 2026年度第1四半期で急反転(売上108億円/+47.2%・営業利益26億円/+82.9%)。先端DRAM生産拡大とEUV適用拡大が要因
  • 利益率24.1%は全セグメント中で最高。売上構成比9%程度でも利益貢献は大きい
  • 通期は上方修正(売上4,620億円・営業利益500億円)。ただし『ADX 2026』目標5,000億円・530億円には届かない見込み
  • 2026年6月に120億円投資の「半導体イノベーションセンター」が稼働(久喜市・7階建て・クリーンルーム2.5倍)
  • ロードマップはMOR用金属化合物(2028年新プラント)・低温焼結銅ペースト(2026年度内製品化予定)・CPO向け光電用接着剤へ拡張
  • 2035年度目標:半導体材料単独で営業利益325億円(全社の4割超、2025年度実績の約4.4倍)
  • 最大のリスクはDRAM市況依存と顧客集中。ロジック向け・後工程向けへの多角化が達成条件

ADEKAは「食品も作っている化学会社」ではなく、先端半導体の微細化を材料側から支えている企業です。決算の数字が示すとおり、その業績はAI需要とDRAM・EUVの動向に直結しています。半導体市場を材料の側から眺めたいとき、ADEKAはもっとも分かりやすい観測点のひとつと言えるでしょう。

【参考・引用元】

※タイトルの「世界シェア15%」は報道ベースの推計値です。ADEKA自身のIR資料では「ALD材料のシェア堅持」「トップシェア」と表現されており、具体的なシェア率は公表されていません。本文中の金額は億円未満切捨て、増減率は同社開示値に基づきます。2035年度目標および『ADX 2026』の数値は同社公表の計画値であり、達成を保証するものではありません。

ABOUT ME
semi-connect編集室
半導体業界の技術・企業・市場動向を発信するブログ「semi-connect.net」の管理人。半導体プロセス・前工程・後工程からエレクトロニクス企業の財務分析まで、業界の基礎から最新情報をわかりやすく解説します。