SiCウェハーの12インチ化はどこまで進んだのか──住友金属鉱山とレゾナック、公式発表で読む「2つの300mm」の違い【2026年11月版】

2026年9月、SiCウェハーの口径について日本の2社が立て続けに発表を出しました。住友金属鉱山が9月18日に「世界初の12インチ貼り合わせSiC基板」、レゾナックが9月15日に「300mm SiC単結晶基板の開発に成功」です。
数字だけを並べると同じ成果が2つ出たように見えます。しかし公式リリースを読むと、この2つは作っているものが違い、達成したと言っている範囲も違い、根拠の但し書きまで違います。
この記事では、両社の公式発表に書かれていることだけを使って、2つの300mmがそれぞれ何なのかを分解します。あわせて、口径が大きくなることで重みを増す2つの工程課題――欠陥検査と端面研磨――について、2026年秋に動いた一次情報(産業技術総合研究所の国際規格発行、ノリタケの研磨パッド開発)を扱います。
・住友金属鉱山の300mmは「貼り合わせ基板」で、レゾナックの300mmは「単結晶基板」という別物であること
・住友金属鉱山の「世界初」が貼り合わせ方式に限定された主張であること(公式の注記そのまま)
・レゾナックが「世界初」ではなく「世界最大級」と書いていること、その但し書きの中身
・レゾナックが成功したと書いているのは単結晶成長と基板加工までで、300mmエピウェハーの計画は書かれていないこと
・「AIサーバーの放熱基板」という用途が、300mm基板の用途として公式に書かれているわけではないこと
・両社とも量産時期・価格・顧客名を公表していないこと
・SiCの欠陥試験法の国際規格IEC 63068-5が2026年10月に発行され、X線トポグラフ法が標準化されたこと
・IEC 63068シリーズが第1部から第5部まででどう組み立てられているか
・大口径化でウェハーの「端」が歩留まりの課題になる理由
1. 2026年9月に何が起きたのか
まず時系列を押さえます。この記事で扱う一次情報は4件です。
| 日付 | 発表元 | 内容 | 種別 |
|---|---|---|---|
| 2026年9月2日 | ノリタケ | ダイヤモンド砥粒内包型研磨パッド「LumiDia」を開発 | 製品情報 |
| 2026年9月15日 | レゾナック | 300mm SiC単結晶基板の開発に成功 | 研究・開発 |
| 2026年9月18日 | 住友金属鉱山 | 世界初の12インチ貼り合わせSiC基板「SiCkrest」開発に成功、サンプル出荷 | ニュースリリース |
| 2026年10月27日 | 産業技術総合研究所 | SiCエピタキシャルウェハの欠陥試験法の国際規格IEC 63068-5が発行 | 研究成果 |
9月15日と9月18日は3日違いです。しかも両社の発表は、どちらも9月27日から10月2日にパシフィコ横浜ノースで開かれた国際会議ICSCRM 2026(International Conference on Silicon Carbide and Related Materials 2026)を目前にしたタイミングでした。住友金属鉱山は公式リリースで、この会議のブースG-2に12インチ基板を展示すると明記しています。
つまり2つの発表は偶然同時期に出たのではなく、同じ国際会議に向けて並んだものと読むのが自然です。ただし「どちらが先か」を競う性質の発表ではありません。次節以降で見るように、2社が作っているものはそもそも違います。
2. 住友金属鉱山の300mm──「貼り合わせ」とは何か
住友金属鉱山の2026年9月18日付リリースのタイトルは、「パワー半導体材料の貼り合わせSiC基板「SiCkrest」、世界初の12インチ基板開発に成功」です。
本文の冒頭はこうです。
「住友金属鉱山株式会社(本社:東京都港区)は、このたび、世界初(※)となる12インチ(300mm)の貼り合わせシリコンカーバイド(SiC)基板「SiCkrest®」(サイクレスト®)の開発に成功し、半導体メーカーへのサンプル出荷を行いました。」
ここで重要なのは「貼り合わせ」という3文字です。これが製品の性格を決めています。
2層構造にする
SiCkrestの構造について、公式リリースは次のように説明しています。
「住友金属鉱山のSiCkrestは、パワー半導体の主要材料となるSiC基板で、独自の接合技術を応用してウエハーを2層化することで、性能と低コストを両立させた製品です。低抵抗の多結晶SiC支持基板の上に高品質な単結晶層を薄く貼り合わせることによって、単結晶の特性を維持しつつ、基板全体における低抵抗化と通電劣化抑制効果を実現しています。」
この1文を分解すると、構造は次のようになります。
| 層 | 材料(公式の表記) | 公式が挙げている役割 |
|---|---|---|
| 上側 | 高品質な単結晶層(薄く貼り合わせる) | 単結晶の特性を維持する |
| 下側 | 低抵抗の多結晶SiC支持基板 | 基板全体の低抵抗化、通電劣化抑制効果 |
発想としては、デバイスが実際に働くのはウェハーのごく表層だけという事実を使っています。トランジスタが形成されるのは表面側の薄い領域で、その下の大部分は「電流を通す道」と「機械的に支える土台」の役割しか担っていません。
だとすれば、高価で成長に時間のかかる単結晶SiCを基板全体の厚みぶん使う必要はない。表層だけ単結晶にして、残りは多結晶SiCで済ませる――これが貼り合わせ方式の考え方です。
SiC単結晶が高価な理由は、昇華法による結晶成長が本質的に遅いことにあります。この点についてはSiCウェハー・基板の全知識で昇華法と価格構造を扱っています。
「低抵抗化」と「通電劣化抑制」が並んでいる理由
公式が挙げている効果は2つです。ここは混ぜずに読む必要があります。
| 公式の表現 | 何についての話か |
|---|---|
| 基板全体における低抵抗化 | 縦方向に電流を流すときの損失。支持基板が低抵抗であることが効く |
| 通電劣化抑制効果 | 通電を続けたときの特性変化。単結晶層を薄くすることと関係づけられている |
SiCパワーデバイスの多くは、ウェハーの表から裏へ電流を流す縦型構造です。そのため基板そのものの抵抗がオン抵抗に直接乗ってきます。基板を薄くする、あるいは基板を低抵抗にする、という工夫が効くのはこのためです。縦型デバイスの構造についてはSiC MOSFETとはで扱っています。
なお層の厚みの数値、接合技術の具体的な方式名、単結晶基板を再利用できる枚数といった数字は、このリリースには書かれていません。
「世界初」はどこまでの主張か
ここが最も注意して読むべき箇所です。公式リリースの注記は次の1行です。
「(※)住友金属鉱山調べ。貼り合わせで12インチのSiC基板として世界初。」
主張の範囲を整理します。
| 項目 | 公式の記載 |
|---|---|
| 世界初の対象 | 貼り合わせで12インチのSiC基板として |
| 根拠 | 住友金属鉱山調べ |
| 調査時点 | 記載なし |
| 「SiC基板全体で12インチ世界初」か | そうは書かれていない(方式が限定されている) |
つまり「12インチのSiC基板を世界で初めて作った」という主張ではありません。「貼り合わせ方式という作り方で12インチに到達したのが初めて」という主張です。単結晶の300mm基板については、後述のとおりレゾナックが同じ月に別の発表を出しており、海外でも開発の動きが報じられています。方式を限定しているからこそ両立する主張になっています。
このように「世界初」が方式や条件で限定されるのは、半導体材料の発表では一般的です。酸化ガリウムの記事でも触れていますが、注記の1行を読まずに見出しだけを受け取ると、主張の大きさを取り違えます。
このリリースに書かれていないこと
投資判断や調達計画の材料として読むなら、書かれていないことの一覧がむしろ重要です。
| 知りたいこと | 2026年9月18日付リリースの記載 |
|---|---|
| 12インチ品の量産開始時期 | 書かれていない |
| 生産能力(月産枚数など) | 書かれていない |
| 価格 | 書かれていない |
| サンプル出荷先の顧客名 | 書かれていない(「半導体メーカーへの」のみ) |
| 採用実績・採用デバイス | 書かれていない |
| 単結晶層の厚み | 書かれていない |
| ライセンス供与 | 書かれていない |
| 6インチ・8インチ品の販売状況 | 書かれていない(ただし写真に3サイズが並んでいる) |
最後の行について補足します。リリース2ページ目の写真キャプションには「写真右が今回開発に成功した12インチ(300mm)のSiCkrest」「写真左は6インチ(150mm)、写真中央は8インチ(200mm)のSiCkrest」と書かれています。
したがって6インチ・8インチ・12インチの3サイズが実物として存在することは公式に確認できます。しかしそれぞれが販売中なのか、量産ラインが立っているのか、サンプル段階なのかは、このリリースからは判断できません。
もう1点、公式の記述として押さえておきたいのが事業体制です。リリースは「原料から基板製造に至る一貫生産体制を活かし」と書いています。また問い合わせ先は「機能性材料事業本部 SICOXS推進室 営業・原料グループ」とあり、貼り合わせSiC基板がこの推進室の所管であることが読み取れます。
3. レゾナックの300mm──単結晶を300mmで育てる
レゾナックの2026年9月15日付リリースのタイトルは「次世代エレクトロニクス材料300mm SiC単結晶基板の開発に成功」です。カテゴリは「研究・開発」として掲載されています。
冒頭はこうです。
「株式会社レゾナック(代表取締役社長 CEO:髙橋秀仁、以下「当社」)は、次世代エレクトロニクス材料である炭化ケイ素(SiC)において、直径300mm(12インチ)のSiC単結晶の成長および基板加工に成功しました。」
住友金属鉱山との違いがここで明確になります。レゾナックは単結晶そのものを300mmで育てています。貼り合わせではありません。
成功したと書いてあるのはどこまでか
SiCウェハーが製品になるまでの工程を、公式記述と突き合わせます。
| 工程 | 内容 | レゾナックのリリースの記載 |
|---|---|---|
| 単結晶成長 | インゴットを育てる | 300mmで成功と明記 |
| 基板加工 | 切断・研磨して基板にする | 300mmで成功と明記 |
| エピタキシャル成長 | 基板上にデバイス用の層を成長させる | 300mmでの成果としては書かれていない |
3段目が重要です。パワーデバイスを作るには、基板の上にエピタキシャル層を成長させたエピウェハーが必要になります。基板だけでは製品になりません。エピタキシャル成長が何をしているのかはSiCエピタキシャル成長とはで解説しています。
レゾナックが現在供給しているものについて、公式は次のように書いています。
「当社は現在、市場の主流である150mm(6インチ)のSiCエピウェハーを主に供給しており、200mm(8インチ)SiCエピウェハーも出荷を開始しています。」
整理すると次のようになります。
| 口径 | レゾナックの位置づけ(公式記載) |
|---|---|
| 150mm(6インチ) | SiCエピウェハーを主に供給。市場の主流 |
| 200mm(8インチ) | SiCエピウェハーの出荷を開始 |
| 300mm(12インチ) | 単結晶の成長と基板加工に成功。エピウェハーの記載はない |
300mm SiCエピウェハーの開発計画や販売計画について、このリリースには記載がありません。量産時期・価格・顧客名も書かれていません。リリース自身が成果を「重要な技術的マイルストーン」と位置づけており、製品化の発表ではないことがわかります。
「世界最大級」と「世界初」は別の主張
口径についてのレゾナックの表現は次のとおりです。
「300mm(12インチ)は現在開発が進むSiC基板として世界最大級*1の口径であり、SiC基板およびSiCエピウェハーの大口径化と高品質化に向けた重要な技術的マイルストーンとなります。」
そして脚注*1は「当社調べ(2026年8月時点での公表情報などを調査。)」です。
2社の主張を並べます。
| 項目 | 住友金属鉱山 | レゾナック |
|---|---|---|
| 使っている言葉 | 世界初 | 世界最大級 |
| 限定条件 | 貼り合わせで12インチのSiC基板として | 現在開発が進むSiC基板として |
| 但し書き | 住友金属鉱山調べ | 当社調べ(2026年8月時点での公表情報などを調査) |
| 調査時点の明示 | なし | 2026年8月時点と明示 |
レゾナックは「世界初」という表現を使っていません。「最大級」という語を選び、さらに調査時点まで書いています。これは控えめな書き方で、300mmクラスの開発を進めている他社が存在することを織り込んだ表現と読めます。
SiC基板の競争環境は2020年代前半から大きく動いており、先行していた米Wolfspeedが経営破綻に至った経緯はWolfspeed破産の全貌で扱っています。中国勢の台頭を含めたプレイヤーの地図はSiC関連企業マップにまとめています。
「AIサーバーの放熱基板」はこの300mm基板の用途ではない
レゾナックのリリースには、次の記述があります。
「また単結晶SiC材料は高い熱伝導率を有することから、AIサーバーやHPC(High Performance Computing)向け半導体の放熱基板や先端パッケージ基板への応用も注目されています。」
この一文は、株式市場向けの記事などで「レゾナックの300mm基板はAIサーバー向け」という形に要約されやすい箇所です。しかし公式の文章をそのまま読むと、主語は「単結晶SiC材料」であり、述語は「注目されています」です。
区別すると次のようになります。
| 読み方 | 公式記述との整合 |
|---|---|
| 単結晶SiC材料一般について、放熱基板や先端パッケージ基板への応用が注目されている | 公式の記述どおり |
| 今回開発した300mm基板の用途が放熱基板である | 公式はそう書いていない |
| レゾナックが放熱基板向けに300mm基板を供給する計画がある | 公式はそう書いていない |
リリースは300mm基板そのものの用途を特定していません。SiC全般の需要背景としてEV・再生可能エネルギー・データセンター向け電源を挙げ、材料一般の応用先として放熱基板や先端パッケージ基板、さらにARスマートグラスへの適用への期待を挙げている、という構成です。
データセンターの電力と熱がなぜここまで材料側の話題になるのかは、AIデータセンターの電力消費はどれくらいかとデータセンターの液冷とはで扱っています。パッケージ側の動きはパネルレベルパッケージ(PLP)とはが近い話題です。
NEDO事業との関係
成果の位置づけについて、公式はこう書いています。
「今回の成果は、長年培ってきたSiC単結晶成長技術および基板加工技術を基盤とし、グリーンイノベーション基金事業*3の一部成果を活用した、SiC基板の大口径化と高品質化に向けた取り組みの一環です。」
脚注*3によれば、グリーンイノベーション基金はNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)に造成された基金で、レゾナックは次世代デジタルインフラ構築プロジェクトの研究開発項目「次世代パワー半導体に用いるウェハ技術開発」の中で「次世代グリーンパワー半導体に用いるSiCウェハ技術開発」を実施しています。
ここも表現が正確です。公式は「一部成果を活用した」と書いており、今回の成果がすべてNEDO事業から出たとは書いていません。自社で長年培ってきた技術が基盤だと先に述べ、その上に基金事業の成果を重ねたという順序になっています。
国の半導体政策とSiCの関係については経産省1兆円×ラピダス2.6兆円の政策全体像で整理しています。
4. 2つの300mmを並べる
ここまでの内容を1つの表にまとめます。すべて公式リリースの記載に基づいています。
| 比較軸 | 住友金属鉱山 SiCkrest | レゾナック |
|---|---|---|
| 発表日 | 2026年9月18日 | 2026年9月15日 |
| 作っているもの | 貼り合わせSiC基板(2層構造) | SiC単結晶基板 |
| 上側の層 | 高品質な単結晶層を薄く貼り合わせ | 単結晶そのもの |
| 下側の層 | 低抵抗の多結晶SiC支持基板 | 該当なし(単層) |
| 達成したと書いている範囲 | 開発成功、半導体メーカーへのサンプル出荷 | 単結晶成長と基板加工に成功 |
| 主張の言葉 | 世界初(貼り合わせで12インチとして) | 世界最大級(現在開発が進むSiC基板として) |
| 但し書き | 住友金属鉱山調べ | 当社調べ、2026年8月時点 |
| サンプル出荷 | 実施したと明記 | このリリースには記載なし |
| 既存の供給口径 | 写真に6インチ・8インチが写っている | 150mmエピウェハーを主に供給、200mmも出荷開始 |
| 国の事業との関係 | 記載なし | グリーンイノベーション基金事業の一部成果を活用 |
| 量産時期 | 書かれていない | 書かれていない |
| 価格 | 書かれていない | 書かれていない |
| 顧客名 | 書かれていない | 書かれていない |
この表から読み取れることは2点です。
1つめは、2社は競合していない可能性が高いということ。貼り合わせ基板と単結晶基板は、同じ「SiC基板」という言葉で呼ばれますが、作り方もコスト構造も違います。むしろ貼り合わせ方式は、上に貼る単結晶層の供給元を必要とします。
2つめは、どちらも製品化の発表ではないということ。住友金属鉱山はサンプル出荷まで進んでいますが量産時期は書いておらず、レゾナックは基板加工までの成功を技術的マイルストーンと位置づけています。300mmのSiCパワーデバイスが市場に出る時期について、両社の公式リリースからは何も言えません。
現在の市場の主流が6インチで、8インチへの移行が進行中である、という足元の状況は変わっていません。パワー半導体メーカー側の勢力図はパワー半導体メーカーランキングとインフィニオンの会社分析、国内勢の戦略はロームのSiC・GaN・Si共存戦略で扱っています。
5. なぜ大口径化するのか
そもそもなぜ口径を大きくしたいのか。この点は両社とも公式に書いています。
住友金属鉱山は「SiC基板の大口径化は、製造コストの低減や生産効率の向上につながるものとして注目されています」と書いています。レゾナックは「SiC基板およびSiCエピウェハーの大口径化と高品質化に向けた重要な技術的マイルストーン」という形で、大口径化と高品質化を並べています。
なぜコストが下がるのかという理屈は単純です。
| 口径 | 直径 | 面積の比(6インチを1とする) |
|---|---|---|
| 6インチ | 150mm | 1.00 |
| 8インチ | 200mm | 1.78 |
| 12インチ | 300mm | 4.00 |
※この面積比は直径の二乗から当サイトが計算したものです。公式リリースに記載された数値ではありません。
ウェハー1枚を処理する工程の多くは、口径が変わっても1枚あたりの手間があまり変わりません。搬送、洗浄、露光のアライメント、検査のセットアップなどです。面積が4倍になって取れるチップ数が増えれば、1チップあたりに配分される工程コストは下がります。
ただし、ここに2つの但し書きがつきます。
| 但し書き | 内容 |
|---|---|
| 歩留まりの重みが増す | 1枚に載るチップが増えるほど、1枚を失ったときの損失が大きい |
| 装置を入れ替える必要がある | 口径が変わると製造装置・検査装置の対応が必要になる |
1つめがこの記事の後半のテーマです。面積が4倍になると、欠陥を見逃したときの損失も端面の荒れによる損失も、同じ割合では済まなくなります。だから大口径化の話は、必ず検査と研磨の話を連れてきます。
実際、2026年秋には検査と研磨の両方で動きがありました。
6. 大口径化が重くする課題①──見えない欠陥と国際規格IEC 63068-5
2026年10月27日、産業技術総合研究所(産総研)が「脱炭素を支えるSiCパワー半導体の利用拡大を規格が後押し-ウェハ欠陥試験法の国際標準化によりSiC製品の普及を促進-」という研究成果を公表しました。
内容は、X線トポグラフ法(XRT)によるSiCエピタキシャルウェハの欠陥試験方法を規定した国際規格IEC 63068-5が発行されたというものです。産総研はJEITA(電子情報技術産業協会)など産学官の関係機関と協調して、この規格の発行に貢献したとしています。
規格の正式名称は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 規格番号 | IEC 63068-5(規格概要欄の表記はIEC 63068-5:2026) |
| 英語題 | Semiconductor devices – Non-destructive recognition criteria of defects in silicon carbide homoepitaxial wafer for power devices – Part 5: Test method for defects using X-ray topography |
| 日本語題 | 半導体素子 – 電源デバイス用の炭化ケイ素ホモエピタキシャルウエハーの欠陥の非破壊認識基準- 第5部 : X線トポグラフィを用いた欠陥の試験方法 |
| 発行時期 | 2026年10月(産総研の発表では月までの記載で、日は書かれていない) |
| 産総研の発表日 | 2026年10月27日 |
題名に「非破壊」と入っているのが本質です。ウェハーを壊さずに中の欠陥を判定できなければ、検査した枚数をそのまま出荷できません。
「デバイスキラー欠陥」という課題
産総研の発表は、従来法の限界をこう書いています。
「SiC結晶中にはこれらの手法だけでは検出が困難なデバイスキラー欠陥が存在し、デバイスの歩留まり・信頼性の向上に向けた課題が残されていました。」
「これらの手法」とは、すでに国際標準化されている光学検査手法とフォトルミネッセンス法(PL)を指します。それぞれの定義は発表の用語解説に書かれています。
| 手法 | 産総研の用語解説(要旨) | 対応する規格 |
|---|---|---|
| 光学検査手法 | 顕微鏡などでウェハ表面の形状や凹凸から欠陥を検出する方法 | IEC 63068-2 |
| フォトルミネッセンス法(PL) | 光を照射した際に発生する発光を解析し、結晶内部の欠陥を検出する方法 | IEC 63068-3 |
| X線トポグラフ法(XRT) | X線回折を利用して結晶内部のひずみや欠陥を可視化する。光学検査手法やPLでは検出が難しい一部の結晶欠陥を検出できる | IEC 63068-5 |
そしてデバイスキラー欠陥は、用語解説で「デバイスの動作不良や故障を直接引き起こし、製品として使用できなくなる原因となる結晶欠陥」と定義されています。
ここが重要です。SiCの欠陥はすべてが同じ重さではありません。表面の軽微な荒れと、デバイスを確実に殺す欠陥は別物です。後者を取りこぼさないことが歩留まりの鍵になり、しかもその一部は従来の2手法では見つけにくかったというのが課題の構図でした。
XRTについて産総研は、検出困難な結晶欠陥を「ウェハ全体にわたり可視化できる」点を特徴として挙げています。なお、どの欠陥種が対象なのかという具体的な名称は、この発表には書かれていません。
検査装置の世界でどのプレイヤーが何を押さえているかは半導体検査装置メーカー比較で整理しています。検査技術が独占的な地位を生む構造についてはレーザーテックの競争力が参考になります。
IEC 63068シリーズの組み立て
IEC 63068は1本の規格ではなく、パート構成のシリーズです。産総研の発表に記載されているものを並べます。
| パート | 発行年 | 内容(発表の記載に基づく) |
|---|---|---|
| IEC 63068-1 | 2019 | 欠陥の分類(Classification of defects) |
| IEC 63068-2 | 2019 | 光学検査による欠陥の試験方法 |
| IEC 63068-3 | 2020 | フォトルミネッセンスによる欠陥の試験方法 |
| IEC 63068-4 | 2022 | 光学検査とフォトルミネッセンスを組み合わせた欠陥の特定・評価手順 |
| IEC 63068-5 | 2026 | X線トポグラフィによる欠陥の試験方法 |
| IEC 63068-6 | 未発行 | 新規規格開発プロジェクトとして正式発足の予定 |
この並びには設計の意図が見えます。
まず第1部で欠陥を分類する。言葉を揃えなければ測っても比較できません。次に第2部と第3部で測定手法を1つずつ標準化する。そして第4部で2つの手法を組み合わせる手順を決める。今回の第5部で3つめの手法を追加したという構成です。
そして次が第6部です。産総研の発表によれば、光学検査・PL・XRTの3試験方法を統合した欠陥判別法はすでにJEITA規格(JEITA EDR-4712/600)として整備されており、これを基にIEC規格の新規プロジェクトを2026年7月に提案。2026年7月24日から10月16日までの各国投票で承認され、新規IEC規格開発プロジェクトとして正式発足の予定とされています。
つまり第4部が2手法の組み合わせだったのに対し、第6部は3手法の統合を目指しているという関係です。第5部の発行は、第6部の前提を揃える一歩でもあります。
標準化に25年かかっている
産総研の発表で目を引くのは、ここに至る時間の長さです。
| 時期 | 出来事(発表の記載に基づく) |
|---|---|
| 2001年頃 | 産総研が欠陥とデバイス信頼性の相関を研究開始 |
| 2010年度 | NEDOプロジェクト開始。欠陥分類、光学検査、PL、XRTなどの相関評価を進める |
| 2015年度以降 | 経済産業省の委託事業で国際標準化を本格化 |
| (期間中) | JEITA規格 JEITA EDR-4712/500 を制定し、その内容を国際規格原案として日本がIECに提案 |
| (期間中) | IEC TC 47/WG 5で海外専門家と協議 |
| 2026年7月 | 統合判別法について新規プロジェクト(IEC 63068-6)を提案 |
| 2026年7月24日〜10月16日 | 各国投票。承認される |
| 2026年10月 | IEC 63068-5 発行 |
2001年の研究開始から2026年の規格発行までで25年です。審議の場はIEC TC 47(半導体デバイス)のWG 5(半導体デバイスのウェハレベル信頼性)とされています。
経路としては国内でJEITA規格を作り、それを国際規格原案としてIECに提案するという形をとっています。産総研の発表は、JEITA規格を基にした国際標準化であることにより、日本製SiC製品の信頼性を海外に示しやすくなるという点に触れています。
今後の波及先として挙げられているのは、SiCウェハ・デバイスメーカーでの規格準拠の品質評価導入、歩留まり向上と信頼性改善、自動車分野のコスト低減、そして耐圧10kVを超える電力インフラ分野です。10kV超は自動車用の耐圧帯より一桁上で、送配電機器の領域に入ります。
なお発表には、標準化委託事業を実施した産総研・先進パワーエレクトロニクス研究センターのメンバーとして、先﨑純寿、三谷武志、加藤史樹、長谷川正樹、遠藤幸一の各氏の名前が記載されています。
SiCがEV用途から電力インフラ用途へ広がっていく流れはSiC半導体とは(EV向け主役材料)とSiCパワー半導体とはで扱っています。
7. 大口径化が重くする課題②──ウェハーの「端」
もう1つ、2026年9月2日にノリタケが出した発表があります。タイトルは「半導体向けダイヤモンド砥粒内包型研磨パッドを開発 ~SiCウエハーの大口径化に貢献、産業廃棄物を低減~」です。
製品名は「LumiDia(ルミディア)」。ダイヤモンド砥粒内包型研磨パッドです。
なぜ端面が問題になるのか
ノリタケの発表は、課題をこう説明しています。
「SiCウエハーは6インチから8インチへと大口径化が進み、1枚のウエハーから得られるチップ数の増加に伴い歩留まり向上の重要性が高まる中、ウエハー端面(外周部)の精度向上が重要な課題となっています。」
そして端面が荒れているとどうなるかについて、
「端面の表面粗さが大きいと、欠けや割れ、異物付着のリスクを高め、デバイスの特性や信頼性、歩留まりに悪影響を及ぼす可能性があります。」
さらに、端面研磨が技術的に難しい理由を次のように書いています。
「しかし、端面は曲面形状であるためダイヤモンドスラリーが保持されにくく、SiCのような硬脆材料では研磨効率が著しく低下するため、端面研磨の技術開発が求められています。」
整理すると、端面の問題は次の構造を持っています。
| 要素 | 内容(公式記述に基づく) |
|---|---|
| なぜ重要か | 端面が荒れると欠け・割れ・異物付着のリスクが上がり、ウェハー1枚が失われる |
| なぜ大口径で重くなるか | 1枚から取れるチップ数が増え、1枚を失う損失が大きくなる |
| なぜ難しいか | 端面は曲面でスラリーが保持されにくい |
| SiC特有の事情 | 硬く脆い材料のため研磨効率が著しく低下する |
ウェハーの中央部が完璧でも、外周が欠けて割れれば1枚まるごと失われます。面積が増えるほど、この1枚の重みが増す――前節で触れた「歩留まりの重みが増す」が、具体的な工程の話として現れているのがここです。
LumiDiaが変えたこと
ノリタケの公式記述から、この製品の特徴を抜き出します。
| 特徴 | 公式の記述 |
|---|---|
| 構造 | ダイヤモンド砥粒を内包する独自構造。有機物と無機物を複合する独自技術を活用 |
| 砥粒の使用量 | パッド内部のダイヤモンド砥粒が効率的に作用する構造を設計し、少量の砥粒でも高い研磨性能 |
| できるようになったこと | ダイヤモンドスラリーでは困難であったSiCウエハーの端面研磨を実現 |
| 使用する液体 | 水のみで研磨が可能 |
| 環境面 | 水のみでの研磨が可能なため、産業廃棄物を低減 |
| 他の用途 | セラミック基板の平面研磨でも砥粒の使用量削減とパッドの長寿命化を実現 |
従来のやり方は、ダイヤモンド砥粒を水溶液などに分散させたダイヤモンドスラリーを流しながら研磨するものでした。発表はその課題を2つ挙げています。
| 従来法の課題 | 内容 |
|---|---|
| 廃棄物 | 研磨時にスラリーを流す必要があり、使用後は産業廃棄物となる |
| 砥粒の調達 | ダイヤモンド砥粒の安定調達への関心が高まっており、使用量の削減が課題 |
砥粒をパッドの中に閉じ込めて水だけで回せるなら、流し続けるスラリーが不要になります。廃棄物の削減と砥粒使用量の削減が同時に成立するという設計です。
なお発表の図の注記には「図は、半導体関連装置メーカーである株式会社BBS金明の端面研磨加工方式を基に作成したイメージ」とあり、加工方式の前提として他社の装置方式が参照されています。発売時期と価格は書かれていません。
ただしこの発表は「6インチから8インチ」の話
ここは正確に読む必要があります。ノリタケの発表が大口径化として挙げているのは「6インチから8インチへ」です。12インチや300mmという語は出てきません。
| 項目 | ノリタケの発表の記載 |
|---|---|
| 対象の口径 | 6インチから8インチへの大口径化 |
| 12インチ・300mmへの言及 | ない |
| 主な対象ワーク | SiCウエハー(「など」と記載。セラミック基板の平面研磨も明記) |
| 想定される市場背景 | 自動車の自動運転技術の進歩とEV化によるパワー半導体の採用増加 |
つまりLumiDiaは300mm時代に向けた製品として発表されたものではなく、いま進行中の8インチ移行に対応する製品です。本記事でこれを取り上げたのは、大口径化が検査と研磨の両方に負荷をかけるという構造を示す実例として適切だからで、300mmの話と直結させるのは公式記述を超えます。
ノリタケは愛知県名古屋市に本社を置き、代表取締役社長は東山明氏です。研磨材・砥石を長く手がけてきた企業であり、その技術が半導体材料工程に入ってきている例と言えます。中部地方の半導体関連企業の広がりは長野県の半導体関連企業・工場一覧、SiCの生産拠点としての九州の動きは宮崎県の半導体企業・工場完全ガイドで扱っています。ウェハーを薄く削る工程そのものの話は背面給電技術の製造プロセス詳解が近い内容です。
8. 読むときに混ざりやすい点
2026年秋のSiC関連の発表は、まとめ記事や相場解説を通して読むと細部が落ちやすい構成になっています。公式記述と照らして、混ざりやすい点を整理します。
| 見かける要約 | 公式記述に照らした実際 |
|---|---|
| 日本の2社が12インチSiC基板を開発した | 1社は貼り合わせ基板、1社は単結晶基板。同種の成果ではない |
| 住友金属鉱山が12インチSiC基板で世界初 | 「貼り合わせで12インチのSiC基板として世界初」。方式が限定されている |
| レゾナックも世界初を達成 | レゾナックは「世界最大級」と書いており、世界初とは書いていない |
| レゾナックの300mm基板はAIサーバー向け | 放熱基板への応用が注目されているのは「単結晶SiC材料」一般についての記述。300mm基板の用途として書かれていない |
| レゾナックが300mmウェハーを出荷する | 供給しているのは150mmと200mmのエピウェハー。300mmはエピウェハーの計画も書かれていない |
| 12インチSiCの量産が始まる | 両社とも量産時期を書いていない |
| ノリタケのパッドは12インチ対応 | 発表が挙げているのは6インチから8インチへの大口径化。12インチへの言及はない |
| X線トポグラフ法が新しく開発された | 手法自体は産総研が2010年度のNEDOプロジェクト以前から扱っている。2026年10月に発行されたのは試験方法の国際規格 |
SiC以外の次世代パワー半導体材料との位置関係を押さえたい場合は、GaN半導体とは(SiCとの違い)とGaN半導体完全ガイドをどうぞ。SiC工場の電力そのものの話は半導体工場はどれだけ電力を使うかで扱っています。
まとめ
- 2026年9月、住友金属鉱山(9月18日)とレゾナック(9月15日)が3日違いで300mm SiC基板の発表を出した。両社ともICSCRM 2026(9月27日〜10月2日、パシフィコ横浜ノース)の直前というタイミング
- 住友金属鉱山のSiCkrest®は貼り合わせ基板。低抵抗の多結晶SiC支持基板の上に高品質な単結晶層を薄く貼り合わせ、基板全体の低抵抗化と通電劣化抑制効果を実現したと公式に記載
- 住友金属鉱山の「世界初」の注記は「住友金属鉱山調べ。貼り合わせで12インチのSiC基板として世界初。」。方式が限定された主張であり、SiC基板全体で12インチが初という主張ではない
- レゾナックは単結晶基板。成功したと書いているのは300mmのSiC単結晶の成長および基板加工まで。エピウェハーの成果としては書かれていない
- レゾナックの表現は「世界最大級」で、但し書きは「当社調べ(2026年8月時点での公表情報などを調査。)」。「世界初」とは書いていない
- 「AIサーバーやHPC向け半導体の放熱基板や先端パッケージ基板への応用も注目されています」は単結晶SiC材料一般についての記述。今回の300mm基板の用途として公式に特定されてはいない
- レゾナックが現在供給しているのは150mmのSiCエピウェハーが主、200mmも出荷開始。成果はグリーンイノベーション基金事業の「一部成果を活用」と記載
- 両社とも量産時期・価格・顧客名を書いていない。製品化の発表ではない
- 2026年10月、SiCエピタキシャルウェハの欠陥試験法の国際規格IEC 63068-5が発行。X線トポグラフ法(XRT)を標準化し、光学検査とPLだけでは検出が困難なデバイスキラー欠陥をウェハ全体にわたり可視化できる点が特徴
- IEC 63068シリーズは第1部(分類・2019)、第2部(光学検査・2019)、第3部(PL・2020)、第4部(光学検査+PL・2022)、第5部(XRT・2026)という構成。3手法を統合する第6部が2026年7月提案、7月24日〜10月16日の投票で承認され正式発足の予定
- 標準化の起点は2001年頃の産総研の研究。2010年度のNEDOプロジェクト、2015年度以降の経産省委託事業を経て、JEITA規格(JEITA EDR-4712/500)を国際規格原案として日本がIECに提案し、IEC TC 47/WG 5での審議を経て発行された
- ノリタケは2026年9月2日、ダイヤモンド砥粒内包型研磨パッドLumiDiaを発表。水のみで研磨でき、ダイヤモンドスラリーでは困難だったSiCウエハーの端面研磨を実現。ただし発表が挙げる大口径化は6インチから8インチへで、12インチへの言及はない
- 大口径化の理屈はコスト低減と生産効率向上だが、面積が増えるほど1枚を失う損失が重くなる。だから検査(欠陥)と研磨(端面)の課題が同時に前面に出てくる
参考・出典
- 住友金属鉱山「パワー半導体材料の貼り合わせSiC基板「SiCkrest」、世界初の12インチ基板開発に成功」(2026年9月18日)https://www.smm.co.jp/news/release/2026/09/002187.html──「世界初(※)となる12インチ(300mm)の貼り合わせシリコンカーバイド(SiC)基板「SiCkrest®」(サイクレスト®)の開発に成功し、半導体メーカーへのサンプル出荷を行いました。」「独自の接合技術を応用してウエハーを2層化することで、性能と低コストを両立させた製品です。低抵抗の多結晶SiC支持基板の上に高品質な単結晶層を薄く貼り合わせることによって、単結晶の特性を維持しつつ、基板全体における低抵抗化と通電劣化抑制効果を実現しています。」「(※)住友金属鉱山調べ。貼り合わせで12インチのSiC基板として世界初。」「SiC基板の大口径化は、製造コストの低減や生産効率の向上につながるものとして注目されています。」「原料から基板製造に至る一貫生産体制を活かし」。展示は「9月27日(日)から10月2日(金)までパシフィコ横浜ノース」のICSCRM 2026ブースG-2。写真キャプション「写真右が今回開発に成功した12インチ(300mm)のSiCkrest」「写真左は6インチ(150mm)、写真中央は8インチ(200mm)のSiCkrest」。問い合わせ先は「機能性材料事業本部 SICOXS推進室 営業・原料グループ」。量産時期・生産能力・価格・顧客名・採用実績・単結晶層の厚み・ライセンス供与・再利用枚数の記載はない
- レゾナック「次世代エレクトロニクス材料300mm SiC単結晶基板の開発に成功」(2026年9月15日・研究・開発)https://www.resonac.com/jp/news/2026/09/15/4015.html──「直径300mm(12インチ)のSiC単結晶の成長および基板加工に成功しました。」「300mm(12インチ)は現在開発が進むSiC基板として世界最大級*1の口径であり、SiC基板およびSiCエピウェハーの大口径化と高品質化に向けた重要な技術的マイルストーンとなります。」脚注*1「当社調べ(2026年8月時点での公表情報などを調査。)」。「当社は現在、市場の主流である150mm(6インチ)のSiCエピウェハーを主に供給しており、200mm(8インチ)SiCエピウェハーも出荷を開始しています。」「また単結晶SiC材料は高い熱伝導率を有することから、AIサーバーやHPC(High Performance Computing)向け半導体の放熱基板や先端パッケージ基板への応用も注目されています。」「今回の成果は、長年培ってきたSiC単結晶成長技術および基板加工技術を基盤とし、グリーンイノベーション基金事業*3の一部成果を活用した、SiC基板の大口径化と高品質化に向けた取り組みの一環です。」脚注*3はNEDOに造成された基金で、研究開発項目「次世代パワー半導体に用いるウェハ技術開発」の中で「次世代グリーンパワー半導体に用いるSiCウェハ技術開発」を実施。代表取締役社長CEOは髙橋秀仁。「世界初」の表現、300mmエピウェハーの開発・販売計画、量産時期、価格、顧客名の記載はない
- 産業技術総合研究所「脱炭素を支えるSiCパワー半導体の利用拡大を規格が後押し-ウェハ欠陥試験法の国際標準化によりSiC製品の普及を促進-」(2026年10月27日)https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2026/pr20261027/pr20261027.html──X線トポグラフ法によるSiCエピタキシャルウェハの欠陥試験方法を規定した国際規格IEC 63068-5が2026年10月に発行。規格概要欄の表記は「IEC 63068-5:2026」、英語題は「Semiconductor devices – Non-destructive recognition criteria of defects in silicon carbide homoepitaxial wafer for power devices – Part 5: Test method for defects using X-ray topography」。「SiC結晶中にはこれらの手法だけでは検出が困難なデバイスキラー欠陥が存在し、デバイスの歩留まり・信頼性の向上に向けた課題が残されていました。」デバイスキラー欠陥は「デバイスの動作不良や故障を直接引き起こし、製品として使用できなくなる原因となる結晶欠陥」。XRTは結晶欠陥を「ウェハ全体にわたり可視化できる」。シリーズはIEC 63068-1:2019(欠陥分類)、-2:2019(光学検査)、-3:2020(フォトルミネッセンス)、-4:2022(光学検査とPLの組み合わせ)。経緯は2001年頃の研究開始、2010年度開始のNEDOプロジェクト、2015年度以降の経済産業省委託事業、JEITA規格(JEITA EDR-4712/500)の制定と日本によるIECへの提案、IEC TC 47/WG 5での審議。統合判別法はJEITA EDR-4712/600として整備され、IEC 63068-6として2026年7月に新規プロジェクトを提案、2026年7月24日から10月16日までの各国投票で承認され正式発足の予定。波及先として自動車分野のコスト低減と耐圧10kVを超える電力インフラ分野に言及。規格の正確な発行日、対象となる具体的な欠陥種、IEC 63068-6の英語題の記載はない
- ノリタケ「半導体向けダイヤモンド砥粒内包型研磨パッドを開発 ~SiCウエハーの大口径化に貢献、産業廃棄物を低減~」(2026年9月2日)https://www.noritake.co.jp/news/detail/730/──「ダイヤモンド砥粒を内包する独自構造により高い研磨性能を実現し、ダイヤモンドスラリーでは困難であったSiCウエハーの端面研磨を可能にしました。水のみでの研磨が可能なため、産業廃棄物の低減にも貢献します。」「SiCウエハーは6インチから8インチへと大口径化が進み、1枚のウエハーから得られるチップ数の増加に伴い歩留まり向上の重要性が高まる中、ウエハー端面(外周部)の精度向上が重要な課題となっています。」「端面の表面粗さが大きいと、欠けや割れ、異物付着のリスクを高め、デバイスの特性や信頼性、歩留まりに悪影響を及ぼす可能性があります。」「しかし、端面は曲面形状であるためダイヤモンドスラリーが保持されにくく、SiCのような硬脆材料では研磨効率が著しく低下するため、端面研磨の技術開発が求められています。」「有機物と無機物を複合する独自技術」「パッド内部のダイヤモンド砥粒が効率的に作用する構造を設計しました。これにより、少量のダイヤモンド砥粒でも高い研磨性能を実現しています。」セラミック基板の平面研磨にも対応。図の注記は「株式会社BBS金明の端面研磨加工方式を基に作成したイメージ」。本社は愛知県名古屋市、代表取締役社長は東山明。12インチ・300mmへの言及、発売時期、価格の記載はない
- 本文中の「6インチを1としたときの面積比(1.00/1.78/4.00)」は、直径の二乗から当サイトが計算した値です。各社の公式リリースに記載された数値ではありません













